第17話 建設無双
オレの左手には龍の形をした痣がある。それは決してただの痣ではなく異世界を司る黒龍の化身との魂の契約を刻んだものだ。(と思っている)
あれはオレが厨……中二の時に交通事故に遭い生死の境を彷徨った時に異世界の龍神がオレの生命を惜しんで救ってくれた証で、あの時に異世界への転生を垣間見た(ような気がしている)オレは何時向うの世界へ再召喚されても困らないようにと、こちらの世界の知識を学び続ける宿命を負っている。
さて、前回までのシミュレーションによって異世界へ行った時に巻き起こる様々な問題点について考察を重ねて来た。それは電気や空調など身の回りに必要なものや、火薬や鉄砲など魔王との戦いに備えるものもある。最近になり衣服や料理などにつても見解を新たにした事も多かったが”衣”・”食”……と来れば次なるテーマは”住”ではないだろうか?
――先ずは建設について。
一概に建設と言ってもそれは多岐に渡るが土木と建築の二つのジャンルに分ける事が出来る。土木とは土地の造成、道路に橋に河川に斜面の法面工など自然を相手にした工事が多い。反対に建築とは造成された敷地内に生命・財産を守るための構造物を築造すると言えば解りやすいだろう。
異世界へ行ったら向こうの技術者と交渉をする事もあるだろうから、最低でもこちらの世界にある技術の基礎くらいは学んでおきたい。もし無事に魔王を倒す事が出来たら王女を娶って国を任される可能性も微粒子レベルで存在しているので土地の開発から都市計画までは押えておくべきだろう。
もし本当にオレがどこかの太守にでもなれれば都市計画を一から練りなおして後世に残る未来的な都市を建設したいと思う。それにこちらの世界にある便利な物については知識さえあればそのほとんどが魔力で再現が可能となる。
そして街を造る際には万一の火事に備えて一定の区画毎に幅六メートル以上の延焼防止用道路で区切り、その道路の両端には二メートル程度の歩道を設けて歩行者の安全を確保する。それと併せて一定の区間ごとに消火栓を設置して消火活動が速やかに行われるように計画しておこう。
道路で区切られた区画のうち太守の城近くの敷地には貴族や騎士を住まわせていざという時の防衛機能を持たせる。それ以外の区画については工業地区、商業地区、住居地区等に分け、それぞれに見合った公害対策をが必要だろう。
また城の周りに設けた堀には付近の河川から運河を引き込んで下水処理施設としても活用し、その運河には所々に橋を架けて連絡船を運航させてみようか? 但しその下を通過する船の大きさには一定の大きさ以下に規制する必要がある。
そうして出来た各区画には役所や消防署それに警察署など公的機関の出張所も必要で、それら以外に劇場や美術館など大衆文化の為の施設も必要になる。城の正面にある通りは道路の拡幅を行って収穫祭などのイベントの時には臨時の屋台なんかも並べて賑やかにしたいなぁ。
欲張ってもキリが無いが将来の人口増を見越して田畑も食料増産に対する余力が欲しいし外敵の侵攻に備える為の外壁もある程度は強固な物にしておく必要もあり、考え出すと止まらなくて予算不足に頭を抱えてしまいそうだ。
……と、まぁこんな感じに考えるところがオレの異世界都市計画だろうか。
これらに必要な知識としては中世の頃の世界の大都市の歴史を学び、土木と建築について実際の施工方法を理解しておく事も必要だ。そしてある程度の知識を蓄えた時点で今度は重機作業など人力では困難な作業について魔法で代用が可能なものはどんどん取り入れて開発速度を上げると言った別の視点も必要になって来るな。
『よくぞここまで辿り着いたな勇者どもよ! ――今日は元気が無いな?』
「そろそろこのシチェーションにも飽きて来たなと……」
『・・・・・・』
……オレの苦悩は続く。
(;´・ω・)「こ、これはまさかの逆転勝利ってヤツですね?!」
( ゜Д゜)「マジメに演じてる魔王様が切なすぎるがや……」
これまでの戦績
1勝11敗(不戦敗10・完封負け1)
1引き分け・無効試合4




