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異世界ノススメ  作者: としょいいん


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第11話 経済無双

 オレの左手には聖龍の刻印(のようなただの痣)がある。


 それは何も知らない第三者が見たとしても龍の形に気づく事が無いように巧妙に隠されている。(第8・9話参照の事)何故なら左手を握り絞めて特定の姿勢と角度からでなければ聖なる龍の姿が現れないようになっているからだ。これはオレに敵対する邪悪なる者たちの目からオレを護るために施された封印だと考えている。


 これはオレが厨……中二の時に交通事故に遭った時に出来た傷痕だで、あの時に異世界への転生を垣間見た(ような気がしている)オレは何時向うの世界へ召喚されても困らないようにと、こちらの世界の知識を学び続ける宿命を負っている。


 さて、これまで火薬や鉄砲それに剣など、異世界へと渡った時に魔王との戦いを如何に有利に進めるかという視点で対策を行ってきた。しかし”持っている”オレはこの段階でより戦略的な考えに至る。


 ――戦わずに勝つ!


 戦って勝つ事が悪いという訳では無い。しかし、それだと味方にも少なからざる被害を受けてしまう可能性もある。下手に戦力の損失を招いた結果、魔王無き後の世で今度は人間たちが国同士の争いへと発展してしまう資料ラノベもあった。もしあの時に勇者たちの力が抑止力として残っていれば、その後の未来は変わっていただろう。


 戦わずに勝つ為にはどうすれば良いか?


 こと戦争において実戦的な戦闘行為が開始される以前から情報戦や経済戦と言った血を流さない戦争は始まっている。敵味方の情報を元に勝利に必要な戦力を見極め、経済力によって相手の戦力を明確に上回る事が出来ていれば戦争といった手段に訴えるのでは無く外交交渉での勝利を得られるだろう。


 魔王軍の情報は異世界へ行かなければ集めようが無いので、オレはこちらの世界の経済について少しでも勉強をしておこうと考える。異世界から戻って来た人達の記録ラノベだと向うの世界にも金貨や銀貨があり貨幣経済が普及している事が判る。


 金貨や銀貨はその貨幣に含まれる希少金属の量がそのままの価値となる。これは元々砂金などをいちいち計量して始まった物々交換による自然経済だったものが、中世に入る前頃からは計量するのがメンドウになり一定量の大きさで固めたもの(コインの始まり)を使用するようになったのが始まりとされる。


 このように金貨や銀貨はそれ自体に価値がある金または銀の本位体制と呼ばれる貨幣経済を指すが、ここでオレは銅貨が流通している異世界において新たな経済発展の兆しを感じ取る。


 それは異世界においては電線などの需要が無い銅には金銀とは違って重さに対する貨幣価値が無いと考えたからだ。


 例えば手元にある資料ラノベでは銅貨10枚で大銅貨1枚、大銅貨10枚で銀貨1枚となっているが、柔らかくて加工はし易いが強度が低くてすぐに腐食してしまいこれといった需要の無い銅に同じ重さの銀の100分の1の価値が有るとはどうしても思えない。


 もしこの仮定が正しいとするならば異世界の経済はその一部において信用経済の初期まで発展していると言う事になる。それはその銅貨を鋳造した国が銀貨の100分の1の価値を保証している事に対する信用が有るという事になる。


 金貨や銀貨が廃れていったのは何故か?


 それは世界経済の発展によって市場に必要とされる通貨の量が、発掘されて市場に出回っている金や銀の流通量を上回ったからに他ならない。そこで英国を始めとする経済先進国らは紙で造ったお金――いわゆる紙幣を造幣し、最初のうちは紙幣1枚に対して決められた量の金との交換が保障されていた(兌換紙幣という)が、その後に信用のみで価値を保障し金との交換精度を廃止した。


 これによりその国毎の経済規模に合わせた貨幣の流通量が確保され、益々と経済の発展が促される事となった。市場に多くのお金が回るようになると税金による歳入も増えて行き、その中から少なくない予算が毎年のように軍事費となる。だから近代の先進国と呼ばれる国々はこのシステムによって物資と人材を集め中央集権体制を作り覇権国へとなっていったのだ。


 この知識を元にオレが異世界で信用経済の革命を起こして国庫が潤い十分な兵力を揃える事が出来れば、過去の資料ラノベの様に勇者パーティのみで魔王軍の真っ只中を突っ切るなんて玉砕作戦をしなくても良くなるよな。




『よくぞここまで辿り着いたな勇者どもよ!』


「ふっふっふ、魔王よ、今日は貴様に降伏を勧めに来てやったのだ。これからオレたちの国の経済が発展すれば魔王軍の10倍以上の兵力でここを攻める事になるからな。魔族に経済戦争って言っても判らないだろうから早めに降伏した方がいいぞ!」


『ほう経済か、それには予も少しばかり興味がある。我が国でも以前に金本位制を廃止したが経済規模に見合った貨幣の流通量の見極めは難しく、紙幣を含む貨幣全体数量の調整にはいつも難儀しておる。我ら魔族の国々では国境の垣根を越えて国際通貨基金を設立しておるが各国の国内総生産の柱となる投資と消費、またそれらを運ぶ鉄道などの流通に加えて鉄工やエネルギー産業等の一次産業から第三次産業であるサービス業の動向を常に調査していても正解にはほど遠い判断をさせられておる。だがここでの判断を誤れば所得の増えない所謂悪いインフレ状態を引き起こし国民の不満が溜ったり、逆にデフレにでも陥ってしまえばいくらインフレ誘導を行ってもスタグフレーションの解消には幾年かの年月を要し失われた経済成長も戻らずそれは失業率の増大にも繋がる。更に予の治世から導入した統一貨幣”マーロ”によってそれまでの経済共同体から連邦制への移行を済ませたのだが、中には生産性の低い国々も含まれており黒字国から赤字国への経済援助や社会保障費の増大による軍事費削減が急務となっておってな――おい、勇者よ聞いておるか?』


「・・・・・・」(涙目でプルプル状態)




 ……オレの苦悩は続く。


(;´・ω・)「魔族の国の方が経済先進国だったんですね?」

( ゜Д゜)「戦う前に既に敗けてるがや……」

これまでの戦績

1勝9敗(不戦敗8)(完封負け1)←NEW!

1引き分け


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