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翌日、いよいよ今日は元の世界に戻る日だ。貴仁はダイニングに向かっている。貴仁は朝から緊張している。両親や友達はどんな気持ちで待っているんだろう。きっと、またここに戻ってくるのを待っていたに違いない。ここで暮らした事を誇りに思い、これからまた元の世界で頑張らなければならない。もう両親に怒られないようにしなければならない。
「おはよう」
「おはよう」
ダイニングに入ると、そこには龍の姿の4匹がいた。最初は驚いていたけれど、今はそんなに驚かなくなった。それが普通だと思うようになっていた。
「いよいよ今日だね」
明の言葉に、貴仁は緊張した。今日帰るんだと思うと、少し寂しくなる。だけど、ここは自分のいるべき世界ではない。
「うん」
「いろいろあったけれど、いい思い出だったよ」
貴仁は笑顔だが、心の底では寂しさであふれている。ずっとここにいたいけど、みんなが待っているから、帰らなければならない。
「ここでの生活もいいでしょ?」
「うん。だけど、元の世界の、本当の家族の元に戻らないと」
貴仁の意志は固い。自分はこの世界の子供ではない。
「そうだね」
「ここに来て、本当によかったよ」
紀夫は喜んでいる。ここに来て、自分を見つめなおしてくれた。そして、成長できた。ここでの日々を糧に、これからもっと頑張ってほしいな。
「そういってくれて、嬉しいよ」
貴仁は椅子に座った。早く朝食を食べないと。
「いただきまーす」
貴仁はゆっくりと食べ始めた。思えばここで食べるのも、今日で最後だ。いろいろあったけれど、どれもいい思い出だったな。本当に素晴らしいな。
「おいしい!」
「そう? ありがとう」
瑠奈は嬉しそうだ。こっちの料理も気に言ってくれて、本当に嬉しいな。まさか、人間の子供を保護するとは思わなかった。とてもいい経験だな。
「だけど、もう食べられないんだな」
貴仁は寂しそうだ。もうこんな手料理、食べられないんだなと思うと、残念な気持ちになる。だけど、これからは名津子の手料理を食べないと。
「そうだね。だけど、本当のお母さんの料理の方がいいよ」
「そうだね」
瑠奈は少し残念そうだ。だが、母の料理の方が、愛情があっておいしいからいいんだろうな。
「だけど、元の家族のもとに帰らないと」
「ごちそうさま」
貴仁は食べ終わった。と、テレビには裁判の様子が映し出されていた。明は裁判官をしていると聞いている。明はこんな事をやっているんだなと思いつつ見ている。そこには、連れてこられたと思われる人間が映っている。人間は下を向いている。これから判決を受けると思われる。
「これが、裁判の様子?」
「うん。ひどい時には地獄流しにされるんだよ」
明は真剣な表情で見ている。明日、優太郎と名津子の裁判をするからだ。判決はもう決まっている。地獄流しだ。だが、これを貴仁に言ってはならない。偽の両親の元で幸せになってほしい。その方が貴仁にとって幸せだろうと思っていた。
「そうなんだ・・・」
それを聞いて、貴仁は不安になった。悪い事をしたら、こんな事をされるんだな。悪い事をしてはいけないんだな。
「どうしたの?」
「いや、悪い事をしちゃいけないんだなと思って」
と、明は何かを感じた。もしかして、優太郎と名津子がここに連れ去られた事を知っているんだろうか? 秘密にしていたのに。
「貴仁くん・・・」
その表情を見て、貴仁は何かを感じた。ひょっとして、両親はここに連れ去られたのでは? 家から追い出すって、悪い事だから。
「どうしたの?」
「いや、何でもないよ」
「そっか・・・」
そろそろ歯を磨いて、帰る支度をしないと。
「さて、歯を磨いて支度をしないと」
貴仁は洗面所に向かった。この洗面所を使うのも、これが最後だ。そう思うと、また寂しくなった。明はその様子をじっと見ている。ここでの思い出を忘れないようにしているようだ。
