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家を追い出された貴族の庶子、名探偵として姉の死の真相を爆乳ムチムチオネエさんメイドと追う!  作者: 和泉 弘幸


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致命傷なき出血死 4





 俺とカレウスは食事を共にした後、レリヴァを膝に乗せてカレウスから話を聞くことにした。


「アタシが聞いてきた話だと、3人とも不審な点はなかったらしいわよ。 みんな話に聞いた通り、敬虔な信徒で参拝をしていた。 年齢もちょうど85歳だったようね」

「そして怪しいことは何もせずに普通にお祈りをして、ちょっと回復してもらってお布施して帰っていたとご遺族の方もおっしゃっていたし、周りからの評判も悪くなかったわ」

「ただしやっぱりお年なのか、一気にガタが来て衰弱して亡くなってしまったそうよ」


「なるほど。 お年寄りが急に衰弱してなくなるのはよくある話だもんな。 しかし妙だな。 3人とも、いやオーキナー氏を合わせると4人とも85歳だと?」


 お年寄りって教会と病院好きでよく行くから、これは不思議じゃない。

 前世の祖母やその親戚もよく教会行ってたし、お年寄りが病院にすぐ行って、必要もないのに薬もらっても余らせるのが問題になってきたもんな。

 おばあちゃん家に行けば大体湿布があるのは、あるあるだろう。


 だが4人とも同じ年齢で似た様な状況。

 もしかしたらオーキナー氏も何も無ければ老衰で亡くなったのかもしれない。

 どう考えてもキナ臭く、作為的なものを感じてしまう。


「あとついでにレフちゃんの話も聞いてきたわよ♡」

「それがね! もうめちゃくちゃ評判が良くて! 思わず私も嬉しくなっちゃったわ!」

「やだもうね! うちの自慢の子なんですって自慢しちゃったわ♡」


「カレウスに育ててもらった覚えはないぞ!?」

 

 関西のおばちゃんのように早口で、手首のスナップを効かせて話すカレウスに思わず声が出てしまった。


「やだわぁ♡ もう冗談よぉ〜♡ 冗談♡」

「レフちゃんのおかげでポーションも安価で出回ってるし、貴族なのに丁寧で素敵っておば様達が言ってたわよ♡」

「亡くなった方も仕入れてたし、使っていたそうよ♡」

「安くて健康に良いから、ポーション健康法とか流行ってるらしいわよ♡」


 出来たら若い女性に好かれる方が嬉しいが、主婦層に人気なのは非常に心強い。

 家庭の財布を握っている彼女たちの影響力はバカにできないからな。


 上流階級では男尊女卑とまでは言わないが、家父長制はあり、婚姻などは親の意向が優先されるが、中流以下ではそれほどなく、普通に奥さんが強い家庭も多い。

 これは女性の立場が弱かった日本の戦国時代でもそうだったし、どこも変わらないのだろう。


「色々と調べてくれてありがとう。 君がいない間に1つ仮説を考えてみたのだけど聞いてくれないか?」


「もちろんよ。 アタシにレフちゃんの話を聞かないことはありえないわよ。 貴方の命令にはどんなものでも、御身が望むままにと答える覚悟はあるわよ♡」


「そんな重い覚悟を持たなくてもいいんだが、とりあえず聞いてくれ」


 ちょっとガンギマリすぎてる覚悟に気圧されながら、俺は自分でもしっくりは来てないが、客観的な視点も欲しいので吸血鬼の仮説を話してみた。


 

「面白い仮説ね。 完全に否定はできないけど、それが正しいというのは限りなく低いと思うわよ」

「まず、吸血鬼が老人を狙うことは稀ね。 けどこれは人間社会への適応があるかもしれないからギリギリあるわ」

「けど教会にいるのはありえない。 あそこの特務部隊は人を餌とする魔族や悪魔には容赦しないし、見落とすなんてありえないわ。 それこそ過激派の連中が黙ってないもの」

「確かに血が止まらなくなったのは、そういうのが可能性としてはあるかもしれないけどアタシは吸血鬼はないと思うわ」


「吸血鬼である可能性は低そうか」


「そうね。 普通に考えて教会に潜む理由よりもリスクの方が大きいし、老い先短いからバレないと思うならもっとスラムや狙いやすい奴らを狙うわ」


「ぐう!!」


 カレウスに説得力のある反論をされて、ぐうの音がギリギリ絞り出せたが、それ以上の言葉は出なかった。

 普通に考えれば吸血鬼ではなさそうか。


「それなら、明日にいつもの教会に行ってみない? あの人は多分特務部隊のエリートだから、吸血鬼やそれ以外にも詳しいわよ」


「それもそうだな。 ちょっと迷える子羊を救ってもらうか」


 明日の予定が決まると、膝の上に乗せていたレリヴァを下ろした。

 この灰ペン(グレイペンギン)は何も反応しなかったな。

 今まで通り、自分で解決しろとのことかもしれない。

 まあレリヴァが転生特典では無いという可能性も十分にあるし、そもそも前世の記憶をそれなりにしっかり覚えているだけで大きな特典だ。 サンキュー神様。



 

 翌朝、俺はバラバラ死体の事件の時にもお世話になった南にある教会、ご年配の司祭様のところにやってきた。


「これはこれはレフ卿。 先日は見事、事件を解決なされたそうですね」


「司祭様のためになるお話と、神のお導きによるものです。 お礼と言えばなんですが、ポーションと売上の一部です。 それと実はお聞きしたい話がありまして、、、」


「この老いぼれに話せることがあるかは分かりませんが、話してみてくだされ」


 司祭に金を握らせて、本題に入る。

 あまり行儀のいいことではないが、ある程度は教会にお金を渡さないと、ポーションは商売敵になるので目をつけられないような意味もある。

 あと宗教は味方にしていると心強く、トラブルの際に仲介に入ってくれると助かるという下心もある。


 


