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ユイ・メモワール  作者: 碧川亜理沙
4年生編
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ダンテの一族④


『ユイ・フェールディング様


 手紙をありがとうございます。

 至急とのこと、挨拶は省かせていただきます。


 手紙の件について、委細承知いたしました。


 しかしながら、現在わたしは仕事の関係上手が離せません。

 そのため、本件に関してはわたしの妻であるリリヤに対応を頼んでいます。

 クリスティンにも事情は説明してあるので、今後リリヤとのやり取りはクリスティンを通していただきたい。

 直接お相手できず申し訳ないが、引き続き対応のを頼みます。


 ダニエル・ハワード』




 ハワード家当主から返事が来たのは、翌日の夜のこと。

 素早い対応に、ユイは驚くとともに、感謝の念を禁じ得ない。

 すぐにお礼の返事を送り、クリスティンともまた明日に詳細を話し合う約束を取り次いだ。




「ユイ、今日の午後の実習はなくなったようだ。もしよければ、この前の話の続きをしたいが、時間はあるだろうか?」


 2コマ目の授業の終わり。

 同じ授業を取っていたギルフィが近づいて話しかけてきた。


「実習が中止? 天気が悪いわけでもないだろうに……」

「理由は分からん。先生たちも考えがあってのことだろう。……それより、どうだろう。時間はあるか?」

「実習の時間帯よね? えっと……ごめんなさい。家のことで、少しやらないといけないことができたの。別の日でもいい?」

「そうか、それは構わない。それじゃあ、時間があるとき、また教えてくれ」


 そういってギルフィは先に教室を後にした。

 ユイもこの後、クリスティンと話の続きをするために集まる予定のため、荷物をまとめて教室を後にした。




 昼休憩時の図書館は、閑散としていた。

 事前に集合場所としておいた、個室のひとつに向かう。

 中に入ると、すでにクリスティンは到着していた。


「ごめんなさい。待たせた」

「構わない。俺も先ほど来たばかりだ」


 その言葉に相違はないだろう。

 彼の属する魔法騎士コースの鍛錬着のまま、クリスティンは座っていた。


「着替える時間くらい待てるわよ」

「……あぁ、問題ない。午後も訓練があるからな。いちいち着替えるのが面倒だ」


 そういうものなのだろうか。

 首を傾げたユイに対し、「本題に入るぞ」とクリスティンは促す。


「父からの手紙は読んだか?」

「えぇ、読んだわ。忙しいから、あなたのお母上に頼んでいると」

「そうだ。おそらく母からの手紙も届くだろうが、先にいくつか確認をしたい」


 そう言って、クリスティンはテーブルに置いてあった紙とペンを持つ。


「今回、事情が事情だから、ダンテの一族を呼ぶのとその方法含め、ハワード家で伝授しようと思っている。問題ないか?」

「……大丈夫だと思うわ。うちの当主にも伝えておく」

「頼む。あとは日程だが、早い方がいいよな? ダンテの一族にも確認が必要だから、多少ずれ込むことはあると思うが、そちらの予定を聞いておきたい」

「そうね……こればかりはフラン……当主に確認するわ。遅くとも、年を越す前には片付けておきたいわね」

「了解した。詳しい日付は後ほど連絡してくれ」


 ぽんぽんと話が進んでいく。

 さして時間がかからず、今できる確認事項の話し合いは終わった。


「俺も一応間には入るが、具体的なところは母と話してくれ。もちろん、何かあれば俺経由でも話は通しておく」

「分かった。忙しいだろうに、取り持ってもらってありがとう」

「忙しいのはお互い様だろう。探掘コース……だったか? 魔法騎士コース並に大変だとは聞く」


 クリスティンがユイの所属コースを知っていることに驚いた。

 よくよく考えれば、選択コース発表時に、個々人への知らせの他、学内に合格者一覧が貼り出されていると聞いたことがある。そこで他コースのことを知ることは可能だ。

 とはいえ、興味がなければ見ることも知ることもないので、よく知っているなという感想が先に来る。


「実習がなければ、今はまだそこまでだよ。とはいえ、今回は何とかして時間を作るけれど」


 さすがに家のことを後回しにはしたくない。

 幸い、これからの時期に長期間の実習を行うことはないはずなので、諸々の調整さえすれば問題ないはずだ。


 お互いの予定も擦り合わせた上で、今日の話はここで終わった。

 そのまま世間話をするような仲でもないため、また連絡すると言い合って、2人で個室をあとにした。






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