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就活するは我にあり  作者: 諏訪貴信


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グループディスカッション


第5話「社長、まさかの就活生」


翌週。


諏訪は「受付を開始するための整理券」を握りしめて会社へ向かった。


受付の女性が満面の笑みで言う。


「おめでとうございます。」


「ありがとうございます。」


「本日から受付です。」


「やっとか!」


その瞬間、クラッカーが鳴った。


パン! パン! パン!


社員たちが花道を作る。


「受付開始、おめでとうございます!」


「受付でこんな祝われる人いる!?」


ようやく会議室へ通された諏訪。


そこには一人の男性が座っていた。


高級スーツ。


腕時計も高そう。


いかにも社長。


「失礼します。」


男性は立ち上がり、丁寧に頭を下げた。


「初めまして。」


「はい。」


「私も就活生です。」


「……はい?」


諏訪の思考が止まった。


「え?」


「私は現在、社長職の最終面接を受けております。」


「社長なのに!?」


男性は履歴書を差し出した。


氏名:田中 一郎


現職:株式会社アルティメット人事部 社長


志望職種:社長


「更新制なんです。」


「社長が契約社員みたいなシステム!」


そこへ人事部長が入ってきた。


「それでは、社長さん。」


「はい。」


「自己PRをどうぞ。」


社長は深呼吸した。


「私は三年前から社長として――」


ピーッ!


笛が鳴る。


「長いです。」


「まだ一文です!」


「三秒以内で。」


社長は言い直す。


「会社が好きです!」


「かわいい告白みたいになった!」


人事部長は腕を組む。


「熱意は伝わりました。」


社長はホッとする。


しかし次の瞬間。


「では、学生の諏訪さん。」


「はい?」


「社長の面接官をお願いします。」


「俺が!?」


「弊社では立場に関係なく評価します。」


諏訪は恐る恐る社長を見る。


社長も緊張していた。


額に汗をかいている。


「……じゃあ、一つだけ。」


「お願いします!」


「どうして、この会社の社長になりたいんですか?」


社長は少し考え、笑顔で答えた。


「社員が面白いからです。」


諏訪は思わず吹き出した。


「会社の理念とかじゃないんですか?」


「理念も大事です。」


社長は続ける。


「でも、毎日笑える会社なら、少しくらい仕事が大変でも頑張れるでしょう?」


部屋が静かになった。


諏訪は初めて、この会社の空気が少しだけ好きになった。


「……いい会社ですね。」


その一言で、人事部長の目が見開かれた。


「社長。」


「はい!」


「おめでとうございます。」


「ありがとうございます!」


「社長、一次面接通過です。」


「まだ一次!?」


社長は机に突っ伏した。


「あと何回あるんですか……。」


人事部長は資料をめくる。


「全部で四十八次面接です。」


「定年が先に来る!」


諏訪は笑いすぎて椅子から転げ落ちた。


その様子を見て、人事部長は静かにメモを書く。


諏訪貴信


ツッコミ:SS

笑いの伝染力:S

社長を励ませる:A+

この会社への適応力:急上昇


そして、人事部長は意味深に微笑んだ。


「さて諏訪さん。次はいよいよ、人事部との面接です。」


「今まで何と面接してたんですか!?」

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