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『ハズレ職業【鑑定士】と呼ばれた俺、誰にも知られない固有スキル《真実の眼》で世界の理を見抜き最強へ』  作者: ねこノにゃんたん


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第二十一話 世界の終わりを知る者

ご覧頂きありがとうございます!

楽しんで頂けましたら幸いです!


 歓声が響いていた。


「アルト!」


「町を救った英雄だ!」


「ありがとう!」


 大人も、子供も。

 農夫も、冒険者も。

 昨日までアルトを知らなかった人々までもが、少年の名前を叫んでいる。

 その中心に立ちながら、アルトは動けずにいた。

 頭の中には、たった今表示された文字だけが残っている。


 ――勇者覚醒まで、残り八年。


 ――魔王覚醒まで、残り八年。


 ――世界崩壊まで、残り八年。


「……世界崩壊?」


 小さく呟く。

 そんな言葉を聞いたことはない。

 少なくとも、アルトが知る歴史には存在しなかった。

 この世界は平和だ。

 魔物は存在する。

 小さな戦争や盗賊の被害もある。

 それでも、人々は明日が来ることを疑っていない。

 なのに。

 《真実の眼》は告げた。

 八年後。

 世界が終わる。


「アルト君?」


 エミリアの声が聞こえた。


「大丈夫?」


「あ……はい」


 アルトは慌てて笑顔を作った。


「大丈夫です」


 今ここで話しても、誰も信じない。

 それどころか、町を救ったばかりなのに、突然「八年後に世界が滅びます」なんて言えば、ただの子供の戯言だと思われるだろう。


 だから。

 アルトは一つだけ決めた。


 ――自分で調べる。


 そして、真実を知る。


◇◇◇


 その夜。

 冒険者ギルドの会議室。

 アルト、カイン、ガレス、エミリア。

 そして、ミリアが同じテーブルを囲んでいた。


「まず確認する」


 ガレスが口を開いた。


「アースリザードの件。そして今回のアビスドラゴンの件。どちらも、お前が弱点を見抜いたことで解決した」


「はい」


「だが、一つ問題がある」


 ガレスの視線がミリアへ向く。


「この少女だ」


 ミリアは不安そうにアルトの服を握った。


「森で保護された時、記憶を失っていた」


「それだけじゃない」


 ガレスは一枚の紙を机に置く。


「今日、教会から正式な捜索依頼が届いた」


 アルトの表情が変わった。


「教会から?」


「ああ」


 紙には、ミリアの特徴が細かく書かれていた。

 年齢。

 髪の色。

 瞳の色。

 そして――。


「『該当する少女を発見した場合、速やかに神聖教会へ引き渡すこと』……」


 アルトが読み上げる。


「なぜ教会がミリアを?」


「それは分からん」


 ガレスは首を横に振った。


「ただし、一つだけ分かっている」


「何ですか?」


「教会は、この少女を普通の子供として扱っていない」


 ミリアの手が震える。

 アルトはその手をそっと握った。


「大丈夫」


 ミリアが顔を上げる。


「僕がいるから」


 その言葉に、少女は小さく頷いた。


◇◇◇


 会議が終わった後。

 アルトは一人でギルドの資料室へ向かった。

 目的は一つ。


 ――勇者。


 ――魔王。


 ――世界崩壊。


 この三つについて調べるためだ。

 古い歴史書を何冊も取り出す。


「勇者……」


 ページをめくる。

 勇者とは、魔王が現れた時に神から選ばれる存在。

 魔王とは、魔族を統べる王。

 そして、勇者が魔王を討つことで世界に平和が戻る。


「……普通の伝説だ」


 どの本にも、それ以上のことは書かれていない。

 だが。

 《真実の眼》を使った瞬間。

 文字が変わった。


---


【歴史情報】


改竄の痕跡を確認。


正確性:43%


---


「……改竄?」


アルトは目を疑った。

 歴史が。

 書き換えられている?

 さらに別の本を開く。

 同じだった。

 また別の本。

 同じ。

 十冊。

 二十冊。

 全てに改竄の痕跡がある。


「誰が……?」


 その瞬間。

 資料室の扉が開いた。


「やはり、ここにいたか」


「ガレスさん?」


 ギルドマスターが入ってくる。


「一つ、お前に伝えておくことがある」


「何ですか?」


 ガレスはしばらく黙った。

 そして、低い声で言った。


「《鑑定士》という職業についてだ」


 アルトの手が止まる。


「鑑定士は、昔からハズレ職と呼ばれていたわけじゃない」


「……え?」


「少なくとも、今から数百年前まではな」


 アルトは目を見開いた。


「じゃあ、どうして……?」


 ガレスは答えなかった。

 ただ、古びた一冊の本を机の上に置いた。

 表紙には、擦れて読めない文字が残っている。

 アルトが触れた瞬間。

《真実の眼》が激しく反応した。


---


【重要情報】


この書物には、


《鑑定士》に関する真実が記録されています。


閲覧制限:


神聖教会によって封印されています。


---


「……教会が?」


 アルトの声が震える。

 ガレスは静かに頷いた。


「だから俺は、お前に言っておきたい」


「これ以上、《鑑定士》について調べるなら――」


 一拍。


「教会を敵に回す覚悟が必要になる」


 アルトは本を見つめた。

 怖くないと言えば嘘になる。

 だが。

 七歳の日。

 神から与えられた職業を見て、周囲の人々が笑った。


 ――ハズレだ。


 ――かわいそうに。


 ――将来苦労するぞ。


 あの日からずっと。

 アルトは思っていた。

 どうして。

 どうして自分の職業は、ハズレなのか。

 その答えが。

 今、目の前にある。


「……調べます」


 アルトは本を強く握った。


「僕は知りたい」


「どうして鑑定士がハズレと呼ばれるようになったのか」


「そして――」


 《真実の眼》が静かに光る。


「世界が終わる理由を」


 ガレスはしばらくアルトを見つめていた。

 やがて、小さく笑う。


「そうか」


「なら、止めはしない」


 その瞬間。

 資料室の外から、チリン――と鈴の音が聞こえた。

 二人が振り向く。

 扉の向こうには、誰もいない。

 ただ。

 廊下の床に、一枚の白い羽根が落ちていた。

 アルトはそれを拾い上げる。

 《真実の眼》が反応した。


---


警告。


神聖教会所属。


監視者を確認。


距離:12メートル。


---


 アルトの表情が変わる。


「……ガレスさん」


「ああ」


 ガレスも剣に手をかける。

 二人は同時に廊下の奥を見つめた。

 誰かがいる。

 そしてその人物は――。

 アルトが《鑑定士》の真実を知ることを、望んでいない。


最後まで読んでいただきありがとうございます!

皆様に楽しんで頂けるよう今後も頑張ります!


評価や感想など是非いただけますと活動の励みになりますのでよろしくお願いいたします!


次回もお楽しみに!

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