仙神堀〜京国の窓口。税関の圧がすごい街〜
「では了様、私は諸々準備がございますので、リヒト領でお待ちしております」
羽田空港にて、金髪の大陸側スタッフの女性が深々とお辞儀して去っていった。
相変わらず報道陣がすごい。別に愛想良くすることもねえやと思って自然体でいると、記者らしき男の「若干、顔に疲れが見られます」という声が聞こえてきた。
僕はそのまま、見たことのない真っ黒な旅客機に案内された。
旅行の経験なんてない僕は、もちろんパスポートなんて持っていない。でも呼んだのはソッチだろ。と堂々と税関を潜って飛行機に乗った。
昼過ぎに出発して、着くのは明日の朝。
僕の親父を、ラギ大陸の各都市に連れて行くという、不思議な旅が始まった。
* * * * *
機内。親父の骨壷と位牌は、隣の空いてる席に置かせてもらい、しかもしっかりと席に固定された。
……ずっと抱えてなきゃならんのかと思っていたから、正直安心した。
考えてみれば人生で初の飛行機だ。流石に疲れているので寝たいのだけれども、そう考えると緊張してきた。
まあ、大陸に着くまでは自由にしてていいんだろ。……まず大陸のどこに行くって言ったっけ?
「了様、今から我々が行くのは大陸北西部の都市、『仙神堀』でございます」
うお隣の席に座るんかお前!!
せっかくゆったりできると思ったのに、気の知れない得体の知れない日本語を話す奴が隣にいる。
まあ、先ほどからずっと一緒にいる、大陸側のスタッフ、男性の方だ。
こいつの体力はどうなっているんだ。ノートPCほどの画面端末を手際よく操作して、僕に見せてくる。
……寝かせない気じゃあないよな? 寝れるんだよな? 長い講釈は始まらないよな?
僕の心配をよそに、男の口は回り始めた。
「『仙神堀』は大陸の中でも三番目に……おっと、失礼いたしました」
男は、小言で何かを唱えながら、両腕で『二』のポーズを作った。
「え?」
「ともかく……歴史の古い都市にございます。国際空港がございまして、大陸の窓口の一つにございます。
まあ、リヒト領ほどではございませんが、京国民以外の人間が多くいらっしゃる都市ですので宿も充実してございます。
ですので、料理は期待してくださいね。
人口はラギの指針する二十段階評価のうち十四と、そこそこな大都市でございます。
申し遅れましたが、私は了様の旅の、京国側の案内役を勤めさせていただきます、綾氏と申します」
男は、また両腕で『二』のポーズを作ってお辞儀をしてきた。
先ほど、この男がくれた『旅のしおり』に書いてあった通り、ラギ大陸は北と南で『京』と『リヒト』二つの国に分かれている。
今から行く『センジンボリ』という都市は、ラギ大陸北西に存在する、つまり『京』側の国だ。
縦四国(徳島を北に見る四国)でいうところの、高松空港があるあたりだなあ。と、そういえば思ったのだった。
綾氏がベラベラ喋るものだから、いつの間にか飛行機は飛んでおり、僕の初飛行機体験がなんか奪われた気分だ。
ところで気になることがある。
「さっき、なんで謝ったんですか?」
「はい?」
「いや……センジンボリは三番目に歴史が古いとかなんとかの件で、なんで謝られたんだろうって思って」
僕が言うと綾氏は、ポンと手を叩いた。
「ちょうど良い機会なので、説明しておきましょう。京国では『三』と言う数字は忌み嫌われている不吉な数字とされているのです」
「はあ、なぜ」
すると綾氏は端末を操作して、画面を見せてきた。
それは『旅のしおり』一頁に書かれた大陸の歴史である。
そこにはこう書かれている。
・建国期(大陸一周期)
・第一次絶滅期(原因は火山の噴火による寒冷化)
・復興期(他大陸からリヒト人が入植)
・大戦期(少なくとも過去四度の大戦があったのを確認)
・第二次絶滅期(原因は不明)
・再現期(建国全盛期の姿が『地球』で再現。理由は不明)
綾氏は、その中でも復興期と大戦期を順番に指差した。
「まあ、ここですよね」
僕は眠たい頭で、綾氏の言葉から色々な事を察した。
「リヒト人が関係している?」
すると綾氏は重々しく頷いた。
「今でこそ、体面上は平和を保ってますが国境は存在し、国境付近の都市にはそれなりの緊張感があるんです。
そして、京国の悲しい歴史を紐解くと、そこには必ずと言っていいほど『三』という数字が関わってくるのです」
「例えば?」
僕が聞くと、綾氏は嫌な笑顔になった。
「説明してもよろしいので? 多分この説明だけで『仙神堀』に着いてしまいますが」
「ならやめときます。そんなことより……なんです?
