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白黒出版・白版~本が売れない時代だから出版を考える~  作者: 伊阪証


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『黄昏急行 ~昼が来れば焼け死ぬ星で、僕は仲間と旅をする~』のレビュー

https://kakuyomu.jp/works/2912051599391516896

天才にしてはやや情緒的すぎる地の文が多いが、私はこれ自体は悪いとは思っていない。むしろ高評価点である。賢さは時間を短く感じる、人が年齢を経過すると短く感じるのは簡単に言えば計算問題の様なもので、1+1=2が刷り込まれるのを繰り返して短縮される訳だ、これは賢さによる変化で、それ以上の疑問が出せる天才ならば時間を長く感じれる。そんな風に私の周囲の天才は二分される。

だからその点で言えば情緒的な一方でその情緒だけに留め自己研鑽を強く行う人間である、という構造的な見解も可能になる訳だ。だから天才には頭がおかしいのが多くなる。活かせてないところはあるだろうが、だからといって特別悪い箇所は無い。

ここからが本番で、SFに関してめんどくさい私としてもちゃんと説明されている箇所は多いが、少し雑多とも思っている。

先ずいつものレビューセオリーは置いておき、設定を確認すると、アリアは自転が非常に遅く、昼の面は最大約600度、夜の面は最低約-150度になる。モチーフで言うと「風の谷のナウシカ」とか「地球の長い午後」になるだろう。また、重力加速度が同じということは角運動量保存の法則から自転の停止しても重力がある、距離が近いかクソデカ恒星になる訳だ。

しかしハビタブルエリアとハビタブルゾーンの差がイマイチになっている、エリアは基本的に区分された内の一つで、一般的にはハビタブルゾーンな上にどっちもワードとして出てきている。謎。

私がやるなら温度を活かして季節的な温度傾向からレールの曲がり方を変わるレールコースとかを作る、レールは数十度でも歪むし、地下水や地形による冷却の差、その関係でレールに合わせた運転の上手い人が必要…みたいなワクワク感のある、もっと言えば夢のあるSFじゃない、正直まだ他のSFをなぞっただけとしか言えない。

600度の地表から逃げるなら、石室より先に地下水・地熱・岩盤の熱容量・通風・結露・塩類・鉱毒・微生物・配管・ポンプ・濾過が出てくるはずで、地下に大河が存在し、温泉の様に楽しめる、とか、地下水があるから温室は温度が保たれる、とか、独自の埋葬により光にやがてやかれるようにする、とかやりようはあった。骨を強く保つためのビタミンD・カルシウムの強力なサプリメント、人工的に紫外線を照射する健康維持用ライト等も必要だ。

一番の問題が核融合炉である。重水素だけで核融合するD-D反応は、D-T反応より難しくて高温高圧が必要になるが高圧が用意出来ない。D-T炉ならトリチウムが要るが、トリチウムは半減期が約12.3年なので、180年も最初から積んでおくには向かない。リチウムブランケットで増やすのが主流になるだろう。というよりこんな温度があるならソーラーパネルと極限まで省エネな家電みたいなものの方がリアリティはある。サバイバルだからこそ道具が便利過ぎたら冷める。

この作品が舵を切るなら二択、マクガイバー的サバイバルか、メイドインアビス的サバイバルである。前者は「冒険野郎マクガイバー」のことでスイスアーミーナイフとダクトテープとその他日用品でなんとか

攻略する作品で、後者は「メイドインアビス」という独自の道具と独自の変化した環境を生き抜く話である。で、私のアイデアはどちらかと言えば後者のものが多い、地球前提じゃないし。

環境設定的には知識が甘いのではないか、という風に私は思う。

そして一番思うのはAIと人の差異に関しては特に違和感があって、ポアロは心理を読む名探偵ではあるけれど、あの人はかなり理詰めで、観察した矛盾、証言、動機、人物配置を「小さな灰色の脳細胞」で整理していくタイプだから、「感情から0→1を生む人間代表」として置くには少し無理がある。

正直やってることで言えばホームズとマーブル、分かり易く言えばコナンと小五郎である。ミス・マープルは、村社会や日常の人間関係を見て、「あの人は昔いた誰々に似ている」「人間はこういう時にこう嘘をつく」という生活観察と類型認識で真相へ近づく、ホームズもポアロもマープルも、全員かなり高度な推理装置であって、人間の一般的思考からは逸脱している。しかもAIだって候補を消すだけではなく、仮説生成もするし、心理モデルも作れる。

先ずAIと人間の絶対的差異について話すと、これはOrch-OR仮説に基づく話なので量子力学の知識を抜いて話すと、二進数と三進数の違いになる。回路の電気の有無で判断するAIと、微小管による二進数と三進数の複合、そして微小管にはトンネル効果、即ち量子関係の挙動が確認された訳だ。ここから発展して、フレーリッヒ仮説による周波数とPCの周波数の差異から推定していくとか、そこで初めてSFはSFとして機能し始める。

最初から区分した上で一直線上にある要素に均したならば、その明確な性能差が体温や冷却等共通点を見つけ、一つ一つ細かい箇所を知って、面白いとか正しいとか、そういう話に進めていくべきだ。あとこの説の成立自体は10年前くらいだが、動き始めたのは40年前のものだ、天才であるならこれを知らずして進めるということはない。

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