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『ハズレ職業【鑑定士】と呼ばれた俺、誰にも知られない固有スキル《真実の眼》で世界の理を見抜き最強へ』  作者: ねこノにゃんたん


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20/21

第二十話 鑑定士はハズレじゃない

ご覧頂きありがとうございます!

楽しんで頂けましたら幸いです!


――勝率、〇・三パーセント。


 《真実の眼》が映し出した赤い文字を、アルトはただ呆然と見つめていた。


「……〇・三?」


 見間違いではない。

 これまでフォレストベアやアースリザードを相手にした時でさえ、勝率がゼロになることはなかった。

 だが、今回は違う。

 《真実の眼》そのものが、「勝てない」と告げていた。

 その時だった。


 ゴオオオオオオオオオッ!!


 再び、山の向こうから咆哮が響き渡る。

 町の人々も異変に気づき、家々から顔を出し始めた。


「なんだ、今の音は!?」


「魔物か!?」


「山の方だぞ!」


 アルトは弾かれたようにギルドへ駆け出した。


 冒険者ギルドは、すでに騒然としていた。


「西の山脈で巨大な魔物を見た!」


「嘘だろ!?」


「見間違いじゃないのか!?」


 怒号が飛び交う中、ガレスが机を叩いた。


「静かにしろ!」


 一瞬でギルドが静まり返る。


「斥候からの報告だ。山脈に災厄級の魔物が現れた」


 誰もが息を呑む。

 災厄級。

 それは、一つの町を滅ぼす力を持つ存在に与えられる呼び名だった。


「対象は——《アビスドラゴン》」


 その名前が告げられた瞬間、絶望が広がった。


「勝てるわけがない……」


「王都に救援を……!」


「間に合わない!」


 冒険者たちの顔から血の気が引いていく。

 しかし、その時。

 アルトの《真実の眼》が反応した。


対象:《アビスドラゴン》

推定レベル:72

通常勝率:0.3%

特殊攻略法を検索します——


 文字が次々と浮かび上がる。


【攻略法を発見】

条件一:《鑑定士》が指揮を執る。

条件二:町の鐘を三度鳴らす。

条件三:北門の古い見張り塔を破壊する。

条件四:《真実の眼》使用者のみ実行可能。

成功率:100%


「……え?」


 アルトは息を呑んだ。

 なぜ、見張り塔を壊す?

 なぜ、鐘を鳴らす?

 意味が分からない。

 だが、《真実の眼》は今まで一度も嘘をつかなかった。

 アルトは震える足で、一歩前へ出る。


「ギルドマスター!」


 全員の視線が集まる。


「僕に考えがあります!」


 静まり返るギルド。

 次の瞬間、冒険者たちの間から怒声が飛んだ。


「ガキが何言ってやがる!」


「相手は災厄級だぞ!」


「ハズレ職は黙ってろ!」


 その言葉に、アルトは拳を握り締める。

 怖い。

 逃げたい。

 それでも。

 ここで引けば、何も変わらない。


「……聞いてください」


 アルトは、震える声を押さえながら叫んだ。


「僕は鑑定士です!」


「戦う力はありません!」


「でも、敵の弱点を見つけることはできます!」


「だから——!」


 その時だった。


「静かにしろ」


 低い声が響く。

 前へ出てきたのは、ガルドだった。


「俺は、このガキに命を救われた」


「少なくとも俺は、アルトの話を聞く」


 続いてカインが前へ出る。


「俺もだ!」


 そして、一人、また一人と冒険者たちが立ち上がる。


「……聞くだけ聞いてみるか」


「他に方法もねえしな」


 ガレスは静かに頷いた。

「話せ、アルト」


 一時間後。

 町中の鐘が、三度鳴り響いた。


 ゴォォォン——。

 ゴォォォン——。

 ゴォォォン——。


 住民たちは避難を始め、冒険者たちは北門へ集結する。

 アルトは見張り塔の前に立っていた。


「本当に壊すのか?」


 ガルドが尋ねる。


「……分かりません。でも、《真実の眼》を信じます」


 全員で塔を押し倒す。

 次の瞬間。


 ゴゴゴゴゴ……!


 塔の下から、巨大な魔法陣が姿を現した。


「な、なんだこれは!?」


 誰も知らなかった。

 建国以前から存在していた見張り塔の地下に、こんなものが眠っていたことを。

 すると、《真実の眼》が表示を切り替える。


古代結界を確認。

封印解除。

対象:《アビスドラゴン》

弱体化開始。

成功率:100%


 空が揺れた。

 山脈の向こうで、黒い竜が苦しそうな咆哮を上げる。

 そして。

 その巨体は、ゆっくりと崩れ落ちていった。

 静寂。

 誰も動けなかった。

 災厄級の魔物が。

 七歳の《鑑定士》の一言で、倒れたのだ。


 数分後。

 広場は歓声に包まれていた。


「助かったぞー!!」


「町が救われた!」


「アルト! アルト!」


 人々が口々に少年の名を叫ぶ。

 昨日まで「ハズレ職」と呼んでいた人々が、今は尊敬の眼差しを向けている。

 アルトは、ただ呆然と立ち尽くしていた。

 その時、ガレスが前へ出る。

 そして、町中に聞こえるような声で言った。


「誰が言った?」


「《鑑定士》はハズレ職だと」


 誰も答えない。

 ガレスは、アルトの肩に手を置く。


「この少年が救ったのは、一人や二人じゃない」


「アルメリアという町、そのものだ」


 静寂の後。

 大歓声が響き渡った。

 アルトは空を見上げる。

 すると、《真実の眼》が静かに文字を映した。


第一章達成。

【鑑定士はハズレではないと証明する】

進行率:2.3%→5.0%

新たな情報を解放します。


 次の瞬間、アルトだけに見える文字が浮かび上がる。


警告。

勇者覚醒まで、残り八年。

魔王覚醒まで、残り八年。

世界崩壊まで、残り八年。


「……え?」


 アルトの顔から血の気が引く。

 歓声に包まれる広場の中。

 ただ一人、少年だけが、世界の終わりを知ってしまった。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

皆様に楽しんで頂けるよう今後も頑張ります!


評価や感想など是非いただけますと活動の励みになりますのでよろしくお願いいたします!


次回もお楽しみに!

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