国境付近には緊張感がある? ……僕はそこにも行くわけでしょう?」
「ええ」
はっきりと、言い切った。
「でもご安心ください。了様の旅に危険なものは近づけさせませんので。少なくとも京国にいらっしゃるうちは。
ただ、京国にいる間は『三』という数字だけは、少しだけ意識していただくと良いかも知れません」
今聞いておいてよかった。やっぱり言葉が通じるだけで文化の違いは山ほどありそうだ。
僕は途端に嫌な予感しかしなくなってきた。
とにかく体力を残しておこうと、僕がシートにもたれて瞼を閉じようとした瞬間に、綾氏の快活な声が隣から響いてきた。
「『仙神堀』は文武両道の都市と言われてまして。学校教育に力を入れている傍らで『表義昭流剣術』の有名な道場があるのです。
公式印象句は、『進学校もあるラギの窓口。観光客に対して帰れと思う気持ちが顔に出ている都市』」
ぶ。と吹き出した。
「その文句が公式なんですか!?」
すると綾氏は恥ずかしそうに頭を掻いて……
「まあ、これはあくまで中立な立場で書かれた文句ですので。あと自虐も込めてです。我々京の人間は、リヒト人と違って閉鎖的で保守的な国風です。
まあ、慣れたら悪い人間達ではないのです。ただ、自分で言ってしまうのもなんですが、あまり愛想は良くないことで知られている国民性ですので……
税関では、まあまあの緊張感があると思いますが、向こうも悪気はないので」
* * * * *
そこから、流石に勝手に瞼が落ちた。
何かの本で、ハワイ近郊の気流は不安定なことが多いから飛行機は怖い。みたいなことを読んだ気がして怖かったのだが、
そんなこともなく、目を覚ました時にはすでに僕は、ラギ大陸にいた。
一番近い島が二千キロ離れたハワイということだが、そのせいもあって暑いイメージがしていた。
確かに日差しは強いが、風も強くて乾燥している印象がある。
税関は思い出すのも嫌なほど最悪だった。
綾氏の前情報があったとしてもあれはひどい!
