インターンシップ
地上最強の就活
四月。
東京。
就職活動シーズン真っ只中。
「もう二百社落ちた。」
諏訪貴信は、公園のベンチで空を見上げていた。
スマホには通知が並ぶ。
「このたびは誠に残念ながら……」
「誠に残念なのは俺だよ。」
隣でハトが「クルッ」と鳴いた。
「お前もそう思うか。」
すると突然、スマホが震えた。
差出人は知らない会社。
株式会社アルティメット人事部
件名。
『地上最強の就活へご招待』
「また怪しいスカウトか……。」
開いてみる。
当社では学歴を一切見ません。
TOEIC不要。資格不要。ES不要。ガクチカ不要。
必要なのは、人として面白いこと。
「いや、最後だけ急にフワッとしてるな。」
さらに続きがあった。
一次面接:ラーメンを食べながら社長を笑わせてください。
「何その採用試験。」
二次面接:弊社の部長と一緒にホームセンターで一万円使い切ってください。
「意味が分からない。」
最終面接:社長の母親に『いい会社ですね』と言わせたら内定です。
「もう採用じゃなくて親孝行じゃないか。」
諏訪はスマホを閉じた。
「……絶対ブラック企業だろ。」
その瞬間、背後から声がした。
「君が諏訪くん?」
振り向くと、全身スーツ姿の五人組が立っていた。
全員が真顔で名刺を差し出す。
「株式会社アルティメット人事部です。」
「本日は最終選考にお越しいただきありがとうございます。」
「いや、まだ応募してません。」
「応募済みです。」
「してません。」
「三分後にする予定なので、時間短縮しました。」
「未来を採用活動に使うな!」
こうして諏訪は、常識が一切通用しない会社の「地上最強の就活」に巻き込まれていくのだった。




