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『ハズレ職業【鑑定士】と呼ばれた俺、誰にも知られない固有スキル《真実の眼》で世界の理を見抜き最強へ』  作者: ねこノにゃんたん


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第七話 選ばれない依頼

ご覧頂きありがとうございます!

楽しんで頂けたら幸いです。

アルメリアの町は、朝から活気に満ちていた。

 石畳の道を多くの人が行き交い、露店からは焼きたてのパンの香りが漂ってくる。

 そんな景色に目を奪われながら、アルトは昨日見た建物の前で立ち止まった。

 大きな剣と盾を模した看板。


 ――冒険者ギルド・アルメリア支部。


「ここが……。」


 憧れ続けた場所。

 アルトは胸の高鳴りを抑えながら、重厚な木製の扉を押した。

 ギィ、と音を立てて開いた扉の向こうでは、多くの冒険者が朝食を取りながら談笑している。

 一瞬だけ視線が集まったが、すぐに興味を失ったように各々の会話へ戻っていった。

 昨日のように笑われることはない。

 それだけで少し肩の力が抜ける。


「いらっしゃいませ。」


 受付に立っていた女性が優しく微笑む。

 栗色の髪を後ろでまとめた、落ち着いた雰囲気の女性だった。


「私は受付のエミリアです。ご用件をお伺いします。」


「えっと……村長さんから紹介状を。」


「あら。」


 封筒を受け取ったエミリアは、中身へ目を通す。

 すると少しだけ目を丸くした。


「グレイウルフを討伐したアルト君……だったのね。」


「はい。」


「聞いていますよ。」


 昨日の使者が先に連絡を入れていたのだろう。

 エミリアは優しく笑う。


「まだ正式な冒険者登録はできませんが、見習いとして依頼を受けることは可能です。」


「本当ですか!」


「ただし、必ず町の周辺だけですよ?」


 アルトは大きく頷いた。


 依頼掲示板の前には、多くの冒険者が集まっていた。


「薬草採取。」


「角ウサギ討伐。」


「護衛依頼。」


 どれも初心者向けの依頼ばかりだ。


「どれにしよう……。」


 その時。

 《真実の眼》が静かに反応した。

最適な依頼を検索します。


「また……。」


 視界が少しだけ青く染まる。

 すると掲示板の片隅、一番下に貼られた古びた紙だけが淡い金色に光った。


推奨依頼

『古井戸の異変調査』

受注回数:0

達成者:0

推奨ランク:なし


「ランクが……ない?」


 普通の依頼にはEやDなどの難易度が書かれている。

 だがこの依頼だけは空欄だった。

 しかも、誰も見向きもしない。


「それが気になるの?」


 いつの間にかエミリアが隣へ来ていた。


「はい。」



「ああ……。」


 彼女は苦笑する。


「その依頼、もう三年も貼られたままなの。」


「三年?」


「誰も受けないのよ。」


「どうしてですか?」


「何も起きないから。」


「え?」


「井戸から変な音がするっていう依頼なんだけど、調べても異常なし。」


「だから誰も行かなくなったの。」


 なるほど。

 だから放置されているのか。

 その時。

 《真実の眼》の表示が変わる。


依頼情報更新。

偽装情報を検知。

本来の依頼名を表示しますか?


 アルトは思わず息を呑んだ。


「本来の……依頼名?」


 迷う理由はなかった。

(表示する。)


依頼名

『第一封印跡地・監視任務』


「……!」


 鳥肌が立った。

 第一封印跡地。

 そんな言葉は依頼書のどこにも書かれていない。

 さらに文字が増えていく。


依頼が改竄されています。

改竄実行者

閲覧権限不足


「改竄……。」


 依頼が、書き換えられている?

 誰かが意図的に隠している?

 アルトの鼓動が速くなる。

 《真実の眼》はまたしても、この世界の"裏側"を映し始めていた。


「この依頼を受けます。」


 アルトが依頼書を受付へ持っていくと、エミリアは驚いた表情を見せた。


「本当に?」


「はい。」


「危険はないと思うけど……気を付けてね。」


 受注手続きを終え、アルトは町の北にある古井戸へ向かう。

 古びた石積みの井戸。

 周囲には誰もいない。

 風が吹き抜けるたび、井戸の奥から低い唸り声のような音が聞こえる。


「これか……。」


 アルトが井戸を覗き込んだ、その瞬間。

 《真実の眼》が今までにない速度で文字を表示し始めた。


重大警告。

世界設定との接続を確認。

閲覧権限不足。

管理者権限を持つ存在が付近にいます。


「管理者……?」


 聞き慣れない単語。

 その意味を考える間もなく。

 井戸の底から、ゆっくりと誰かの声が響いた。


「――ようやく来たか。」


 アルトの全身に鳥肌が走る。

 井戸の底には誰もいない。

 それなのに、確かに声は聞こえた。

 《真実の眼》は、かつてないほど激しく明滅を繰り返している。


接触イベント発生。

対象名称

閲覧権限不足


 アルトは知らない。

 この井戸が、数百年前に世界から消された"真実"へと続く入口であることを。

読んでいただきありがとうございます!

次もお楽しみに!

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