貴仁は歯を磨き終えると、2階に向かい、着替えた。いよいよ帰る時間が近づいてきた。貴仁はドキドキしていた。元の世界に戻るからだ。
貴仁は玄関の前にやって来た。玄関の向こうには白い光がある。その先に元の世界がある。貴仁はその光をじっと見ている。その先に元の世界があるんだ。
「じゃあね、バイバイ」
「バイバイ」
貴仁は手を振って、元の世界に戻っていった。4人の家族はその様子をじっと見ている。貴仁が偽の両親と幸せな家庭を築きますように。
その頃、偽の両親は貴仁を待っていた。家に帰ってから、本物の両親のふりをしていた。誰も気づいていない。これなら大丈夫だろう。そして、今月31日まで本物の両親のふりをしていれば、貴仁はずっと自分のものになるだろう。そして、本物の両親は地獄流しで死んでいく。それが理想のシナリオだ。
2人は緊張していた。どのように貴仁を迎えようか? 笑顔で迎えるのが普通だが、それしかない。今まで大変だったでしょうと声をかけよう。
「いよいよ帰って来るな」
「うん」
2人はくつろぎながら、貴仁が来るのを待っていた。
「うまくそのふりをしろよ」
「ああ」
何も知らない貴仁は、家に向かっていた。とても懐かしい風景だ。また帰ってこれてよかった。やっぱりここが一番だな。住み慣れていて、過ごしやすい。
貴仁は玄関の前に立った。いよいよ家の前にやって来た。追い出されて、魔界の坂根家にお世話になってから、久しぶりに帰る家だ。貴仁は緊張している。
「ただいま!」
その声を聞いて、偽の名津子がやって来た。だが、貴仁には本物の名津子のように見える。
「あら、おかえり。大変だったでしょう。追い出しちゃって、ごめんね」
偽の名津子は申し訳ない気持ちでいっぱいだ。世界でたった1人の可愛い我が子を追い出してしまった。そんな両親は、両親として失格だよね。これからは追い出さずに、愛情をもって接しよう。
「いいよ。自分が悪いんだから」
だが、貴仁は謙虚だ。追い出されたのは自分の成績が悪いからだ。待たされないためには、成績を挙げなければならない。
「そう。反省してるみたいね」
「うん。これからは頑張るから」
それを聞いて、偽の名津子は喜んだ。これから頑張ると聞いて、本当に嬉しいようだ。貴仁はほっとした。
「じゃあ、今日から頑張ってね」
「わかった」
貴仁は2階に向かった。もっと宿題を頑張らないと。そして、夏休み明けのテストでいい点を取らないと。宿題を全部終わらせないと。
貴仁が部屋に入ると、偽の優太郎がやって来た。
「うまく言ったじゃないか」
「ありがとう」
偽の名津子は笑みを浮かべた。うまくいったようだ。このまま頑張っていこう。
ふと、偽の優太郎は思った。今頃、本物の両親はどうなったんだろうか? 牢屋に着いたんだろうか? 裁判は明日だと聞いたが。
「本当の両親、どうなってるんだろうね」
「わからないけど、今頃牢屋に着いただろうな」
偽の名津子は不気味な笑みを浮かべている。偽の名津子も、今頃牢屋に着いたと思っているようだ。
その頃、本物の両親は馬車の中にいた。2人は両手両足を縛られた状態だ。その中には、何人かの人がいて、彼らも両手両足を縛られている。彼らはすでに死んでいて、これから生前に犯した罪を裁かれる。彼らはまるで死人のように動かない。それを見て2人は、自分の未来を暗示した。どんな事をされるか想像できないけれど、これから自分はとんでもない事をされるんだ。
「はぁ・・・」
「どうしてこんな事に・・・」
2人とも落胆していた。飲み会からの帰りでこうなったのだ。まるで天国から地獄に落とされた気分だ。だが、2人は知らない。これから地獄を歩かされるという事を。
ふと、優太郎は思った。自分がした悪い事といったら何だろう。ひょっとして、貴仁を家から追い出した事だろうか? そんな事で捕まるなんて、やりすぎじゃないか?
