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さっく・あうと  作者: 音色利揮
二日目
13/51

12話  かくれんぼ

 ハアハアと息がどんどん上がっていきながら階段を駆け上がっていく洸介と祥平と民都の三人、下の階からはダンダンと重たい音と共に振動がやってきていた。最上階である五階まで来たが、この階は特別な部屋が多い。家庭科室や音楽室、自習室など色々ある。


「ここは教室は少ないけど一つ一つに隠れ場所が多い」

「またここで分散かぁ…心細いなぁ…」

「ねえ二人とも、捕まったらどうなるんだ…?」

「…………分からない」


 捕まったらことがない洸介と祥平は民都の質問に答えることはできなかった。残念ながら知らないことは実際にしてみないと分からないものしかない。なので誰かが捕まらなければいけない。

 だが、おとりを作ってはいけない。捕まらないことがいちばんだからだ。それが平和で終わるハッピーエンドだから。


「…このロボットを止めるスイッチさえあれば…………!」

「そんな都合のいいものなんて………秘密の場所にしかないだろ…」

「まあそうだよねぇ」


 さっきちらっと見た時、右腕には注射器があった…睡眠薬か麻酔薬か何かだろうか…『人の捕獲』という言い方も何か引っかかる…なんなんだ?


 洸介が考え事をしていたら階段から音と振動がきた。もうやつは近くにいるのだ。どうしようかと迷った末、民都が最初にひらめいた。


「音楽室は防音になってるはず…隠れる時多少音を鳴らしてもバレないかも…!」

「それだ!ナイス!」


 早速民都の言う通り音楽室に入った。壁には穴が無数にあるので防音で間違いない。あとはどこに隠れるかだ。掃除道具が入っているロッカー、物置と化しているドアでつながっている準備室、もっとあると思ったのに意外に少ない。この間みたいに机を固めて下に隠れるか、いったいどうすればいいかわからなくなった。

 絶望をしている中、祥平はあることを思いつく。


「なあ、この間の机のやつってさ………」

「今からだと遅

「違くて…あいつらってさ、視界が狭いんじゃないか?」

「…え?」


 急に何を言い出すのかと思ったら考えていた机の話。だが、また別のベクトルからだった。祥平は思い出したのだ。昨日の出来事を。

 昨日やって来たのは今追いかけられている奴とは違う、ファーストだ。あいつが教室に入ってきた時、集まっていた机はたったの六個。男子高校生の体を隠せるわけがない。なのにやり過ごせた。


「だからさぁ、もしかしたら下の方とか見えないんじゃない?」

「…やるしかないか…………」


 とりあえず念のため机を五個集め、三人その中に入った。外から見たら結構丸見え、隠れていないように見える。

 ドアがドンドン音が鳴っている。バンと開いた。見えたのはもちろん例のノイズだった。音楽室に入ったノイズは教室内をウロウロ歩き回った。三人は心臓をバクバクとさせながら見つからないよう祈る。少し時間が経つと、見つからなかったのか諦めて出て行った。


「やり過ごしたのか…?」

「よっしゃー!」

「ナイスしょーちゃん!」


 うまくいたことに喜ぶ洸介と祥平はハイタッチを交わした。民都はそれをただ見つめていた。なんかつまらなそうな顔をしながら。

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