第二話 勝率六十八パーセント
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拙い文章ではございますが是非楽しんで頂けましたら幸いです。
「……条件?」
青白い文字は、俺の問いかけを待っていたかのように変化した。
【グレイウルフ】
撃破可能。
勝率:68%
攻略条件を表示します。
・左前脚へ強い衝撃を与える。
・3.4秒間行動停止。
・停止中に喉元へ攻撃。
成功率68%。
「攻略……?」
思わず息を呑む。
魔物に攻略法なんてあるのか。
そんな話は聞いたことがない。
「グルルルル……!」
グレイウルフが少女へ飛びかかる。
「危ない!」
考えるより先に体が動いた。
近くに落ちていた拳ほどの石を拾い、全力で投げる。
「当たれっ!」
石は一直線に飛び――
グシャッ!
左前脚へ命中した。
「ギャウッ!?」
グレイウルフが大きく体勢を崩す。
「本当に……!」
文字に書かれていた通りだ。
だが、それだけでは終わらない。
残り停止時間
3.1秒
数字が減っていく。
「時間まで見えるのか!」
俺は近くの太い枝を拾い上げ、駆け出した。
「うおおおおっ!」
渾身の力で枝を振り下ろす。
狙うのは――喉。
バキッ!!
枝が折れる。
しかし勢いは止まらず、尖った先端がグレイウルフの首へ突き刺さった。
「ギャァァァァ!!」
魔物が苦しそうにもがく。
そして数秒後。
ドサリ、と音を立てて動かなくなった。
森に静寂が戻る。
「……勝った?」
俺はその場にへたり込んだ。
武器もない。
戦った経験もない。
それでも勝てた。
俺が強かったからじゃない。
《真実の眼》が勝ち方を教えてくれたからだ。
「だ、大丈夫ですか?」
少女へ駆け寄る。
年は俺と同じくらいだろう。
銀色の髪に赤い瞳。
こんな子、村では見たことがない。
「……助けて、くれたの?」
「うん。」
少女は俺の顔をじっと見つめる。
その視線に違和感を覚えた。
まるで何かを確かめるような目だった。
「ありがとう。」
小さく笑う。
その笑顔を見た瞬間――
《真実の眼》が勝手に発動した。
解析対象。
実行しますか?
「え?」
今までと違う表示。
人にも使えるのか?
恐る恐る心の中で答える。
(……はい。)
すると。
名称:???
種族:閲覧不可
年齢:7
??????
閲覧権限が不足しています。
「閲覧……権限?」
何だ、それ。
今まで見たことのない表示だった。
「どうしたの?」
「いや、何でもない。」
まさか目の前に文字が浮かんでいるなんて言えるはずがない。
それより。
"閲覧できない"なんて初めてだ。
俺の能力にも限界があるのか。
「アルト!」
森の向こうから父の声が聞こえた。
「こっちだ!」
村人たちが駆け寄ってくる。
倒れているグレイウルフを見て、一斉に目を見開いた。
「まさか……倒したのか?」
「アルトが?」
「そんな馬鹿な!」
誰も信じられないという顔をしている。
当然だ。
七歳の子供が一人でグレイウルフを倒したなんて。
俺自身が一番信じられない。
「偶然です。」
そう答えるしかなかった。
《真実の眼》のことは誰にも知られたくない。
なぜか、そう思った。
その日の夜。
ベッドへ横になっても眠れなかった。
今日起きた出来事が頭から離れない。
「真実の眼……。」
小さく呟く。
すると文字が現れた。
固有スキル
《真実の眼》
熟練度:1
新機能を解放しました。
「新機能?」
文字がゆっくり書き換わる。
《自己解析》
使用しますか?
心臓が高鳴る。
(使う。)
次の瞬間。
視界いっぱいに青白い文字が広がった。
アルト・フェルディア
年齢:7
職業:【鑑定士】
Lv.1
HP:15
MP:8
筋力:6
敏捷:8
魔力:7
スキル
《真実の眼 Lv.1》
未解放項目:多数
「レベル……?」
こんなもの、この世界で聞いたことがない。
誰も教えてくれなかった。
いや――
誰にも見えていないのか?
そして、その一番下。
今まで存在しなかった文字が静かに浮かび上がる。
世界設定を検出。
閲覧権限不足。
レベル10到達で解放。
世界設定?
俺はその文字を見つめたまま、しばらく動くことができなかった。
まるで、この世界そのものに秘密があると言われたような気がしたからだ。
そして、その秘密へ至る鍵を握っているのは――
誰でもない。
ハズレ職業【鑑定士】になった、この俺だった。
ご覧頂きありがとうございました!
次回もお楽しみに!