「わからない。だけど、貴仁を追い出したからかな?」
名津子もそう思っていた。しばらく貴仁がいなくなっていたのには、何か理由があるに違いない。
「きっとそうだけど、ここはどこ?」
2人は外の様子がわからない。だが、ここは世界じゃないことは明らかだ。中世の世界のような雰囲気だ。それに、自分を連れ去ったのは龍だ。この世界に存在しない空想上の生物だ。
「そうだな。ここは普通の世界じゃなさそうだな」
優太郎もそう思っていた。自分は僕たちが住む世界とはまた別の世界に連れ去られたんだ。だとすれば、早く元の世界に帰らないと。
と、誰かが声をかけた。その男は老人で、とても弱っている。
「あんた、お若いな?」
「えっ!?」
急に話しかけられて、2人は驚いた。まさか、誰かから話しかけられるとは。
「ここは魔界じゃ。お前さんたちは、これから魔界裁判にかけられるんだろう」
それを聞いて、2人は驚いた。自分たちは魔界にいて、これから魔界裁判にかけられるとは。魔界裁判とは、どんなものだろうか? 2人は普通の裁判よりも恐ろしいんだろうと思った。
「魔界裁判?」
「悪い事をしたから、裁判にかけられるんだ。どんな判決になるかわからんけど、元の世界よりも厳しいぞ」
やっぱりとても厳しい裁判なのか。おそらく、貴仁を家から追い出した罪だろう。それしか心当たりはない。でも、どうしてそれだけで裁判にかけられなければならないんだろうか? ひょっとして、貴仁がいなくなっている間に魔界に連れ去られて、何をされたのか話したから、こうなったのでは?
「そうなんだ・・・」
と、馬車が停まった。どうやら、牢屋に着いたようだ。
「着いた、かな?」
突然、扉が開き、中からミノタウロスが出てきた。どうやら牢屋の関係者のようだ。
「おら、出ろ!」
ミノタウロスは中の人々を無理やり引っ張り出した。優太郎と名津子も同様だ。
「痛い!」
名津子は痛がった。だが、ミノタウロスはそれを気にしていないような態度だ。あまりにも乱暴だな。
「痛いのはわかってる。こっちに来い!」
「はい・・・」
2人はミノタウロスに引っ張られていく。2人は抵抗できないほどおびえている。これから牢屋に入れられるんだ。そして、魔界裁判にかけられるんだ。そう思うと、ゾクゾクしてくる。魔界裁判は厳しいと聞いているが、果たして、私たちはどんな罰を受けるんだろう。
しばらく歩いていくと、牢屋が見えてきた。そこには罪人が多くいる。彼らはすでに死んでいて、魂だけの存在だ。
「ここに入れ!」
ミノタウロスは鍵で牢屋を開け、2人を放り込んだ。放り込むと、ミノタウロスはすぐに扉を閉め、鍵をかけた。
「うわっ!」
「乱暴だぞ!」
優太郎は怒った。だが、ミノタウロスは全く気にせず、去っていった。
「これから、どうなっちゃうんだろう」
「わからない。だけど、ひどい事になりそうだな」
2人は不安になった。これからどんな事をされるんだろう。わからないけれど、ひどい事に違いないな。
ふと、名津子は貴仁の事を考えた。今頃、貴仁はどうしているんだろうか? 元気にしているんだろうか?
「貴仁・・・」
「心配だね・・・」
優太郎も心配になった。まだまだ小学生だ。この先、まだまだ両親の助けた必要なのに、面倒を見てやれなくて申し訳ない気持ちだ。早く貴仁の元に戻って、一緒に過ごしたい。だけど、それができない。




