落書き
美名川さんを送る途中、野球少年たちが草原で野球の練習をしていた。
青春ですなぁなんてみていたら、ホームランボールがこちらへとんできた。
「「「「「危ないでーす‼︎避けてくださーい‼︎」」」」」
⁉︎
これは大変じゃないかっ‼︎
帰宅部エースとは、こういうとき活躍する。
マンガでお勉強済みだ。
とっさに持っていたバッグで美名川さんの顔をガードした。
いくら悪魔みたいな人でも、やっぱり守ってあげないとと、ぼくは思ったのだ。
それは、なぜだかわからない。
でも、からだが突発的に美名川さんを守っていたのだ。
「「「「「大丈夫ですか?すみません‼︎」」」」」
急いで駆け寄る野球少年たち。
「あー、全然大丈夫だよ。ほらボール」
「「「「「ありがとうございました‼︎」」」」」
美名川さんは…無事なはずだけど、一応聞いてみた。
「大丈夫?」
と。
そしたら、顔を真っ赤にして
「うん、ありがとう」
と、こたえてきた。
なぜ顔真っ赤?
怒り大爆発?
まさか、こんなのも魔法で回避できないなんて、自分が不甲斐なさすぎて、いい加減大爆発だよ‼︎ってなっているのか?
まあ、大丈夫って言ってるし…大丈夫なのだろう。
心配性なぼくは、出かける時は基本バッグ持参だ。
こんな活用法もあるのだとはじめて知った。
美名川さんをおくりとどけて帰宅し、ベッドに転がった。
ふと、美名川さんが置いていった小瓶をぼんやりながめた。
そして、起き上がりピンセットを手に持った。
カランと、小瓶に金平糖を一粒入れた。
ふっふっふ
閉じ込めてやったぜ。
美名川さんをね。
一撃退するたびに金平糖を一粒ずつ、閉じ込めてやることにした。
とりあえず小瓶飼育発言で、びっくりしたこと間違いないだろう。
これが満杯になるころには、完全撃退しているはずだ。
あー、楽しみだなあ。
早く満タンにしてやる‼︎
それにしても美名川さん、普通にしてれば超絶かわいいんだよなぁ…
…
おっといけない
いやいや…
人間じゃない可能性がたかいのだから、そりゃ美しくて当たり前だ。
騙されるところだったぜ。
油断しては、絶対にならないのだ。
まずは、目的を知らねばならない。
慎重に接していかなければ。
…
というか、接しなきゃいいんじゃないか。
ぼくったら、おバカさん。
次の日、さっそく無視無視と存在自体を薄くしていた。
なんなら、美名川さんもいないと思いこんで、隣の人は休みだと言い聞かせた。
でも、美名川さんは…登校早々にぼくに
「おはよう」
と、笑顔で挨拶してきたのだ。
だからぼくは、言ってやった。
「馴れ馴れしいなあ」
って。
そしたらまさかの
クスクス返しをしてきた。
防御力たかっ‼︎
ノーダメージです。
とにかくこのまま、透明人間として、一日を過ごそうと決めた一時間目…
美名川さんが教科書忘れたからみせて?と、ぼくに近寄ってきた。
…
仕方なく無言で教科書を美名川さんのみえる位置まで置いてあげた。
するとぼくの教科書にまさかの落書きをはじめた⁉︎
みると…
昨日は、楽しかった♡と書かれていた。
…
なにしてんだよ。落書き禁止‼︎とぼくも教科書に書き込んだ。
すると、また教科書になにやら書き込む美名川さん。
ゆうちゃんも書いてるじゃない?ゆうちゃんは、いいの?特別⁇
って書いてきた。
…
ゆうちゃんいうな
って書き込むと美名川さんは、
わたしは、あやちゃんって呼んでくれていいよ♡ときたもんだ。
ふざけるな、ハートウザい
照れ屋さんなんだね!かわいい
だまれ
ゆうちゃん♡
しつこ
あはは、ごめん。教科書…落書きだらけになっちゃった。
そう書いたあとに、消しゴムを握りしめた美名川さん。
「消さなくていい。あとで消す。あなたは、教科書破きそうだから」
と伝えた。
すると…
ありがとうと、また落書きしやがった。
うさぎの絵文字つきで。
「ヒマ人」
「ふふ、そっちもね」
ああいえばこういう。
ずっと書いたり喋ってる妖怪おしゃべり美人美名川さんだった。
おかげで授業全然聞いていなかった。
しかし、あっという間に一時間目がすぎた。
二時間目も同じ授業だった。
美名川さんが教科書忘れたっていうから、次の授業もみせてあげようとしたら、まさかの普通に教科書をひらいていた。
「なんか、教科書あったんだよね。」
「へえ、ならぼくが今度は教科書みせてよ」
と、わざといった。
落書き教科書にしてやるぜ‼︎
「そんなにわたしと一緒がいいんだね」
と、イタズラ顔で笑ってきた。
「あー、教科書あったから絶対大丈夫」
「残念だなぁ」
「だまれよ」
ふふ
仕返しが失敗してしまった。
続く。