僕の存在を悪と決めつけてくるかのようなあの目つき、あれは忘れられない。
まず、「パスポートを見せろ(原口ママ)」と言われて、
イヤ持ってねえよおめえらが呼んだんだろ! と喉元まで出かかった。
「その箱はなんだ」
と聞かれて、いやお前らが会いたがっている親父だよ! の「い」の字まで口に出てしまった。
あまりにも威圧的なので綾氏の方を見たが、何か特別そうな顔はしていないので、こういうものなのだろう。
……帰りもこの空港から帰るのかよ。と考えると今から憂鬱だ。
あんな不愉快な気持ちは日本でもあまり経験したことがないかも知れない。早速、旅の先行きが不安になった。
税関をなんとか抜けると、お手洗いに行きたいと綾氏に申告した。
この昂るアドレナリンをとりあえずクソと一緒に流してしまいたいという意味がこもっていたが……
「あ、了様。ついでに個室でこちらにお着替えください」
と言われて紙袋を渡された。
それで自分が、未だ喪服のままだったことに気がついた。
* * * * *
骨壷と位牌は、綾氏に預かってもらった。
お手洗いは、ちゃんと『お手洗い処』なんだなあ。
などと、謎の感動を覚えた。個室は空いており、そこでようやく喪服を着替える。
* * * * *
「お似合いですよ、了様」
お手洗いから出てきた僕は、肌襦袢に明るい緑色の浴衣、足は雪駄だった。
「……これが京国のフォーマルな格好なんですか?」
「左様でございます。まあ、流石に全員が着ている訳ではありませんが。
京国は伝統を重んじる国ですので」
綾氏の言葉に違和感を感じた。つまりこうだ。
京国にも、侍みたいなのがいた。ということだろうか。そういえばさっき、剣術の道場が云々と言っていたような……
「朝晩は少し肌寒く感じるかも知れませんが、基本車の旅ですのでご心配なく」
いやそんなことは心配してないんだけどなあ……
という言葉を飲み込んで、用を足した後に感じたのは空腹であることに気がついた。
* * * * *
空港のロビーに出ると、人だかりができていた。
綾氏に呼び止められて、立ち止まると、確かに江戸時代の武士が着ていそうな立派な紋付袴姿の男性が近づいてきた。
そして腕で『二』の文字の独特なポーズを作り、お辞儀をしてきた。
未だに慣れない同じポーズで僕は応じる。
「お待ちしておりました。士座殿。仙神堀の市長を務めております。綾十郎と申します」
わざわざ市庁から空港まで来てくれたんだ。と思った傍で、あれ、また『綾』だ。と僕は思った。
どうやらこの国の人の名前は『綾◯◯』という名前が多いのかな?
オランダでいうところの『ファン・◯◯』みたいなことだろうか?
綾十郎さんは、僕が抱えている骨壷をじっと見て……
「そちらが……」
と絞り出すように喋るので、綾氏が割って出てきて……
「はい。幸雄様にございます」
と、いった瞬間だった。
綾十郎さんと、後にいた数名が一斉にその場に膝をつき、例の『二』のポーズを作ったのだ。
その場で実に一分は固まっていたのではないだろうか?
僕はただただ、親父を抱えて立ち尽くし、眺めるしかなかった訳だが、数名泣いているものもいた。
綾十郎さんがようやく立ち上がり、僕ではなく親父に話しかけた。
「お会いしとうございました……。お会いしとうございました……」
同じセリフを、音量を変えて二度言った。
そして『二』のポーズを作り、深々と頭を下げた。
* * * * *
市長に会って、何をすればいいのやらと思っていたが、なんてことはない。
こんなことでよかったのか。
市長は「ぜひ、仙神堀の歴史に触れて、旅を楽しんでくだされ」と言って、去っていった。
綾氏が隣で、
「さて了様、何かご覧になりたい所はございますか?」
と聞いてきたので、ああこれで自由時間なんだと解放された気持ちになった。
正直、日本に帰りたい、と冗談で言いかけたが、そうするとさっきの税関をまた通らなきゃならなくなる。
言葉を飲み込んで素直な気持ちを出してみた。
「お腹がすいた」
なにしろ、僕は昨日からろくに物を食べていない。
羽田空港に向かう途中で無理やりコンビニに寄ってもらい、おにぎりと水を飲んだだけだ。
機内食だって出なかったのだ。
「御意に。ちょうど空港の側に、人気の食事処がございますので早速向かいましょう」
* * * * *
空港から出ると、日差しが強い。そして、やっぱり風が強い。
そして、存在感のある大きい山が太陽の位置に聳えていた。
変わった匂いがするが、これはなんの匂いだろう?
未知とは言わないが、日本の街には馴染みのない匂いが漂っている。
それと、遠くに見える威圧感のある山の麓に、奇妙なものが見えた。
あれは……何かの施設だろうか?
