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就活するは我にあり  作者: 諏訪貴信


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会社説明会

第2話「圧迫面接、圧が違う」


「では、こちらへどうぞ。」


五人の採用担当に囲まれた諏訪は、そのままビルの中へ案内された。


受付には「ようこそ、地上最強の就活へ」と書かれた立派な看板。


「……本当にある会社なんだ。」


少しだけ安心した、その瞬間。


受付の女性がにこやかに言った。


「本日は一次面接です。」


「ですよね。」


「圧迫面接をご用意しております。」


「正直に言うんだ。」


「では、会議室へ。」


ドアが開く。


次の瞬間――


「うおっ!」


会議室いっぱいに、人、人、人。


面接官が百人。


全員スーツ。


全員腕組み。


全員無表情。


「多い、多い、多い!」


一番奥に座る社長らしき人物がマイクを持った。


「これが弊社の圧迫面接です。」


「人数で圧をかけるタイプなんですか!」


社長は真顔のままうなずく。


「弊社は物理的な圧を重視しております。」


「精神的じゃなくて?」


「はい。」


すると百人の面接官が一斉に立ち上がり、一歩前へ。


ドン。


床が揺れた。


「地震!?」


「違います。」


ドン。


ドン。


ドン。


百人が足並みをそろえて近づいてくる。


「怖い怖い怖い!」


社長がメモを取りながら言う。


「おお、ちゃんと怖がっていますね。」


「評価ポイントそこ!?」


百人は諏訪の目の前でピタリと止まった。


沈黙。


十秒。


二十秒。


三十秒。


耐え切れず、諏訪が口を開く。


「あの……質問とかないんですか?」


社長は不思議そうな顔をした。


「質問?」


「面接ですよね?」


「質問はありません。」


「じゃあ何を見てるんですか?」


社長は真顔で答えた。


「沈黙に耐えられるかです。」


「変な修行みたいになってる!」


そのとき、一人の若い社員が慌てて部屋へ飛び込んできた。


「社長、大変です!」


「どうしました。」


「営業部の新卒が、三日で社長になりました!」


部屋中がざわつく。


「またか。」


「今年もう五人目です。」


「昇進が早すぎる!」


諏訪は思わず叫んだ。


「この会社、どうなってるんですか!?」


社長は静かに立ち上がり、微笑んだ。


「いい質問です。」


「ようやく質問された!」


「では、その答えは二次面接で。」


「引っ張るんかい!」


面接官百人が一斉に拍手を始める。


パチパチパチパチ……。


諏訪は頭を抱えた。


「……俺、本当に内定もらえるのかな。」


その頃、採用担当の一人は評価シートにこう書き込んでいた。


『ツッコミ:A+ 反応速度:S 常識感覚:正常(弊社では減点対象)』


諏訪はまだ知らなかった。


この会社では、常識人であることが最大の弱点だということを。

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