第23話「どうしたもんかね」
『有罪とします』
あっ、レンレン有罪になった。
「…さらば友よ。罪を償ったらまた逢おう」
って冗談言ってる場合じゃないな。
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俺たちはレンレンたちが逮捕されてすぐ、皆を助けるためにセントラル·コアにいる、アステリアの元へ向かった。
しかし、被告人の関係者と接触は出来ないと門前払いされ、即日行われる裁判の傍聴席チケットを渡された。
そして、俺たちは裁判所へやってきた。
法廷の中央では天秤を背負ったアステリアがホログラムで映し出されていた。
被告人席には、不満げな顔のレンレンとマリン、そして借りてきた猫のように大人しく座るクルスが並んでいた。
不思議なのは、検事や弁護士らしき人物が見当たらないことだった。
「それでは、開廷します。被告人ニコタール·スカイは証言台の前に」
レンレンの裁判から始まるみたいだ。レンレンが証言台に向かう。
「これから人定質問を行います。あなたのお名前を教えて下さい」
「マジカルかフィジカルか。物理で解決。魔法少女レンレンよん。ウフッ」
「年齢を教えて下さい」
「女に年齢を公開させる気かしらん?……ぶっ壊すわよん」
ヤベー。レンレンからヤバい殺気がでた。周りをみると傍聴席にいた記者が何人か失神してるし。
「職業は何をしていますか?」
「魔法少女よん。さっきも言ったわん」
「はい、結構です。法廷侮辱罪も罪状に加えます」
「これより起訴状の朗読を行います。
起訴状。被告人、ニコタール·スカイ。公訴事実……被告人は、昨日、芸能事務所エルフ・スター・ダストで行われたオーディション会場にて、魔法少女と詐称し当会場へ不法侵入したものである。また会場にいた関係者に音による暴行を加え、これにより被害者全員に全治2週間以上の鼓膜に傷害を負わせ、同時に会場設備の損壊をしたものである。また、同会場のライブ配信設備をジャックし広域放送網にて不特定多数の視聴者である被害者に音による暴行を加えたものである。罪名。傷害、不法侵入、器物損壊、電波法違反、威力業務妨害、法廷侮辱、以上です」
おー。さすがレンレン思ってた以上にやらかしている。大丈夫かこれ。
「へー生者の裁判って、こんな感じなのね。地獄はいきなり判決だすから不思議だわ」
うん。俺もいきなり裁かれた記憶があるよ。それにしても閻魔様は別視点で傍聴してるよ。もう少し内容も気にしようか。
「読み上げた内容について、あなたには黙秘権があります。最初から最後まで終始沈黙し、質問に答えなくても、それを理由に不利益な扱いを受けることはありません。また、お話しになりたいことがあれば、お話しになっても構いません。それを踏まえて伺います。読み上げた事実について、何か言い分はありますか?」
「あらん。私の歌が音による暴行だなんて失礼しちゃうわん」
あーレンレンはジャイアンなんだな。それよりもだ。俺は立ち上がり右手を上げ叫んだ。
「裁判長!被告のレンレンに弁護人がいません。レンレンは無罪なんです。俺に弁護させて下さい」
こっちには地獄の閻魔様がついているんだ。俺たちが弁護をすれば皆を救えるはずだ。
「却下します。当法廷は起訴に至るまでにあらゆる証拠、証言を集めて行われます。独自のシステムで裁判を実施しております。また傍聴席からの発言も許可しておりません」
「そこを何とか…」
「そもそも当法廷は配信されており、全国民による裁判員裁判を採用しております。今回は特別に裁判員への参加資格を与えますので、まずは『異議あり!裁くんです』アプリをインストールし、そちらから意見を発信してください」
あっ、はい。
「コーセー、このシステム地獄でも採用出来ないかしら?すごく面白いシステムよ」
隣を見るとエマはすでにアプリをインストールしていた。俺も慌ててインストールしてレンレンの無罪を主張した。
《ピコーン! 仲間を救おうとする行為は素敵です。ですがレンレンは本当に無罪ですか?過ちを諭すこともまた必要なことです。△500ポイント》
おっ、おー。裁判所で判定さんに論破されてしまった。
この後、クルスとマリンの裁判も続けて行われたが2人は大丈夫そうだ。良かった。
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『判決を下します。主文、被告人ニコタール・スカイ。当法廷は貴方を有罪とします。裁判員システムの集計結果を考慮して、拘禁刑5年を言い渡します』
「あらぁん? 私を閉じ込める場所なんてこの街にあるのかしらん?」
不敵に微笑むレンレンに、アステリアの冷徹な声が追い打ちをかける。
『黙りなさい。3年くらい増やしますよ?……次、被告人クルス。貴方はセントラル・コアを破壊し、街中で逃走劇を繰り広げエルフフロンティアの秩序を著しく乱した罪に問われていますが……。当法廷が独自に調査したところ、ロザリンド・フランクリンからの違法な魔改造を逃れようとする正当防衛と認め、無罪とします』
うん、クルスは想定通り無罪。
俺は、隣に座るマミに小声で尋ねた。
「クルス、逃げ出したってことは、寿命はやっぱり延ばせなかったのか?」
「クルスっちの寿命書き換えとパワーアップは終わったよ。あとはロザリッチが何かしよーとして、あーしは可愛くデコろうとしたら逃げたんだよねー」
見れば、被告人席で解放されたクルスの姿は、ぱっと見は以前と変わらない。だが、左腕の盾だけは異彩を放っていた。かつてジローが開発した旧時代の戦闘機――零戦の翼――をイメージさせる流線型の美しいシールド。機能美の極致とも言えるそれが、静かに銀光を放っている。
『被告人マリン。男性複数名への傷害罪で起訴されましたが、被害者が加害者であったことは証明されました。よって無罪とします。……ですが、あなたは海底国家ショーナンより国際指名手配をされており、我が国との犯罪者引き渡し協定に則り我が国からの追放及び海底国家ショーナンへの引き渡しを行います』
「嫌よ。あんな国へ帰りたくないわ」
『国際問題に発展しますので承認致しかねます。引き渡しは明日となりますので身柄は引き続き拘束させていただきます』
異世界にもあるんだー。引き渡し協定。レンレンより、マリンのほうがヤバいな。
「……クルスは大丈夫で良かったけど、レンレンとマリンはどうしたものかしら?ロザリーに何とかしてもらえないかしら?」
「ロザリッチなら、違法改造で捕まりそうになった時、『ほとぼりが冷めるまで皆の所にちょっと時空魔法の確認してくる』って逃げたよ?」
「はあ!?」
横からキアラとノッテが淡々と補足した。
「「お姉様、私たちの魔改造は法規制内です。ロザリーは……その、ちょっとやり過ぎようとしたというか。生体反応を消して完全に機神化しようとしたり、色々……」」
うん、あのババア。なんかヤバい実験をしようとしたことだけは理解した。
さて、2人はどうしたもんかね。
徳ポイント:△535,076ポイント




