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壬生狼チャンバラ  作者: 燎 空綺羅
序章 第二話 夢を唄う鳥
13/47

2-8

 島田、跳ね起きた。

「永倉組長!?お大福、じゃない!奇襲で!?」

 斎藤一が耳を塞ぐ。

「うるっさいのよ、こんな時間にさ。」

 土方歳三、柄にもなく、思想の志しで隊士を取り戻したことは嬉しく、財布の紐も緩む。

「藤堂の帰還祝いだ。もっとも、この縁は死者の御前で、派手にとは行かねぇが……。向こうの遊郭街は眠らずの街だ。そこのフランス酒場に出前を頼むとするか。おい、起きた隊士達は来な。」

 永倉、出前と聞いて飛びつく。

「奢りか?ムフフ。」

 相馬がさりげなく、藤堂に告げた。

「藤堂は知るまいが、蝦夷共和国のかまぼこはフランス人が作る、それは旨い一品なんだぜ。」

主計(かずえ)……なんだか旨いと聞いたら、腹が減ったな!俺達、潜入中に味噌切らしちゃって。フランスの料理は名が読めず頼めないし。」

 斎藤一は口を酸っぱく言い聞かせた。

「かまぼこは禁止!いい?かまぼこは注文しないでね!?」


 三樹三郎、窓辺で藤堂が祝われている様を見ながら、兄に語りかけた。

「おさまるべくして、おさまったかのようです。俺たちが近藤の死の起因になったことも、堪え……」

「三樹。貴方も、よく堪えたわね。」

「……死して尚、兄様(あにさま)の言葉は鮮やかによみがえりますから。」

「新撰組は夢を得て始まったばかり。土方君はようやく近藤局長に追いついたって訳ね。」

「はい。まだ、尊王の足元僅かに追いついたくらいでしょうけどね。」

「幸あれ。夢見る同志にわたしから送るのは、友としての祝福だわ。」

 兄の残像が消えていく。三樹三郎は、その手に近藤の首を責務を抱え、生きてゆく。藤堂は違う。これでよかったのだと、藤堂を仰ぎ見た。


「永倉兄!何だ、このかまぼこ!旨い!かまぼこ旨い!!」

「うめぇだろう藤堂、食いねぇ食いねぇ!!」

 斎藤一は張り詰めた。

「ちょっと!かまぼこ禁止だって!パテもかまぼこも禁止!!」

 土方、丸ごと一本かじりながら答えた。

「斎藤よ。こいつぁ、テリーヌだぜ……?」

 斎藤一は、領収書と契約書を奪い、辞典が置いてある自室まで走り抜け、翻訳。

「テリーヌ……クッソ!落とし穴かよ!!……あー!!これは不味いわ……もう、土方に榎本武揚氏にでも、交渉してもらわないと。」


 新撰組、志しと夢を新たに、借金も新たに。

 剣を振るうだけではなく、その思想、誠の武士ならんとす。


 藤堂と再び合間見え、壬生狼チャンバラ、お次の一戦や誰ぞ知る。


 終劇

Copyright(C)2026 燎 空綺羅

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