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輪廻がイヤなら異世界転生。底辺職の先行斥候だけど『出納』スキルで好き勝手に生きてやる!  作者: 秋乃せつな
第6章 DAY6~7

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第136話 暴露合戦

 あまりに規格外のスキルを心配してサリアが俺の顔を見つめている。魔力量によって回数制限がある魔法ではなく、スキルだから制限が存在しない。弾さえあればメンテ不要で撃ち続けられる。なんなら弾は『収納』し直して数十秒したら位置エネルギーの再充填完了でまた撃てるようになる。


「俺は『歩く倉庫』で『食料庫』で『金庫』で『武器庫』で『武器』そのものなんだ。しかも、中にある大量の物資はリスト化されて全て把握できている。それが『出納』なんだ。ただし、俺の知識にあるモノとして整理されるんだけどね。宝石は俺がルビーと認識していればルビー。でも、見た目は宝石だけど名前がわからないものはただの宝石。それがキレイな石だったとしても俺が宝石だと思えば宝石として取り扱われる。『鑑定』の能力は無いから」


 俺はみんなの顔を見渡す。理解してもらえたようだ。


「それで次なんだけど」


「まだなんかあるわけ!?」


 サリアが泣きそうな顔だ。いや、だってさっきサリアが気にしたことだからね? ちゃんと説明するよ。


「答えたくなかったら答えなくていいんだけど『探索(サーチ)』のスキルを持ってる人はいる?」


 全員が手を上げた。うそやん。


「え? 全員? なんで?」


 今度はサリアがドヤった。


「ふっふーん。驚いたわね。ジーナ様の教えなのよ。『身体強化』と『探索(サーチ)』は必須で何より優先して習得させられるわ。あとは水と火の初級魔法ね」


 なるほどね。フランとは話が合いそうだ。異世界サバイバルについて談義をしてみたいな。


「今度『森』に行く時に誘ってみようかな」


「誰を?! まさかジーナ様のこと言ってる?!」


 いけね。声に出てたか。サリアがえらい食いついて来る。


「だって、おもしろそうじゃない? あと俺はやっぱり狩人で冒険者なんだよね。だから森に行きたいんだ。練習というか修行というか、とにかく、この世界で生き残るためにいわゆる冒険者としての技術を鍛えたいんだよね」


 その言葉にキュロスが反応した。


「ロック、もちろんそれってあたしも連れて行ってくれるんだよね」


「キュロスは興味あるんだね? 一緒に来てくれるならぜひお願いしたいな」


「行く行く! あたしは元銀等級冒険者だからね! 行きたいに決まってるわよ! 楽しみだわー。でもロックが一緒の冒険ってちょっとどうなるか想像つかないわね」


「あのねー、あのねー、木の上でびよーんってなってね、ふわふわしてね、とっても楽しいのよ!」


 オルカがキュロスのそばに走り寄って一生懸命説明してて可愛い。キュロスがそれを聞きながらオルカの頭を撫でている。シェリオルも尊かったが、オルキュロも甲乙付け難い尊みがあるなぁ。


「ちょっとロック、わたしもあんたのパーティーメンバーだからね! わたしだって元冒険者なんだから!」


「いいの? サリアはソロぼっちプレイヤーだったって聞いてた気がするんだけど」


「ぼっちとは聞き捨てならないわね! いいに決まってるでしょう! あの頃はね、わたしの魔法と身体目当ての馬鹿な男どもばっかりでパーティーなんか組めたものじゃなかっただけなのよ!」


 身体目当てってあなた、それはちょっと話を盛り過ぎでしょ。


「あんたが今何か失礼なことを考えてる気がするけどまぁいいわ。とにかく、わたしもメンバーですからね」


「いや、もちろんだよ。サリアがいてくれたらこれほど心強いことはないんだから。すごいぞこれは。この四人でパーティーか。無理せず、でもどこまで行けるか試したいね」


「ロック」


 シェリルが静かに俺の名を呼ぶ。


「はい、なんでしょう」


「私も当然メンバーですよね」


 えっ。男爵家のお嬢様ですよね。それはどうなんでしょうか。


「いや、あの、森の中で狩りをしたり野宿したりの野蛮な冒険ですよ?」


 シェリル解放から俺たち全員は家族になったから敬語を使うのはやめたんだけど、これには思わず敬語になる。


「問題ないわ。私もお店で五年も鍛えたんですもの。せっかく自由になれたのよ? 外の世界を見てみたいわ」


 そうだな。ひとりだけお留守番もないよな。世界を見たいなんて、俺と同じ想いじゃないか。


「もちろん何の問題も無いよ! シェリルにも世界を見せたいよ! みんなで世界を見に行こう。それに、お肉の仕入れはどれだけしておいてもいいものだしね」


 とりあえず五人のフルメンバーでパーティー結成だ。現時点で誰も冒険者登録していないパーティー結成。これって冒険者パーティーって言っていいのかな。


「それで? 『探索(サーチ)』を持ってるとどうなるのよ」


 そうだ。その話の途中だったんだ。


「えーとね、『探索(サーチ)』を進化させると上位版の別の魔法になるというか。俺はそれのことを『走査(スイープ)』って呼んでいるんだけど」


「は? ちょっと待って。魔法の基本の話をするわよ? 魔法にはそれぞれ強弱は存在するわ。同じ『探索(サーチ)』を使っても、人によって『探索(サーチ)』できる距離や角度、一日に何回使えるかの違いということね。これは全ての魔法でそう言えるわ。その人が持つ魔力の質と量の話よ。進化ってなによ」


