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親より先に死んだ俺。異世界で徳を積んで無双したい【改稿版】  作者: 田舎浪漫


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第6話「獣人の兄妹」

「はぁ、はぁ……なんで俺が掃除なんてしなきゃいけねーんだよ!俺の職業は、ニートの働き蜂だぞ」


 俺は、前足でボロ雑巾(ヤスオの古着)を握りしめ、埃まみれの床を拭いていた。隣では、エマが木の枝を箒代わりに天井のクモの巣を払っていた。


「文句を言ってないで手を動かして。掃除も立派な徳を積む行為よ。多分だけど。それに、雨風しのげる場所があるだけ有難いと思わない?」


 まあ今のところ徳ポイント判定さんの反応は無いけどな。

 俺たちがいるのは、森の奥。ヤスオが拠点にしろと言った場所だ。案内された時はただの山小屋だと思ったが違った。


--------------------------------


『ここは昔、ギルドが建てた簡易宿泊施設だ。目の前にある洞穴が、今はもう魔物も湧かない「枯れたダンジョン」だ。ちなみに俺が剣聖と呼ばれてた頃に攻略したダンジョンでもある。とにかく何も無いから冒険者も誰も来ない場所だ。お前らの拠点として、最高の隠れ家になると思わないか?』


----------------------------------


 確かに完全に寂れているし人目につかない、隠れ家の場所としては最適だった。


「だよなー。文句言わずに頑張るか。それにしても、魔石への魔力チャージはきつかったな」


 あの後、俺とエマはヤスオの指示通り、空っぽの魔石に全力で魔力を注ぎ込んだ。魔力を吸い取られる感覚は最悪だったが、無事に虹色に光る魔石が作れた。

 ヤスオいわく、虹色に光る魔石は国に一つあればいいほど貴重なもので、金貨1000枚はくだらない最高の魔石だそうだ。出来た時は「なんでそんなのが出来るんだよ」とマヌケ面でヤスオは首を傾げていたが出来たものはしょうがない。

 完成した魔石を持って『これを持ってギルドに行ってくる。ついでにお前らに頼まれた買い出しもしてくるぜ』と言い残し、街へと向かった。


「これで、私たちはこの世界では討伐済みの扱いになるわ。ヤスオも借金完済、私たちは自由。一石二鳥ね!」


 エマが満足げに頷く。俺も最後の仕上げとばかりに窓を拭いていた時だった。


 ガタッ!!


 枯れたはずのダンジョンの方から物音が聞こえてきた。


「おい、エマ。なんか音しなかったか?」


 俺がエマに問いかけたと同時に洞窟から二つの影が現れた。


「お兄ちゃん……食べものが…」


「くそっ、もうこの辺の果実は食べ尽くしちまった。どうすれば良いんだよ」


 現れた影の正体は、どうやら獣人の兄妹らしい。一人は150センチくらいで鋭い目つきの男の子。もう一人は130センチくらいの可愛らしい女の子だ。だが、二人ともボロボロの服を着て、酷く痩せ細っているように見える。


 そんな二人は俺たちに気づいてるはずも無く、そのまま簡易宿泊施設、もとい俺たちの拠点へと入ってこようとしている。


「ねぇ、コーセー。彼ら、どう見ても犬か狼の獣人よね。首輪をしてるから、逃亡奴隷じゃないかしら」


 俺は憤慨していた。転生して初のファンタジー世界定番のモフモフ獣人に出会えたのに、これまた定番の「奴隷」だったからだ。

 地球でも奴隷制度はあった。令和の日本でさえも。世間では「社畜」と言うらしいが。 

 そして、俺自身は「ニート」と呼ばれる自由業だったから、個人の自由を奪う奴隷制度は到底看過できない。

 こんなにモフモフした可愛らしい獣人の子を奴隷にするなんて。


「俺は、2人を助けてあげたいな」


「私も、助けてあげたいのだけれど…ヤスオがいないタイミングに来るなんて、どうしたらいいのかしら」


 エマと話していると、ドアを開け獣人の兄妹が入ってきた。


「えっ、 ピンク色の蜂?」


「マミ、俺の後ろに隠れるんだ」


 兄妹は、震えながらも庇い合うようにしながら俺たちを見ていた。


「コ、コーセー。 ほら、念話! 念話で誤解を解くのよ」


 エマが慌てて俺に指示を出してきた。俺は2人を怖がらせないように、最高に穏やかな声色で念話を飛ばした。


『やぁ、初めまして。ここはもう使われてない場所だから、好きに使っていいんだよ』


 しかし、俺の念話は冒険者の少年の時と同じように最悪の変換をされたみたいだ。


「ヒィッ! な、なんだあのピンクの蜂。  『この食料庫は我らが占拠した……命が惜しければ、このまま回れ右をしろ。さもなくば、その肉を喰らう』だって」


「お兄ちゃん! 逃げよう、食べられちゃうよ」


 兄妹は顔面蒼白になり、街のほうに向かい全速力で逃げていった。


「……おい、エマ。ヤスオとはちゃんと会話出来てたから、スキルが不完全っての忘れてた」


「ヤスオは【状態異常無効】のスキル持ちだから、強制変換を弾いただけみたいだしね。やっぱり、ポイントを追加してでも完全なスキルを取得しなきゃダメね。はぁ……」


 エマが大きなため息をついた。


《ピコーン! 辛い状況にある幼い兄妹に、追い打ちを掛け恐怖させた為、徳ポイント△800ポイント》


 俺も大きくため息をつくのだった。


徳ポイント:△1,034,519ポイント

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