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親より先に死んだ俺  作者: 田舎浪漫


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第58話「女の子だ」



 ミレイの歓迎会から、半年がたった。


《ピコーン! 成長しましたね。ポイントの為にする善行は偽善です。今のは良かったです。925ポイント獲得です》


 ……ん? 俺、今何かしたっけ? 全然、覚えがないんだが。


「俺、なんかやっちゃいましたかぁ?」


 あ、言っちゃった。二度と使わないと誓ったのに。


《ピコーン! 今回は、いい意味で、やっちゃいました》


 判定さんに、褒められてしまった。


 だが、これで……徳ポイント:18ポイント


「エマ、やったぞ! プラスだー!!」


「おめでとう! コーセー」


 俺はエマにサムズアップをしながらガッツポーズをして、そこからのハイタッチをした。


 そう。サムガッツタッチだ! ……忘れてくれ。テンションが上がりすぎて、変な言葉を作ってしまった。


 人の黒歴史は、テンションが上がった時に、こうやって作られていくのだろう。


「それにしても、この半年はあっという間に過ぎたわね」


「確かに。色々ありすぎて、あっという間だったな」


 俺たちの半年の歩みを、ダイジェストで振り返ると、こうだ。


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■ アグロニア王国初代首相決定


 初代首相は、アステリアマークZ、通称マークだ。エルフフロンティアから輸入してきた。


 何故かって? 何回選挙をやっても、選挙違反が起きて無効になるからだ。トール曰く「民主主義って、こんなに難しいのか……」とのことだが、賄賂の文化を作ったのは、お前のお母さんだからな。


 もう面倒くさいので、要所要所では人の手も借りつつ、民意を反映するなら、これ以上の効率化はないと判断した。


 どうやら、これが正解だったらしい。マークを導入した功績として、ピコーンと、徳ポイント50万ポイントが貰えた。


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■ フェニキア聖教国のその後


 聖王の失踪と聖女の魔王認定で大混乱していたフェニキア聖教国だったが、エルダートレントとレンゲを人知れず派遣したことで、混乱は終息した。


 伝説の世界樹として、守護精霊として。国の安寧に一役買ったとして、徳ポイント100万ポイントが入った。


 問題は、ミレイへの討伐令だった。聖教国守備隊は「堕天の魔王」の行方を今も追っているのだが、正面から取り消しを求めれば、外交問題になるだろう。


「レンゲに頼んだわ」


 守護精霊として聖教国に根を張ったレンゲが、聖教国評議会の面々の夢に、「お告げ」を届けた。すると、あっさりとミレイへの討伐令は取り下げられた。


 レンゲは、エマの眷属だ。もう実質、聖教国のトップはエマだ。


「……エマ、お前、やっぱり怖いな」


「褒め言葉として受け取っておくわ」


 本当に、出会った頃のポンコツは、どこに行ったのだろうか。


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■ 卑屈の精霊グラウ


 処分保留のまま、レンレンから隠して拘束していたグラウの裁判が開かれた。マークの手によって、裁判が開かれたのだ。


 万全を期した裁判だったが、問題が起きた。もちろん、レンレンだ。


「グラウ。あなたがサラの眠る場所を……私が決めた最大の禁忌。その罪の重さを……忘れたとは言わせないわよん?」


 法廷に入るなり、レンレンが、エクスプロージョン(物理)をマックスパワーでチャージしはじめた。


 待て待て待て。ここ、法廷だぞ?


「レンレン!! 止まれ!!」


 フェイタル・ガーデン総出で止めにかかった。が、マックスパワーのエクスプロージョンは、すでにレンレンの手の中で、臨界点に達していた。


 ドォォォォン!!!!


 盾を持ったクルスを先頭に、レンレンの攻撃を、皆で何とか耐え、上には逸らせたが……余波だけで、法廷は崩れ去り――。


「うん、来年から月見はできないな」


 最後の月も、なくなった。グラウは、白目を剥いて失神した。


《ピコーン! あぁ、これはマズイですよ。一個でギリだったのに、二個ともは……△30,000,000ポイント》


「……三千万」


 俺も、白目を剥いた。


 そして、当の本人はというと、


「ふぅ……やっぱり軟弱なお月さんね。でも、スッキリしたわん」


 満面の笑みだった。こいつ、本当に魔王だな。


 しかしその後、スッキリしたレンレンは、グラウと向き合った。


「……グラウ。あなたが私に戻ってほしかった気持ちは、分かるのよ。でもね」


 レンレンは、静かに笑った。


「今の私のほうが、ずっと幸せなのよん。はい、これ! 飴ちゃん食べて、元気出すのよん」


 グラウは、黙って飴を舐めた。


「わたし、間違ってたわぁん」


 !!? 俺は、一瞬固まった。


 視線をマミに向けると、レンレンと、サムガッツタッチをしていた。


 結局、レンレンが許しても、多大な犠牲を出したグラウ、改めグラリスに、慈悲を与えることはできないと、マークの判決により、地獄送りが確定した。


 ああ、これは死刑の比喩ではない。地獄で罪を償えば、帰ってこれる。


 何せ、マークが俺やエマのダークフォンをハックして、オシリアさんと連絡をとったのだ。


 そして、生き地獄更生プロジェクト契約というのを結び、犯罪者を全員地獄送りにしている。マークの判決は、有罪か無罪かだけだ。


 万引きで有罪になったやつが、一週間で帰ってきた報告もある。グラリスも、遠い将来、帰ってこれるかもな。


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■ 月の復活


 流石に、月が二つとも消えたままは、まずかった。太陽の昇り降りが四時間おきになり、世界が終末状態に突入したのだ。


 急ぎ、ロザリーと時空の精霊に相談すると、ロザリーと一緒にやってきたニュートンが、「引力がどうの」「天体の法則がどうの」とうるさかったのだが、無事に月は復活した。


「見返りに、マミを時空旅行に連れて行く許可をもらうぞ?」


「え? あーし? やったー!! ゴミ拾い飽きてたんだよねー」


 ノリノリなマミが、そのままついていった。


 ちなみに、三千万のペナルティは、月を二つとも復活させたことで、取り下げられた。ホントに良かった。最初に月を消した分の一千万は、据え置きだが。


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 それからは、少し静かになった屋敷で、のんびり冒険者生活を再開した。


 ゴミ拾い、困っている旅人の荷物持ち、迷子の案内。地味なクエストは勿論、世界の危機みたいなクエストも、それなりにやった。そっちの報酬は、地味なクエストとは、桁が違った。


 そして、ようやくプラスになった。


「ここからだな」


「ええ。ここからよ。あなたが真面目に働けばね?」


 意地悪を言うエマの笑顔は、どこか寂しげに見えた。


 俺は何も答えず、笑顔で頷いた。


 そして、翌日。クルスから電話がかかってきた。


『女の子だ』



徳ポイント:18ポイント

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