「その前にもうひとつ俺の秘密を」


「ちょちょちょちょい! ちょっと待ちなさい! まだなんか増えるの?!」


 これはもう避けては通れないのだよ。本気の飛び道具はまだ話せないけどね。もう少しここでの生活の基盤が完成するまで、俺が拒否されてここにいられなくなってもみんなが生きていける基盤が出来るまでは秘密のままだ。


「俺、『出納』の他にもう一個スキルがあるんだよ」


 サリアが泣きそうな顔になった。シェリルは少し驚き顔で、キュロスは「今なんて?」っていう感じ。オルカはもう知っているのでニコニコしている。きっと「わたしはもう知っているのよ」という軽い優越感を感じているのかもしれない。


「オルカには言ったことあるからもう知ってるんだよね」


 そう言うとうれしそうに頷いた。サリアが無言で手招きしてオルカを呼び寄せて抱っこすると、頭を撫で始めた。扱いがペットだな。撫でられてるオルカが幸せそうだからいいけど。サリオルはロリ入ってて背徳の萌えなんだよな。危険な香りしかしない。


「正確にはどんなものかわからないんだけど、どうやら『魔力』関係の強化っぽいんだよね。これを身に着けてから魔法がだいぶ上手くなって、魔力量と回復も日々増えている感じがするというか」


「魔法が上手くなる? 魔力量が増えていく? あんた、それであの変な風魔法とか使いまくっていたのね。あれ、一瞬で覚えて変な改造もしてたわよね。あと変な四角い氷も作ってたわよね」


 心外だなぁ。変になってばっかりやないかい。


「たぶんそうなのかな? それで、元々覚えてた『探索(サーチ)』を使ってもっと良くできないかなって改良したんだ。そこで生まれたのが『走査(スイープ)』というやつなんだけど。オルカ、そこの宝石をひとつ取ってどっちかの手で握って俺に見えないように持ってくれるかい」


 前にやった遊びなので俺が何をしたいかわかっているオルカは無造作に金貨何枚するかわからないようなごつい宝石を掴み取った。それを見ていたサリアが「ひぃっ」と息を飲んだ。オルカは掴んだ宝石を右手で握って身体の後ろに隠した。


「いいよ」


「右手」


俺は目をつぶって後ろを向いたまま間髪入れずに答えた。オルカの右手に握られた宝石を優しくサリアが右手で持つ。


「サリアの右手」


 俺の体勢は変わっていない。サリアが俺の方を見たまま宝石を左手に持ち替える。


「サリアが左手に持ち替えた」


 サリアが宝石を自分の胸元に入れようとしている。


「サリア、それはシェリルかキュロスじゃないと出来ないと思うよ」


「うっさいわねっ!」


 キュロスが自分の胸元に手を入れてふむふむと頷いていた。サリアがそれを見て舌打ちしている。シェリルは自分の胸元を見ないように我慢しているのがわかるぐらい変な感じになっていた。


「あんた、それなんなのよ?」


「これが『走査(スイープ)』。なんていうか『探索(サーチ)』で使う波をね、自分を中心にして球形、全方向に広げる感じ。この波のセンサーの中にあるものは全部わかる。そこに空間があれば中がわかる。透視しているわけではないから、中にあるものが紙っぽいっていうのはわかるけど、文字は読めないんだ。いや、精度を上げれば筆圧の凹凸で文字が読めるようになるかもしれないなぁ。まぁ、とにかくこれを使っている間は範囲内のものは常に情報が更新され続けるから、実際に自分の目で見ているのと同じ感覚だね。おもしろいのは、目で見るより周りの状況がわかるってこと。完全に死角が無くなる。そして、範囲を広げれば今この建物のどこに何人いるかも全部わかる。これを使って隠し金庫や隠し扉を見つけて、扉を開けずに金庫の中身だけ『収納』したり、鍵の掛かった扉を『収納』して中に入ったりしたんだ」


 目を閉じたままサリアの前まで歩いて、テーブルの上にあるコップを持ってひと口飲んで元の場所に置く。


「常に見えているですって? それって、夜の闇の中でも昼に自分の目で見るより広い範囲のものが正確にわかるってことなのよね?」


「おー、キュロスの戦闘センスはさすがだね。そういうことです」


 キュロスは思い当たる節があったようだ。


「あの時、影に入ってたあたしの位置と構えを正確にわかってたのってコレなのね」


 南地区の路上で対峙した時だ。


「そうそう。俺からは全部見えてたんだよね。だからキュロスに俺が見えるように影から出たんだよね」


「うーん。なんかドっと疲れたわ。アンタが規格外な理由がいろいろわかってきたわ。他にはないでしょうね?」


 オルカを抱っこしているサリアにズイっと顔を近付けて桃色金剛石(ピンクダイヤモンド)の瞳を覗き込む。


「サリア、俺はミステリアスな悪い男なんだよ。秘密はまだあるに決まってる。俺たちの時間はこれからもたくさんあるだろ? ゆっくり知ってくれればいいよ」


 震えるサリアが何か言う前に俺の首の後ろ、両肩あたりに柔らかいモノがノシっと乗ってきたと思ったらそのまま胴体もガシっとカニ挟みで長い脚が絡んできて捕まった。身体強化でキュロスをおんぶする。


「ふふふ。秘密のある男はいいわねぇ。いろいろ暴きたくなっちゃうわぁ」


 頭の上から囁かれる。こ、これが年上の余裕か! あ、サリアも一応、年上だったっけ。


「いいですよ。いつでも受けて立ちますからね。どうぞ暴いてやってください」


「わたしはねー!」


 サリアが負けじと顔を寄せて来る。最近、サリアの余裕が無いことが多いな。俺の頭の上にはキュロスのあごが乗っている。身動きの取れない俺の額と額が触れそうなほどの距離に詰めてきたサリア。


「わたしは、魔法がスゴイのよ! 私のスキルは『魔法使い』よ」




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