表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『ハズレ職業【鑑定士】と呼ばれた俺、誰にも知られない固有スキル《真実の眼》で世界の理を見抜き最強へ』  作者: ねこノにゃんたん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
12/21

第十二話 ギルドマスターの試験

ご覧頂きありがとうございます!

楽しんで頂けましたら幸いです!


依頼達成の報告を終えたアルトは、受領証を受け取って受付を離れようとした。


「アルト君。」


 エミリアに呼び止められる。


「ギルドマスターがお会いしたいそうよ。」


「え?」


 思わず自分を指差す。


「ぼ、僕ですか?」


「ええ。」


 エミリアは微笑みながら頷いた。


「怖い人じゃないから安心して。」


 その一言で少しだけ緊張が和らぐ。

 しかし、二階へ続く階段を上る足取りは自然と重くなっていた。


 部屋の扉を叩く。


「失礼します。」


「入りなさい。」


 低く落ち着いた声が返ってきた。

 中へ入ると、昨日見かけた老人が机に向かって座っていた。

 白髪混じりの髪。

 鋭い眼光。

 それでいて、どこか優しさを感じさせる雰囲気。


「初めまして。」


「アルトです。」


「うむ。」


 老人は頷く。


「わしはこのギルドを預かる者、ギルドマスターのガレスじゃ。」


 アルトは慌てて頭を下げた。


「そんなに固くならんでよい。」


 ガレスは立ち上がると、窓際へ歩いていく。


「昨日の依頼書。」


「古井戸を選んだそうじゃな。」


「はい。」


「なぜあれを選んだ?」


 不意の質問だった。

 アルトは少し考える。

 《真実の眼》が教えてくれたから。

 ……それは言えない。


「誰も受けていなかったので。」


「放っておけませんでした。」


 嘘ではない。

 本心でもある。

 ガレスは静かに笑った。


「そうか。」


 それだけ言うと、机の引き出しから一枚の地図を取り出した。


「少し試験をしよう。」


「試験?」


「安心せい。」


「戦う試験ではない。」


 地図には町の周辺が描かれている。

 その中央を、一本の川が流れていた。


「最近、この辺りで薬草を採りに行った者が帰ってこん。」


「冒険者を向かわせるほどではないが、気になっていてな。」


「どう思う?」


 アルトは地図を見つめる。

 《真実の眼》は反応しない。

 だから、自分で考える。


「川があります。」


「うむ。」


「雨が降ったら増水します。」


「その通り。」


「もし渡れなくなったなら……帰れなくなるかもしれません。」


 ガレスは黙って聞いている。


「でも、それだけなら何日も戻らないのは変です。」


 アルトは地図の端に描かれた小さな森を指差した。


「この森……。」


「近道になっています。」


「迷い込んだ可能性はありませんか?」


 ガレスは目を細めた。


「ほう。」


 初めて興味深そうな声を漏らす。


「なぜそう思った?」



「僕だったら近道を選びます。」


「急いでいる人なら、なおさら。」


 しばらく沈黙が流れた。

 やがてガレスは、小さく笑う。


「正解はまだ分からん。」


「じゃが、お前さんは"考える"ことができるようじゃな。」


 アルトはきょとんとした。


「《鑑定士》という職業はな。」


 ガレスは窓の外を見つめる。


「昔は"考える者"とも呼ばれておった。」


「……え?」


 初めて聞く話だった。


「今では失われた呼び名じゃ。」


「忘れておけ。」


 そう言うとガレスは話を切り上げた。

 しかしアルトの胸には、その言葉が深く残った。

 考える者。

 《鑑定士》に、そんな呼び名があったなんて。


 ギルドを出る頃には、日が傾き始めていた。

 その帰り道。

 市場の片隅で、黒いローブをまとった男が立ち止まる。


「……あれが。」


 男はアルトの姿を遠くから見つめる。

 首元には、小さな天秤の紋章。

 神聖教会の紋章だった。


「レオル様の報告通り。」


「確かに妙な気配がありますね。」


 男は懐から小さな水晶を取り出す。

 淡く光る水晶へ、小さく囁いた。


「対象を発見。」


「監視を開始します。」


 水晶の光は一瞬だけ強く輝き、すぐに静かになった。

 その様子を、アルトはまったく知らない。


 その日の夜。

 王都。

 巨大な訓練場では、一人の少年が木剣を振っていた。

 一振り。

 二振り。

 三振り。

 迷いのない、美しい剣筋。


「今日も完璧です、勇者様。」


 傍らで一人の神官が微笑む。

 金色の髪の少年――勇者は、汗を拭いながら空を見上げた。


「先生。」


「何でしょう。」


「最近、不思議な夢を見るんです。」


「夢?」


「誰かが……僕を見ている夢です。」


 神官は一瞬だけ表情を曇らせた。

 だがすぐに穏やかな笑みへ戻る。


「気のせいでしょう。」


「勇者様は使命に集中なさってください。」


「はい。」


 勇者は素直に頷く。

 その瞳には、まだ曇りはない。

 正義を信じ、世界を救うことだけを願う、純粋な少年だった。

 しかし神官は、勇者の背後で誰にも聞こえないよう呟く。


「……その時は近い。」


 その言葉の意味を知る者は、まだ誰もいない。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

皆様に楽しんで頂けるよう今後も頑張ります!


評価や感想など是非いただけますと活動の励みになりますのでよろしくお願いいたします!


次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