第18話 魔動無双
オレの左手には龍の形をした痣がある。それは決してただの痣ではなく異世界を司る黒龍の化身と魂の契約を結んだ時に刻まれたものだ。
あれはオレが厨……中二の時に交通事故に遭い生死の境を彷徨った(気になっている)時に異世界の龍神がオレの生命を惜しんで救ってくれた証で、あの時に異世界への転生を垣間見た(ような気がしている)オレは何時向うの世界へ再召喚されても困らないようにと、こちらの世界の知識を学び続ける宿命を負っている。
さて、前回は都市計画や建設工事について学んでいたが、魔法が存在する異世界でなら化石燃料に頼る事無く魔力を動力源とした機械を運用する事が可能だと思う。大抵の異世界ではこちらの世界で例えると中世ヨーロッパ程度の文明レベルまでしか技術が発達していない事は過去に異世界から生還した偉大なる先人達の記録から読み取る事が出来る。
以前に考えた異世界での電力エネルギー革命をそのままパク――再現するのでは無く、電力技術のノウハウを魔力を消費して動力へと変換する機構として技術昇華させたものを考案する方が効率が良いと考えられる。
――魔動機の発明だ。
こちらの世界と同じく最初は魔力モーターを開発して魔力を回転運動への変換する機器があれば様々な分野での活用が見込まれる。こちらの世界と異なり蒸気機関や内燃機関の過程をすっ飛ばしてイキナリ魔動機関から開発がスタートする事で一気に産業レベルを向上させる事が可能だろう。
これらの技術を元に自動車や鉄道そして航空機か飛行船まで開発を進めれば、その少し先の未来で巨大ロボが誕生の瞬間を待っている。
二足歩行を実現するには人工生命体を姿勢制御装置として組込み音声による火気管制やマニピュレータ等の細かな操作をサポートさせたりする事も出来そうだな。何よりただのコンピューターとは違って生きているから自身が傷つく事には恐怖感を持っており、それがダメージコントロールと連動して機能するればパイロットの生存率も高まる。
――魔動戦機の登場である。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
(これより関西放送向けのナレーションが入ります)
人類は増えすぎたニートたち新人類をまとめて宇宙へと廃き――移民させてからおよそ半世紀。テラと呼ばれた異世界の惑星の周囲にはぎょーさんの巨大宇宙都市が造られてニート達はそこで人生を送るようになっとったんや。
宇宙皇紀00790年。
するとな、惑星テラからいっちゃん遠い宇宙都市サイト30が”ニーテスト帝国”を名乗っていきなりテラ惑星連邦政府を相手に独立戦争っちゅうもんを仕掛けて来よったさかい、政府のお偉いさん連中は楽しみにしていた週末のゴルフや家族サービスをドタキャンさせられてえらい怒りよったんやて。
誰もが疑いもしぃひんかった数で勝るテラ惑星連邦軍の勝利なんやけど、最初の予想が見事に外れてしもて戦場では膠着状態が続くようになってもう10ヶ月が過ぎよーとしとった頃の事やったと思う。
国力で劣っているはずのニーテスト帝国軍が初戦で大勝続きやったんはテラ連邦軍には無かった新型兵器をぎょーさん投入したのが原因や。最初は敵のレーダー波を阻害するのに細かい金属粒子を撒きよったんやけど両軍がムキになりよってな、終いにはゴミから何から撒きちらかしよってレーダーどころか一キロ先くらいまでしか見えんようになってしもた。
こうなると従来の兵器が使えんようになってな、戦闘機みたいに音速の何倍ものスピードで飛びよったら大小のゴミが機体に激突して事故死してまうやろ? そんな皆が困っとる時に登場したんが人型の魔導戦機やったっちゅう訳や。
コイツらは人間とおんなじように武器以外の道具も持つ事が出来るから背中のバックパックと呼ばれる武器コンテナにはこんな大きい手網を装備しとってな、邪魔なゴミとか浮遊物を除去しながら宙域を進む事が出来る子やったんや。
ちょっと想像してみぃ。
テラ連邦軍がゴミ掃除もままならん状態でそこら辺をウロウロしとる時に、手に網を持った人型決戦兵器が不意にコンニチハしてみぃ。そらぁ連邦軍のカスどもは焦ったはずやで、何しろ清掃作業中に一方的にボコられよったさかいな。連邦軍立病院はどこも重症患者でいっぱいいっぱいで国民の不満が大爆発やった。
このままやと次の選挙が心配やった議員たちはその昔にニートと蔑んで宇宙へ追い出したニートの研究者を拉致って帝国軍が配備しとる魔動戦機以上の性能を持つ兵器を開発してしもた。元から金だけは腐るほど持っとった連邦軍やさかい試作機やったのに奮発して5機もの魔動戦機を作りよったんや。
この新兵器開発情報を掴んだ帝国軍も焦ったやろな。
たった5機しか居らん敵魔動戦機やけど帝国軍に配備されとる機体では全く歯が立たん性能やったからな。それらは全く違ったコンセプトで造られとって、それぞれを近接戦闘特化型、遠距離砲撃戦特化型、電撃高速戦特化型、専守防衛特化型、武器換装攻撃型と呼んどるらしい。
魔動戦機開発では先行しとった帝国軍やけどイキナリこんなモンを戦線に出されたら今度は帝国の病院が患者でいっぱいにされてしまうさかい、普通のもんやったら恥ずかしゅうて着られへんような真っ赤な制服がトレードマークのとっても痛いオタッキー特務隊にあのメッチャヤバイ5機をパクって来いっちゅう命令を出しよったんや。
さすがに連邦軍のカスどもも造りたてホヤホヤのブツをまさかこんな早うに盗りに来るなんて思っとらんかったみたいで、街中にある民間工場へ実機のテストを委託しとったんやけど忙しゅうてちゃんとセ●ムするんを忘れとったんやろな。
”あっ”ちゅう間に初号機から四号機までの4機をポロっと盗られてしまいよってからに、だいぶ焦っとったんは判るんやけど残り最後の機体に乗り込んだんはまだ学生はんやったらしいで。その学生が戦火の中なんとか無事に魔動戦機に乗り込んでシステムを起動させると、画面には”Magical-Automatic-Neurolink-Drive-Operation-Modure”なんちゅうハイカラな文字が浮かんできよってな、そん時にアルファベットの頭文字をタテ読みした事がネットで有名になって、それ以降に造られたこの試作機と同系列の機体は愛称で呼ばれるようになったんやって。
そいつの名は”マンダム”っちゅうらしいわほんま。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「よくぞここまで辿り着いて延々と与太話を聞かせてくれたものだな勇者よ」
「あと500年もすれば今言った魔動戦機が完成するから、それまで風邪ひかないよう体に気をつけて長生きするんだぞ魔王よ」
「あと500年か……予の健康よりもお主の寿命の方が心配だな」
……オレの苦悩は続く。
(;´・ω・)「兵器っぽく無い愛称のロボですね?!」
( ゜Д゜)「”ロボ”と呼んだ途端に安物っぽく聞こえるがや……」
これまでの戦績
1勝12敗(不戦敗11・完封負け1)
1引き分け・無効試合4




