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家を追い出された貴族の庶子、名探偵として姉の死の真相を爆乳ムチムチオネエさんメイドと追う!  作者: 和泉 弘幸


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致命傷なき出血死 2



 父と食事を共にした翌日、俺とカレウスは件の教会へと来ていた。

 普段の南の教会とは違い、こちらは西の教会である。


「司祭様、初めまして。 レフ・アネモヌンと申します」


「おぉ、、、よく来てくださったレフ卿!」


 応接間に通された後に出てきた西の司祭は、普段の教会とは違い、線の細い気弱そうな中年の男性だった。

 王都の教会で、この若さで司祭なら結構なエリートなのだろう。

 元はどこかの貴族かもしれない。


「アネモネー前伯爵閣下に話を聞いておりますが、念の為にもう一度お聞かせ願いたい」


「もちろんですとも」

「亡くなった方の名前はオーキナー氏。 85歳のご年配の男性で、若い頃に神のお告げを受けて商品を仕入れたところ大ヒットして、それから時間があれば教会に来るようになり、隠居した現在はほぼ毎日教会に来て、お祈りと健康診断か腰痛の治療をしておりました」


「ご高齢なのに毎日参拝に来るのは信仰深い方だったのですね」


「えぇそれはもう神に深く感謝をしていたと思います。 そして1週間ほど前のことでした」

「朝に髭を剃ってうっかり肌を切ってしまったそうなのです。 傷は小さかったのですがいくら回復魔法をかけても治らなかったのです」

「ポーションを使ってもみましたが出血は止まりませんでした。 回復魔法が効かない呪いはありますので、もしかしたらと思って解呪をしてみたのですが治らず、解呪が得意な神官にも診てもらったのですが呪いではないというのです」

「こちらではどうすることも出来ず、元々高齢で衰弱していたのですが、そこから更に顔色が悪くなっていき、爪や唇もどんどん色が薄くなって、亡くなってしまったのです」


「それは何とも恐ろしい話ですね。 そのオーキナー氏は苦しんだり、呂律が回らなかったり、様子がおかしいことはなかったのですか?」


「出血しているので徐々に衰弱はしていきましたが、苦しんでいる様子はなかったと思います」


 なるほど。脳卒中などでは無さそうだ。

 だが本当に出血死なのだろうか?

 これは調べてみる必要があるな。


「お話ありがとうございます。 まだ何もわかりませんが、次はデルン伯爵夫人にお話を聞いてみます」


「お願い致します。 原因が全く分からぬと、対策のしようもありません」


 司祭さんから聞いた話と父から聞いた話に齟齬はない。

 教会が言うのであれば本当に呪いではないのだろう。

 少なくとも王都にある教会で、詳しい方が見たのであれば、恐らくそうなのだ。


 呪いの可能性は完全に排除は出来ないが、かなり低い確率と言っていい。

 なら俺の知らない病気の可能性が高くなってきた。


 正直こっちの方が個人的には困る。

 こちらの世界は回復魔法、ポーションなどという便利なものがあるので、医学はあまり進んでいないのだ。

 ある程度の病気であれば魔力でゴリ押しして回復魔法で治してしまうので当然かもしれない。

 そして俺も医学の知識は漫画くらいしかないのだ。

 話を聞く感じだと脳卒中などでは無さそうだが、世界には血が止まらなくなる病気もあったはずだが、知識のない俺には分からないので病気だと迷宮入りするしかない。


 

 グナー嬢の実家であるデルン家はその辺りを研究して、俺と協力して肺病に効くポーションを開発して名を大きく上げた家で、この世界の病気については俺より間違いなく知識はあるが、どこまで信じていいのかも分からない。


 ちなみに肺炎に効くポーションはペニシリン入りである。

 浄化して結界を張った空間に青カビを繁殖させて、餌を与えずにストレスを与えることにより、防御物質であるペニシリンを分泌させる。

 それをカビだけ浄化して、錬金術で空気中のペニシリンを再構築。

 再構築したペニシリンをポーションに混ぜるとポーションの効果で胃で分解される前に、患部に届けることができるようになったのだ。

 ただこんなのを一人で生産できる訳もなく、研究者としての強い信頼とコネと人手と金があるデルン家と教会に情報を開示してある。


 

 あとこれは余談だが、何故そんなものを作ったかと言うと、回復魔法やポーションでも原因や病の発病元が分かった上で適切な回復魔法を掛けると消費魔力、消費体力が軽減されるからだ。

 前世でもそうだが強い薬を使うより、適切な薬を使うほうが身体にいいに決まってる。



 そんなことを考えているとデルン邸につく。

 昨日のうちに先触れは送っているので、すぐに応接間に通されて、ガーベラー・デルン伯爵夫人が来てくれた。



「お待たせしました。 あぁ細かい挨拶は抜きでいいですわ。 義理の息子になるかもしれない人に堅苦しい挨拶なんてして欲しくないもの」


「ありがとうございます。 それでは夫人、オーキナー氏の死因は出血死であり、病死ではないとのことですが、例えば出血が止まらなくなる奇病や、脳の血管が傷ついていたなどはありませんか?」


