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『ハズレ職業【鑑定士】と呼ばれた俺、誰にも知られない固有スキル《真実の眼》で世界の理を見抜き最強へ』  作者: ねこノにゃんたん


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15/21

第十五話 森の主

ご覧頂きありがとうございます!

楽しんで頂けましたら幸いです!


ドォン――。

 ドォン――。


 地面を揺らす足音が、森全体に響き渡る。

 カインが木剣を握る手を震わせながら、森の奥を見つめた。


「な、なんだよ、あれ……」


 木々の隙間から、巨大な影が姿を現す。

 灰色の毛皮。

 二本の鋭い牙。

 そして、大人の三倍はあろうかという巨体。

 その魔物が一歩進むたび、周囲の木々が揺れた。

 《真実の眼》が反応する。


対象:《フォレストベア》

Lv.18

状態:狂乱

危険度:極大

勝率

単独戦闘:0.0%

共同戦闘:4.8%


「レベル十八……!」


 アルトは息を呑んだ。

 グレイウルフとは比べものにならない。

 まともに戦えば、全員死ぬ。


「逃げるぞ!」


 アルトは叫んだ。


「で、でも、追いつかれる!」


 カインの言う通りだった。

 相手は巨体の割に速い。

 逃げ切れる保証はどこにもない。

 その時、《真実の眼》が新しい文字を映し出した。


生存ルートを検索します。

成功率:73%

推奨行動。

一、北西へ走る。

二、渓谷へ向かう。

三、戦闘を避ける。


「北西だ!」


「カイン、おじいさんたちを頼む!」


「お、おう!」


 四人は一斉に駆け出した。

 背後から、フォレストベアの咆哮が響く。


「ガアアアアアッ!」


 凄まじい衝撃が背中を叩く。

 恐怖で足が止まりそうになる。

 それでもアルトは走った。

 自分だけじゃない。

 守らなければならない人がいる。


 数分後。

 森が開け、切り立った崖が見えてきた。


「行き止まり!?」


 カインが叫ぶ。

 だが、《真実の眼》は依然として「前へ進め」と告げている。

 アルトは崖の下を覗き込んだ。

 十メートルほど下に川が流れている。


「まさか……飛び降りるのか?」


 老人が青ざめる。

 その時、フォレストベアが森を突き破って現れた。

 もう迷っている時間はない。


推奨行動。

右側の岩を落としてください。

成功率:81%


「カイン! あの岩を押して!」


「はぁ!? こんな時に!?」


「いいから!」


 二人で岩に体当たりする。

 ビクともしない。

 背後ではフォレストベアが距離を詰めてくる。


「うおおおおっ!」


 最後の力を振り絞る。

 次の瞬間、岩が大きく傾いた。


 ゴゴゴゴゴ……!


 巨大な岩は崖下へ落下し、川へ激突する。

 激しい水しぶきが舞い上がった。

 そして。

 岩が川岸に引っかかり、天然の橋のような形になる。


「今だ! 渡れ!」


 老人がミリアの手を引き、橋を駆け抜ける。

 カインも続く。

 最後にアルトが渡り切った、その瞬間。

 フォレストベアが橋へ飛び乗った。

 だが、巨体は岩の重さに耐えられない。


 バキバキッ!!


 岩が砕け、フォレストベアは咆哮とともに川へ落ちていった。


「グオオオオオオッ!!」


 激流が巨体を飲み込み、その姿は見えなくなる。

 静寂。

 アルトたちは、その場にへたり込んだ。


「た、助かった……」


 カインが空を見上げる。

 アルトも肩で息をしていた。

 すると、《真実の眼》が静かに表示を切り替えた。


緊急クエスト達成。

報酬を付与します。

《真実の眼》熟練度上昇。

新情報を取得。


「新情報?」


 アルトが確認しようとした、その時だった。


「……おにいちゃん」


 ミリアが不安そうに袖を引っ張る。


「どうした?」


 ミリアは川の向こうを見つめていた。


「あのくまさん……」


「くまさん?」


「逃げてた」


「え?」


 アルトは目を見開く。

 フォレストベアは、自分たちを襲っていたんじゃないのか?

 ミリアは小さな声で続ける。


「もっと、こわいのが来る」


 その瞬間、《真実の眼》が反応した。


情報を更新。

フォレストベア。

状態:逃走。

狂乱原因:解析中。


 アルトの背筋が凍る。

 あの化け物が、逃げていた?

 では、フォレストベアを追い詰めていたものは何なのか。

 風が吹く。

 森の奥から、かすかに鈴の音のようなものが聞こえた。


 チリン——。

 チリン——。


 そして、ミリアが怯えた声で呟く。


「……思い出した」


「白い服の人たち」


「みんな、笑ってた」


 その瞳から、一筋の涙がこぼれ落ちる。

 アルトはまだ知らない。

 その「白い服の人たち」が、数日前に村へやって来た神官たちと同じ服を着ていたことを。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

皆様に楽しんで頂けるよう今後も頑張ります!


評価や感想など是非いただけますと活動の励みになりますのでよろしくお願いいたします!


次回もお楽しみに!

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