おそらく相当遠くにあるのだろうがそれでも目立つ。それは円柱状の柱のように見える。
あれはなんですか? と、さっきから説明をしたそうな綾氏に聞こうと振り向いたら、さらにものすごく違和感のあるものが視界に飛び込んできた。
思わず足が止まった。
空港の脇に、人型のロボットが立っている。
大きさにして四メートルか五メートルだろうか?
僕の視線に綾氏は気がついたようだ。
「おや、あの『マスラオ』が気になるんですね?」
「……『マスラオ』?」
「ええ。人間とそっくりな動きを目指し、戦車よりも効率的に人間が侵攻可能な場所を制圧する目的で開発されました。
一応、戦車という括りです。あれは、第四時大戦時の『武神再来伝説』のマスラオを再現した模造品にございます」
「あ、レプリカなんですか」
「ええ。何せだいぶ旧式のマスラオですからね。当時の実機はもう、博物館でもお目にかかれません」
旧式!? だいぶ旧式!? このロボットがか!?
こういうところで、なるほど軍事大国なのかと思い知らされる。
自然と背筋が伸びた。
* * * * *
綾氏が手回しをしてくれたのだろう。
すぐ席に通された。
店に入った瞬間に、なんだか変わった匂いがした。
「初ラギ料理ですね! 楽しみですか!?」
綾氏が聞いてくる。
僕は日本にできたラギ料理なら食べたことがある。
だけれどその時の印象とは全く違っていた。
印象だと、香辛料の匂いが強い丼ものなのだが、香辛料を感じない。どちらかというと動物っぽい匂いがするのだ。
それで、実際出てきたのは、確かに丼ものなのだが……匂いが全く違う。
日本で食べたことあるもので、似たものを思い出した。これはジンギスカンだ。
でもそれとも少し違う……
ラギ料理って、牛さし丼だと思っていたのだが、羊肉も食べるようだ。
「これは、京で最も一般的な家庭料理です。
京産の羊と馬の肉をお米でいただきます」
羊肉と馬肉! 変わった組み合わせだ!
それを香辛料は使わず、塩のみでいただくわけだ。
で、味はというと、腹が減っているので食えなくはない。
とにかく動物の匂いで好みが分かれそうだ。
「『武神再来伝説』ってなんですか?」
二口、三口で料理の味に飽きた僕は、やっぱりさっきのロボットが気になっていた。
綾氏は、食べるのが早いらしい。それとも顔に出さなかっただけでお腹が空いていたのか、すでに食べ終わっていた。
「第四次大戦時のことです。当時ここ仙神堀は、リヒト国の占領下にありました。
国境を越えられ、首都の隣接都市のことごとくを奪われ、残っているのは首都『荒神』と、『玉隅』くらいだったそうです。
敗戦がほぼ決まりかけていた時、敵占領下の仙神堀に一機のマスラオが降下し、リヒト軍を打ち負かしたのだそうです。
その時の落下した場所が、あの模造品のある場所だったという事です」
……話が終わってしまった。え、それだけか!?
確かにすごい話ではあるが、そんなことでレプリカの像が建つだろうか?
「武神の再来ってどういう事ですか?」
「武神については明日、嫌というほど説明いたしますので。
ところで了様、この後は寄りたい場所が一箇所だけございます。
その後はお疲れでしょうから、宿に向かいましょう。車は手配しております。もう店の前で待機しているかと」
* * * * *
言われた通り、車は店の外に待機していた。
運転手は二人おり、つまり途中で交代するような長旅になることを意味しているのだろう。
……まさか、運転手が一人だと『三人旅』になり縁起が悪いからとか、そういう理由じゃないよな?
