第12話 情報無双
オレの左手には聖龍の刻印(のようなただの痣)がある。
それは何も知らない第三者が見たとしても龍の形に気づく事が無いように巧妙に隠されている。(第8・9話参照の事)何故なら左手を握り絞めて特定の姿勢と角度からでなければ聖なる龍の姿が現れないようになっているからだ。これはオレに敵対する邪悪なる者たちの目からオレを護るために施された封印だと考えている。
これはオレが厨……中二の時に交通事故に遭った時に出来た傷痕だで、あの時に異世界への転生を垣間見た(ような気がしている)オレは何時向うの世界へ召喚されても困らないようにと、こちらの世界の知識を学び続ける宿命を負っている。
さて、前回に行った異世界に経済革命を巻き起こすという検証実験(……というか妄想?)の結果によると、必ずしも人間側の国々が経済力で優勢であるとは限らない可能性がある事が判った。
もし仮に人間側と魔族側の国力が拮抗していた場合、その軍事力についても同じだけの数が集められると予想出来る。しかし数が同じなら個々の能力平均値が高い魔族側が圧倒的に有利だから経済規模に頼った戦略のみでは勝利は覚束ない。
――戦いを有利に進めるにはどうすればいいのだろうか?
ここでも”持っている”オレはある真実に行き着く。
――そう、情報戦だ!
それは安易なスパイ行為などでは無く、報道による自国の戦意高揚と敵国へのプロパガンダ。味方への被害を故意に小さく報道したり、敵国にある報道機関にこちらから工作員を送り込んで国防意識を低下させる策も考えておかなければならない。
そう言えば魔族の国々では連邦制による統治が行われている。(ような気がしている→第11話参照)それは魔王を大統領に置き換えるなら共和制と言う事になるが何でも魔王一人が全ての問題に対処出来る訳は無いから、きっと幹部たちを集めた議会制度のようなものがあると思う。(と妄想している)
それほど政治や社会システムが進んでいるなら思想や言論そして表現の自由もあると考えられるから、政権を握っている魔王の批判を魔族の国内で繰り返せば中には魔王軍に反対する者たちも居てそれを野党勢力として育てる事も可能だろう。
そうだな……先ずは真面目な戦闘狂が多い(と思う)魔族の国民性だが、魔族の国と通商条約を結んでゲームやアニメなどのコンテンツを輸出して”ニンゲンリュウ”ブームでも仕掛けてみようか? そして個人の権利が国の義務より大切だと教えてやれば自分や家族の生命を犠牲にしてまで国防を担おうと考える若者は減るだろう。そして最後にダメ押しで魔王軍が”ヒトゴロシ”の暴力組織だとレッテルを貼ってやれば人員が減って国防予算の減少にも繋がる。
また魔王軍が使用する主なエネルギー源である魔石についても対策が必要だ。
先の戦略によって育てた野党勢力には魔石によるエネルギー政策がいかに環境破壊に繋がるか等について各地で講演会をさせるのも良い。その後は”魔石反対運動”にまで発展してくれればオレが何もしなくても魔族の国の国力を削ってくれると思う。
そして”ニンゲンリュウ”ブームが成功した暁には魔族の芸能人やタレントにも”反戦”と”魔石反対”などのデモに参加して貰って更なる国民意識低下の後押しをさせよう。そうだな……ここで”戦争”とか”政治”の話題を取り上げる事が”ダサい”という雰囲気を作れれば上出来だ。
ここまで来ればもう魔王軍に戦う力なんて残されていないだろう。後はゆっくりと人間勢力による侵りゃ…じゃなくて、現地同化政策を推し進めて行けば戦わずに魔族の国を切り取る事が出来ると思う。あくまで表向きは”平和”をスローガンに掲げながら裏では分裂した敵組織を一つずつ取り囲んで闇に消えて貰おう。
その為にも魔族の議会には工作員を送り込んでおいて富国強兵策に繋がる法案が提出された時には保守系議員の不始末を報道機関と結託して”でっち上げ”て審議拒否に追い込んでやればなかなか前に進める事は出来ないだろう。テロ防止法とか秘密保護法あとはスパイ防止法なんか成立したら本当にヤバイから即反対な。
これらの策略が上手く行けばマトモに戦わなくても勝てると言う訳だ。オレって頭イイ~w。
新米兵士「先輩!またいつもの勇者たちが侵入して来ました!」
先輩兵士「いいから今日もそのまま通してやれ、決して粗相の無いようにな。これは魔王さまからのお願いでもある」
新米兵士「え!そうなのですか?!」
先輩兵士「日頃から政治や軍事で忙しい魔王様だから、たまには息抜きも必要だろ?」
新米兵士「確かに……ヘタな芸人より面白い方たちではありますが……」
……オレの苦悩は続く。
(;´・ω・)「もしかしてどこかの国で起きてるコトはないでしょうか?」
( ゜Д゜)「なんか勇者の方が悪者みたいだがや……」
これまでの戦績
1勝9敗(不戦敗8・完封負け1)
1引き分け
無効試合1←NEW!