「という訳で別の教会で起きた事件について調べており、ないとは思うのですが、吸血鬼が関与しているということはないでしょうか?」


 事件の内容と考えを示すと、年老いた司祭は「ふむ」とだけ言うと少し考えこんで口を開く。


「吸血鬼ですか。 なるほどなるほど。 考えとしては非常に面白く、有り得なくは無い話ですが、まず有り得ないでしょう。 私もあちらの教会に行くことがありますが、そのような気配を感じたことは無いですし、吸血鬼や悪魔は我々の不倶戴天の敵です。 そのようなことがあれば必ずや私が退治してみましょう」


「お答え頂き、ありがとうございます。 神にお仕えしている皆様をお疑いして申し訳ありません」


「構いませんよ。 我々も敵を知るために吸血鬼や悪魔の研究をしているので、魅入られた者がいないかを確認することもありますからね」

「それにしても出血が止まらないですか。 呪いであれば、いくつか心当たりがありますが、あちらの教会が呪いを否定したのであれば恐らく違うのでしょう。 なら外的要因ではなく、本人に何かあったと考えるのが自然だと思います」


「ありがとうございます。 本人に何かあったという線で調べてみます」


「応援しております。 あと近頃、原理派の一部の者たちが不穏な動きと共に、錬金術を禁術に指定しようという動きがありますので、レフ卿もお気をつけください。 貴方様の教育が殿下に悪影響を与えたと騒ぎ立てている者もおりますので」


「そのような重大な情報をありがとうございます。 私は神に誓ってやましい事はしておりませんが、気をつけておきます。 それでは失礼します」


 恐ろしい話を聞いてしまったが、動揺を何とか隠して教会を後にする。


 さっきの司祭様の話は間違いなく、俺を排除する動きだ。

 俺だけで済めばいいが、この言い方は間違いなく、謀反などする際に、よく使われる手口だ。


 側近が悪いことを吹き込んでいるから、それを正すために側近を討った! そのまま後見人になって武力で実権を握るなど非常によく使われる謀反の手口である。

 この場合は俺の教育と父が殿下を誑かして〜と言って排除するやつだ。

 そこまではしなくても俺を口実に父や殿下の力を削ぎたいのかもしれない。


 しかしクリュザンメーテ殿下は女性。

 しかも陛下は正室との間に1男1女をもうけており、いくら将来有望な彼女とは言え、継承権的には高くないので、父を排除して後見人になるほどの旨味はないはず。

 もしかしたら政治よりも怨恨かもしれないが、政治から意図的に距離を置いている俺に分かることは少ない。


 父に丸投げしようとは思うが、降りかかる火の粉を考えると、あまりの面倒くささとストレスで胃がキリキリしてきた。

 帰ったら胃薬調合したポーションでも飲むとしよう。


「レフちゃんポーションいる?」


「ありがとう。 でも癖になると困るからやめておくよ」


 心を読んだかのように聞いてくれるカレウスだが、飲みすぎは怖いので断らせてもらう。

 

 んっ? 癖になる、、、

 何か見落としてる気がする。


「カレウス! 急いで帰ろう! 何かを見落としてる気がする!」


「分かったわ! お姫様抱っこの方が早いけどしてあげましょうか?」


「魅力的なお誘いだが、たまには動かないと太ってしまうから今日は走るぞ」


 羞恥心を捨てればお姫様抱っこの方が圧倒的に早いのだが、流石に大人として、貴族に連なるものとして甘えることはできなかった。




 走っている途中に体力が切れて、カレウスに手を引かれて、もっと鍛えておけばよかったと後悔しながら帰宅した俺は事件のことを記した手帳を開いた。


「カレウス。 事件の真相が見えてきそうなんだ。 すまんが一緒に事件の見直しをしたい」


「仰せのままにご主人様」


 ぱっちりとウィンクをするカレウスを無視して事件の整理を始める。

 

「〜と事件概要はこんな感じだったな」


「えぇ間違いないわ。 事件概要を忘れちゃった読者の方は、前回の話の最後にレフちゃんがメモ帳にまとめてくれてるから目を通してね♡」


「お前は何を言ってるんだ? まあいい。 その教会では他の老人も熱心な信者の方が老衰でなくなっていた」


「そうだけど老衰はそんなに大事なのかしら? お年寄りが亡くなるのは不思議じゃないわよ?」


「確かに不思議じゃない。 だが健康な人間が数ヶ月以内に病気でも事故でもなく亡くなると考えると妙なんだ」


「分からなくは無いわ。 けど偶然という可能性の方が高いわ」


「それはそうだ。 だが裕福で熱心な信者が亡くなったと条件があれば、やはり疑うべきなんだ」


「理由は分かったわ。 それで疑った結果、何か分かったのかしら?」


「そう、被害者に不審な点は見つからなかった」


「レフちゃんはここで吸血鬼を疑ったのね」


「あぁ。 結果としては全然違っていたな」


 だがなんだ。

 何かが引っかかっている。

 思い出せ。 さっき気になったのは癖になるって自分の言葉。

 考えろ。 言語化するんだ。


「…………あっ!!!!」


「んもぅびっくりしたじゃない」

 

「わかった! カレウス! サウダーデ・アネモネー伯爵閣下に先触れと、用意して欲しいものを書いた手紙を送ってくれ! 事件の謎が解けた!」


 おそらく真相にたどり着いた。

 政治のことは偉いさんたちに任せよう。

 




 



ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

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