僕は首を捻った。
二人とも、スーツ姿でサングラスをかけている。日本の運転手と似ている。
さすがに紋付袴で車の運転は難しいのだろうか。
空港を離れると、そこには広大な養羊場があり、空港を出た時に感じた匂いはこれかと納得した。
連れて行かれたのは、そんな牧場の奥に立っている小高い塔だ。
山の麓にそれは建っていた。
塔には枯れてない花が手向けてある。それで慰霊塔だというのが分かった。
塔にはこう書かれていた。
「京国学徒連盟慰霊」
車が止まると、綾氏が車から降りて、僕側のドアを開けた。
「了様、お父様と、生徒達を会わせてあげてください」
ここはさすがに空気を読んだ。
僕は骨壷を抱えて、塔の前に立った。
綾氏は例の『二』のポーズを作って頭を下げる。
僕は腕が塞がっているので、ただただ頭を下げた。
「第四時大戦時、マスラオの技術で京国はリヒトに遅れをとっていました。
マスラオの搭乗資格は特殊でして、正規兵のほとんどが順応しませんでした。
そこで駆り出されたのは年端もいかない子供達でした。
戦闘訓練も間に合わず、体も未熟な子供達が、敵の兵士と戦わされたのです。
第四次大戦時、この仙神堀だけで大きな戦闘は十回ありました。
そのうち、学徒が動員された戦闘は五回もあったのだと言います。
京国、負の歴史です」
「……仙神堀の学生が、さっきのアレにのって戦争を……?」
僕が聞くと、綾氏は重々しく、
「はい」
とだけ答えた。そのまま彼の言葉を待ったが、そこから先はなかった。
* * * * *
帰りの車の中、さっきの馬羊丼と、重たいエピソードで胃が重い。
眠たかったが不思議と起きていた。
牧場の一角に、また変わったものを見つけた。
一区画が、鉄の柵と金網で覆われて封鎖されていたのだ。
「何か事件でもあったんですか?」
僕が聞くと、
「ああ、こちらも戦いの歴史を保管しているんです。何ぶん、土地だけは広いものでして。
ここはその昔、仙神堀の居住区があったのですが、なんの前触れもなく住民達が暴れ出すという事件がありまして、軍が治安出動した場所ですね
今はそんなことは起きないのでご心配なく」
怖。なんだその事件は。
そんなものまで保管するのか。変に律儀な国民性だなあ。僕は車に揺られながら思った。
* * * * *
都心部はさすがに、ちゃんと都会をしていた。
新宿渋谷とまでは言わないが、独特な形のビル群。そして人が多かった。
僕がホテルに着いた時にはもう、クタクタで誰の許可も取らずにベッドにダイブした。
……この国にもベッドがあってよかったと心から思った。
「了様、明日は京国の中でも非常に重要な都市『玉隅』に向かいます。出発は……」
「わーー!!」
「い、いかがなされました!?」
「へ!? いや!? その……綾氏さんも同室なんですか!?」
「は……なに……か、問題が……?」
「分かりました! 今日はいいです! この先もですか!?」
「は、はい。そのつもりでしたが……」
「部屋は……別々がよくないですか? 綾氏さんも疲れませんか? ずっと僕の側にいて……」
「そういう任務ですもので。しかしまあ、確かにお一人になられたい事もあるでしょう。
申し訳ない。配慮に欠けていました。明日から部屋は分けます。
けれどもそろそろ、お腹がすいたころではありませんか?」
言われてみれば確かに、食べたものが馬羊丼一杯だけだ。
あれだけで一日終わりというのは、こう言っちゃ失礼かもしれないが寂しい。
「お疲れのご様子ですのでお弁当をご用意しました。今日はこちらを召し上がって、おやすみになってください」
さすが、気が利くなあ。と思って、用意された弁当を開けると、既視感のある匂いと絶望的な映像が飛び込んできた。
これさっきとおなじ馬羊丼じゃないか!!
え! もしかして京の食べ物ってこれしかないなんて事ないよな!?
嫌な予感を必死で振り払い、僕は話題を変えた。
「で、明日はどこですって?」
「はい! 京国の歴史が凝縮された都市、『玉隅』でございます!
公式印象句は『戦争と自然災害ばっか。太陽光が山にすぐ隠れるので半日村と呼ばれる。住民の顔色が年中悪い街』です!!」
……ああそうですか。楽しい旅になりそうで……




