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輪廻がイヤなら異世界転生。底辺職の先行斥候だけど『出納』スキルで好き勝手に生きてやる!  作者: 秋乃せつな
第2部 第1章

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第190話 納涼床昼寝付き

 スティングたちが狩ってきたロックバードを処理し終えていた解体班のところに大量の追加を【排出】して「よろしく~」とお任せで調理班に向かう。


 元が大きいから解体後の部位ごとの肉の塊も巨大だ。いろいろな部位をもらって焼き鳥に相応しい部位を探すことにする。が! どこでもいいんじゃねこれ? ひと口大に切っても繊維が大雑把な感じがしない。皮目(かわめ)だけが分厚(ぶあつ)過ぎて作れないけどね。近くにいる調理師に聞いてみる。


「なぁなぁ、ロックバードってなんか普通の鳥肉っていうか大雑把な感じが無いみたいなんだけど」


「そうですね! やっぱり魔獣肉は美味いですよ!」


 理屈じゃない、か。モモ肉を焼き鳥サイズに切って串打ちしてみる。塩を振って炙るように焼く。焼いてる間に胸やハツ、せせり、ぼんじり、首肉、肩、背、と少しずつ切ってみる。うーん、切ってるだけでわかるな。これ、美味しいだろ絶対。醤油とミソはまだ手に入ってない。いくら大都市っていっても辺境は辺境。百万人どころかその半分の半分も人が住んでないからなぁ。


 鶏ガラスープは存在するので、調理師にロックバードでのスープ作りを頼む。ついでにネギとレモンを拝借。もちろん前世地球と同じものではないが、限りなくそっくりだ。どっちも近場で生産されている辺り、植生が怪しい。


 白焼きにして塩だれ、塩のみ、レモンをちょい。うーん、どれも美味い。だからこそ、余計に醤油ダレが欲しいんだよなぁ。


 美味いことがわかったのでどんどん焼く! ソテーも作る! 主にシェリルとサリア用。ついでにボアも焼き鳥風に串打ち。久しぶりにホーンラビットも! 焼いてる内に楽しくなっちゃった。


 焼き上がったやつはそのまま【収納】する。これで食卓に持って行っても焼き立てだ。


 調理師がスープも持って行ってくれと渡してきた。基本的に自分たちで食べるものは自分たちで作るようにしているのだが、彼らがそれを許さない。好意は受け取る方がいいのでありがたくいただいていく。


 帰りに解体班に寄ってバラし終わったロックバードを【収納】する。氷室が出来上がっていたので氷をぶち込んでおく。これから解体するやつも氷室での保管をお願いする。同時に、氷室にあるものはなんでも好きなだけ使ってよしの許可を出す。


「俺たちとお前たちのどっちが先に食い尽くすか勝負だ!」と伝えて東屋に戻る。


 ◇


「ただいまー」


「あら、おかえり。早かったのね。ロックバードは解体終わったの?」


 サリアがお気に入りとなった帆布のサマーベッドに横たわりながら聞いてきた。


「解体はまだまだだよ。全部終わるの待ってたら夜ご飯になっちゃうからね。お昼ご飯を作ってきたんだよ」


「ロックー、さっき言ってた河原のやつ作ってそこで飲もー」


 キュロスはソファーベッドでゴロゴロしている。


「食べようじゃなくて飲もうになっとるね」


「でも作ってくれるんでしょー?」


「喜んで!」


「にゃはははは」


 やっぱりもうとっくに飲んでるんじゃないかなぁ。


「この辺は開拓班が水場として使うから上流に移動しよう。いい感じに浅瀬もあったしね」


「いいわよー。いこーいこー」


 キュロスがご陽気にノリノリだ。


「バリウス、そんなわけで俺たちちょっと昼飯行ってくるわ。上流にいるから何かあったら来てくれ」


「はい、わかりました。お気をつけて」


 こいつも俺たちの扱いに慣れてきたな。


 ◇


 開拓地から上流へ五分ほどの川幅の広い所に来た。川幅が広く、河原に近いところは流れもゆるく足首ほどの深さしかない。じゃばじゃば歩いて涼を取れるほどだ。大きい東屋を半分川に突っ込んで設置する。何度か足元の石を調整して水平を出す。屋根だけだから適当でいい。東屋の中に床を設置。こいつの水平はしっかり出す。床さえできればその上に家具を配置するだけだ。ものの一、二分で完成!


