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第二十五話 ハジメ、使い魔を腹一杯にさせる



 ハッとして目を覚ますと、窓から日の光が差し込んでいる。

 ラビリオスは朝を迎えていた。

 ……わたし、ほんとに一人で勝手に寝ちゃったよ。

 エッチ師匠に殺されるかもしれない。

 恐る恐る横を向くと、クラウディオさんはわたしを腕枕したまま眠りこけていた。

 さ、最後、どうなったんだよ。

 この人、一人でエッチなことできたのか?

 

 そういえば寝顔をちゃんと見るのは初めてだな。

 頬に涙の雫が伝った後があった。

 目の下のクマが少し薄くなったように見える。

 

 ふいにクラウディオさんの腕が動いて、またわたしの頭に手のひらが置かれた。

 昨日のようにわたしの髪を優しく撫でてくれる。

 はー、あったかくてきもちいいね。

 視線を上げると、目は閉じられたまま、寝息も聞こえてくる。

 寝ぼけてんだ、寝ぼけてても優しいな。

 シーツに潜って、シャツのずり上がったお腹をペタペタ触る。


「……いっぱい食べられたのかー?」


 鼻がヒクヒクと動く。

 シーツの下は嗅いだことのない、なんとも言えない香りが充満していた。

 まあ、二人ともいっぱい汗かいたしね。

 パン、とお腹を叩いてまた顔を出す。

 わたしが涙の跡を爪でこそいでいると、クラウディオさんのまつ毛が震えた。

 目が開く。


「あ、おはよう」

「……」


 細く開いたまぶたの向こう、瞳が揺れて、ゆっくり焦点があってくるのがわかる。


「……ハジメさん」

 

 クラウディオさんはわたしの頭に置いた手を離して、胸元のロザリオを握りしめた。

 その握った手を額に当てて、肩を震わせる。

 昨日の跡をなぞるように、また新しい涙が瞳から溢れ出していく。


「ありがとう……ありがとう……」

「いいよ、わたしたちの仲じゃない」


 大きな頭を胸に抱えこむと、下着の胸元が涙で湿っていくのがわかった。

 師匠には怒られずに済みそうだった。

 

 順番にシャワーを浴びて、昨日のご馳走の残りを平らげる。

 やっぱり、カレーは2日目が美味い。

 クラウディオさんも、何度も頷きながらパクパク食べてくれた。

 二人してお腹をさすりながら天井を見上げていると、グウ、と低い音が鳴った。

 ……うん?

 視線を正面に落とすと、天井を向いたまま、顔が真っ赤に染まっていくのが見えた。


「……まだ、食べられそうだね?」


 ニヤニヤしながら近づくと、巨体が窓際に逃げ出した。

 肩を掴んでグイグイ揺らす。


「――おかわりする?」

「いいです! いいです!」

「遠慮しないでよ」

 

 嫌がるクラウディオさんをSTRで無理やりベッドに押し込んで、背中を押しつけた。

 ギャーギャー騒ぎ立てると、観念したように腕枕をしてわたしの髪を撫で出した。

 二人して眠りこけていると、もう昼になっていた。


 広場で買い食いをして、そのままギルドに出かけた。

 ステータス鑑定をさせてもらうと、クラウディオさんはレベル3になっていた。

 


読んでいただきありがとうございます。

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土曜日定期更新です。

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