「よく勉強しておられますね。 しかし、血が止まらなくなる血友病は長生きした例は聞いたことありませんし、体内に内出血の痕がある特徴がありますし、脳に何か問題があればもっと症状が出ます。 そしてご遺体の状況は間違いなく出血が原因で亡くなった方でした。 なので私は呪いを疑いました」


「呪いですか。 簡易なものですと、人形を作り、相手の体の一部を入れて呪うものや、いわゆる魔剣の類いも考えられますが、流石に簡易なものを教会が見落とすとは思えませんし、髭剃りが魔剣の類いにすり替えられたなんて事も、普通に考えれば無さそうですね」 


「えぇ。 なので気になるのよ。 未知の病気があるなら知りたい、何故彼は亡くなったのか。 私はそれを知りたいから貴方のお父上を通して声を掛けさせていただいたのよ」


「その信頼に応えられるように尽力致します。 また何かほかに変わったことや気づいたことはありませんか?」


「そうねぇ。 あっそういえばシスターが言っていたのだけど、どうも最近教会に熱心に来ていたお年寄りが連続して老衰で亡くなっているらしいわ。 忙しいと愚痴っていたわ」


「えっ、、、?」


 連続殺人。

 確証も自信も一切ないが、しかし何故か俺の心にはその言葉が思い浮かんだ。

 老人が老衰で亡くなる。

 この世界では珍しいことではない。

 ある程度の病気であればポーションや回復魔法で治る。

 だが当然治らない病気も当然ある。


 ん? 病気???

 今、気づいてしまったのだがこの世界の人間は免疫が低いとかないのだろうか?

 ポーションや魔法で治ってしまえば免疫がつかなくなる可能性がある。

 逆にその2つのせいで、妙な耐性が出来てしまって新しい病気が出てくる可能性もある。

 ある程度は地球と法則が同じだから油断していた。


 この世界にポーションや回復魔法に耐性がある疫病が流行ると、ペスト以上の猛威を振るう可能性がある。

 今回の事件がそれだと本当にまずい。

 それじゃないということを証明するためにも、急いで事件を調べなければ!


 ――ん! ――ちゃん!


「レフちゃん! 素敵なレディを2人も前にして固まっちゃダメよ♡ 固くなるのは下だけにしてね♡ うふっ♡」


「うっ、、、デルン伯爵夫人にカレウス卿もすみません。 少々思考に耽ってしまいました。 貴重なお時間とお話をありがとうございました。 何か分かればすぐに連絡いたします」


 今すぐ教会に戻りたいが、もう日も沈んできており、時間も遅いので家に帰ることにする。

 確証がないまま話を聞きに行っても、心証が悪くなってしまうだけでいいことはない。

 それに王都に複数ある教会の中で、今回の事件があった教会は過激派の上層部が偶に来るので、会うと面倒なので帰ることにした。



 帰宅して夕食や風呂を済ますと、トテトテと寄ってきたレリヴァの頭と下顎を撫でて椅子に座る。

 せっかくなのでレリヴァに話しながら、事件をまとめた


「レリヴァ。 今回の事件概要を言うから何か分かれば教えて欲しい」


「グワッ!」


 任せろと言いたいのか、モフモフの胸を張り、羽でペシンっと胸を叩く。


「商家の隠居老人オーキナーさんが髭を剃ってきたら、うっかり肌を切ってしまったらしい。 すると時間が経っても血が止まらず、慌てて教会に駆け込んだらしい」


「ペンペーン? グワワ?」


「あぁそう男性だ。 教会に着いたが回復魔法は効かなかった。 慌てた司祭は呪いを疑い解除を試みて、呪いに詳しい者を呼んで診てもらったんだ」


「グワッ!」


「だけど呪いではなかったらしくて、そのまま亡くなったんだ。 医者が解剖してみたが病気でもなかったらしい。 そして熱心な信者の老人が連続して老衰で亡くなった人がいるらしい。 レリヴァはどう思う?」


「グェェェ、、、」


 レリヴァにもまだヒントが足りないらしく、俯いて泣くだけだった。

 この子、普通に相槌のように返事してたし、やっぱりこのレリヴァが俺の異世界転生特典なのかもな。


 今回の事件は呪いにしても病気にしても俺の知識ではどうにもならないかも知れない。

 だが、それは事件を投げ出す理由にはならない。

 まだ何もしてない。泥まみれにならずに人が亡くなった理由を分かりませんと言いたくは無い。


 俺はメモ帳をしまうとレリヴァを抱き上げる。

 こないだブラッシングして、昨日も伯爵家で手入れしてもらったから、モフモフしてる。

 気持ちいいので、このまま一緒に寝ることにした。


 

 


 










ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

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