「あははは。床の下を川が流れてるー」


 キュロスは酔うと精神年齢が下がるなぁ。出会ったばかりのころのキュロスだ。お姉さんキュロスもいいけど、女の子っぽいキュロスもかわいいよね。酔っぱらいだけど。


「キュロスー、ビール入れといたよ」


「はーい」


 キュロスは自分用の皿に串焼きを適当に載せるとビールジョッキを持って床に座ると川に足を突っ込んだ。


「いただきまーす」


 そう言ってビールをかっ食らって焼き鳥を食べ始めた。そしてずっと笑ってた。


「うふふふ。あの()があんなに楽しそうにしているのは初めて見るわね」


「わたしも行ってこよーっと」


 サリアの一声でみんなで川に足を突っ込んでの昼飯になった。足元を濡らさないために服をどうしたかは大きな声では言えないなぁ。


 昼を食べ終えたキュロスはしばらく飲み続けてたけど突然「ロックきてー」と呼ばれてソファーに行くと抱き枕にされて昼寝に突入した。これ幸いと睡眠不足解消のために一緒に寝た。すぐ近くでサリアがシェリルに虫除けを伝授していたし、オルカもいたので俺は『走査(スイープ)』だけ張って何も考えずに寝た。


 ◇


 三時間も寝ただろうか。誰に起こされるわけでもなく自然と目が覚めた。よく寝たなぁ。なんかこれも新鮮だ。いつも誰かに起こしてもらってたからなぁ。夕方になって川面を渡る風が涼し気だがキュロスと一緒だったので寒くはなかった。


 ソファーを抜け出すとシェリルはいつものテーブルセットで読書中。サリアも何かの魔法書を研究中。オルカがいないなぁと思ったらザバっと川から出て来た。


「オルカなにしてたの」


「うん、泳ぎの練習してた」


「へー。誰に習ったの?」


「前にロックに教わったから」


 一回だけそんなことした気もするけど。それでもうひとりで川を泳げるのか?


 河原にもうひとつ小さめの東屋を設置して床の上に風呂を置いてやった。


「オルカ、シャワー降らせるからそのあとお風呂入っておいで」


 オルカにシャワーを浴びせているとシェリルがそわそわしだした。


「シェリルも入りたそうだね。早めに晩御飯にしてそのあとゆっくり入らない?」


 いま風呂にすると晩飯がいつになるかわからん。


「ん~。ロック、ごめんなさい」


 そう言うとすっくと立ちあがった。ダメだったらしい! 俺に向かって両手を広げて立っている。俺に断れるわけがない。着ているものを全部【収納】する。シェリルがオルカの元にぴょ~んと飛んで行った。シャワーを浴びせると気持ちよさそうにしてそのままオルカの入っている風呂に浸かった。とても幸せそうだ。


「ま、あんなに楽しそうな姉さんもそうそう見たことないけどね」


 今日だけは一番お姉さんっぽく見えるサリアがやれやれといった風情でシェリルを見ていた。


「グランデールでの暮らしが一番ってわけでもないよなぁ」


 サリアに紅茶を淹れながら話相手になってもらう。


「ふーん。そうねぇ。それは考えたことなかったけれど。今のこれが暮らしだっていうならまったくもって悪くないわね」


「これは、そうだね。暮らしではないけどね。ここは中継基地になる。フロンティアとのね。フロンティアのダンジョン素材を安定供給したいんだ。強力な武器防具の素材は秘匿する。それ以外のもので換金効率の良いものを国内、国外問わず売りつける。それを自前で全部やる」


「ん? 自前で? 全部? 他の国にあんたが店を出すって聞こえるんだけど」


「すごいね。サリアもそういう発想ができるんだね」


「いや、今あんたが言ったんでしょう」


「それでもその発想が出ないのがこの国の人間なんだよ。外国と繋がりのある商人に売るっていうぐらいまでが発想の限界かな」


「ふーん。なんでかしらね」


「移動に時間が掛かり過ぎるからかなぁ。ここから東の国と商品のやりとりなんて半年や一年掛かるでしょ? ひとりの人間が商品の移動に付きっきりってのは現実的じゃないよね」


「それはそうね。魔族でもなきゃ寿命が尽きちゃうわ」


「あれ? その話は知らないな。魔族は寿命が長いのかい?」


「え? 知らないの? わたしが人類種(ヒューマン)より成長が遅いのは見たらわかるでしょ? 純粋種の魔族はもっと遅いわよ」


「種族特性? 本当に?」


「他になにがあるのよ」


「俺さ、気になってることがあってさ。俺も少し遅い気がするんだよ。俺は歳の割に背が高いんだと思ってたんだ。それは間違いじゃないんだけどさ、俺の身体って本当に十歳なのかな?」


「スキルもらったんだから間違いなく十歳でしょうよ」


「いや、そう言う意味じゃなくてさ。サリアと同じだよ。人間(ヒューマン)として遅いんじゃないかなって。歳の割に背が高い。でもそれって十歳の肉体でそれが起きているのかい?」


「ま、あと一、二年すればはっきりするわよ」


 ふむ。それもそうか。サリアに言われて気にするのも馬鹿らしくなった。子供の考えることじゃないよね。





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