32話 最悪の状態
「…!スクリーンの文字が変わってる」
誰もが混乱する中、和貴は異変に真っ先に気がづいた。さっきまで「暗証番号を入力してください」と書かれていたスクリーンには別の文字が映っていた。
「本当だ…今度は何?」
「『忘れた場合――文字は各ロボットのどこかに書かれている』ってよ」
「どこかってどこだよ」
書かれていた内容はとても抽象的なものであったので、あまり役に立たなかった。がしかし、ヒントはヒントである。またいつか役に立つときが来るかもしれないと思いながら、六人は頭の中に入れておいた。
さてどうしたものか、このままこのヒントのみでやることができるのか。この日を含め行動できるのは精々(せいぜい)頑張って三日だ。この三日で学校の爆破を防ぐことができるのか。
「まあ、迷ってても意味はない。ヒントの通りに文字を探してみよう」
ここは冷静に行動をしようと洸介は提案をした。逆にこの案以外にできることは無いので賛成をするしかなかった。
エレベーターで一階に上がり、六人は散らばった。四体のロボットの体から文字を探すのは難しいことだがやるしかない。六人はようやく焦燥に駆られてきた。
「とは言っても、どこかにとしか書かれてないから明確な場所がわからないよな」
「体なのか、それとも中身なのか」
「いや…中身は厳しいだろ……………」
洸介と祥平はあのヒントについて語っていた。具体的な場所が書かれていないので、どこを探そうかと考えているところだ。
にしても、ヒントがあるとは思わなかったな…絶対忘れないはずなのに…ていうか、忘れてもスマホにでも書けばよくね?バカなのか?
「ねえこーちゃん。もうさ、学校を回るんじゃないんだからさ、散らばる必要ってなかったくない?」
「……………確かに」
「今から呼び直す?」
「………なんかやりずらいな」
洸介は迷いながらも呼び直すのを決意し、ポケットからスマホを取り出す。メッセージアプリを開きグループで話そうと思ったのだが、既に未読メッセージがあった。
さっきまではなかったのにいつ増えたんだと思って内容を見てみる。
『散らばる必要ってあったの?』
『確かに』『1:6でロボットをボコす方がいい気がする』
『じゃあ集め直すか』『職員室前に集合』
会話には参加してないものの、何とかみんなは集まる様だ。自分が散らばれと言ったのに、それを愚痴ることもなくスマートに正解に導いた仲間には感謝しかない。
洸介は画面を祥平に見せた。祥平は文字をしっかりみて、コクリと首を縦に振った。
そして六人は再び集まった。洸介は少し気まずい顔をしているが、別にそれほど他の人は気にはしていなかった。
集まって早々、栖春が口を開く。
「単刀直入に言う。五人が取り押さえてあと一人が探すのでいいんじゃね?」
「「「「「それな」」」」」
みんなの意見は一致した。
作戦は決まったことだし実際にやってみたいところなのだが、残念な点が一つある。
「…もう五時五十九分。できない」
「悲しい」
栖春は冷静に時間を伝えて、もうできないと意思表示をした。
その瞬間、教室のドアが開いた。黄色い体、インターだ。
「よりによってこいつかよ!」
インターは他のロボットと違って四足歩行である。なので腕を掴むという行動が非常に難しくなるのだ。
六人は狭い教室に散らばった。一人がロックオンされる。
「私!?」
仔美が狙われていることに気がつく。走って仔美に向かって大きくジャンプした。仔美が身動きが取れなくなってしまう。必死に暴れるのだが全く歯が立たない、女子の力では到底無理な力で押さえつけられている。
もうだめだ……
仔美は心の中で諦めてしまった。




