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Families  作者: 口羽龍
前編 2つの世界
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2/12

2

 翌朝、貴仁は目を覚ました。だが、貴仁は新鮮に思える。どうしてだろう。いつもと違う場所で寝ているからだろうか? ここは実家ではない。それに、世界ではない。ここは違う世界だ。自分がここにいていいんだろうかと思っているが、そっちの家族が快く受け入れてくれた。これでよかったんだろうか? 本当の両親は心配していないだろうか? 今頃、両親は貴仁がいなくなって大騒ぎになっているだろう。そう思うと、早く帰らないとと思えてくる。


 貴仁は1階のダイニングに向かった。階段もいつもと違う。どこか新鮮に感じる。経験したことはないが、ホームステイってこういう感覚なのかな?


 貴仁はダイニングに入った。そこには紀夫がいる。紀夫は新聞を読んでいる。ここは元に住んでいる世界と同じだ。


「おはよう」

「おはよう」


 紀夫は声をかけた。貴仁の表情を見て、紀夫は思った。何か悩んでいる事があるんだろうか? もし会ったら、話してほしいな。


「どうしたの?」

「いつになったら、帰れるのかな?」


 貴仁は思っている。いつになったら帰れるんだろうか? 自分はここにいるべきではない。元の世界に戻り、そこで生きるべきだ。家族と一緒に住み、いつか独り立ちするんだ。


「帰りたいの? 追い出されると思うよ」


 まだそう言っているんだろうか? 追い出されても、一晩経てばまた家の中に戻れるのに。


「そうかな? 一晩経てばまた家に入れたんだけど」


 それを聞いて、紀夫は何かを感じた。どうしたんだろうか? 貴仁は疑問に思った。


「うーん・・・、そうかな?」

「信じられないの? だいたいそうだよ。僕、何回も追い出された事あるんだもん」


 貴仁は、追い出された時を思い出した。一晩経てば、表情が元に戻って、また家に戻れるよ。


「そんなにあるんだ。何回されたの?」

「わからない。多すぎてわからないんだ」


 それを考えると、貴仁は下を向いた。何度もそんな事をされた。とても恥ずかしい。誰にも言いたくないぐらいだ。


 何度もされた事を知って、紀夫の表情が変わった。何度も追い出す両親が許せないんだろうか? 叱ってやりたいと思っているんだろうか? 本当に悪いのは僕なのに。


「ひどい親だね」


 瑠奈もひどいと思っているようで、厳しい表情だ。とても気になっている。


「頑張ってるんだけど、なかなかうまくいかないんだよ。両親は勉強を手伝ってくれないし」


 貴仁は両親に不満を持っていた。どんなに勉強で悩んでいても、助けてくれない。そんでもって、テストや通信簿が悪ければ、容赦なく家から追い出す。いつかそんな両親に仕返しをしたいと思っていた。


「うーん・・・」


 それを聞いて、紀夫は悩んでいる。貴仁のためにも、この両親を何とかしないと。


「どうしたの?」

「いや、何でもないよ」

「そっか」


 瑠奈が朝食を作り終え、テーブルに朝食を並べた。みそ汁とごはん、ベーコンエッグだ。


「さぁ、朝食を食べよう」

「うん」


 それを聞いて、明がやって来た。だが、その姿は青い龍だ。その姿を見て、貴仁は戸惑った。声は明だが、姿は青い龍だ。どういう事だろうか? ここはどこだろうか? まさか、異世界に迷い込んだのか?


「おはよう、って、えっ!? 龍?」

「うん。驚いた。僕たち、龍なんだよ」


 だが、明はそれが普通だと思っていた。自分たちは普通に龍だよ。それがどうしたのって表情だ。


「そうなんだ・・・」

「全然怖くないわよ」


 瑠奈の声を聞いて、貴仁は振り向いた。瑠奈は黄色い龍の姿だ。それを見て、貴仁は思った。この家族は、龍の家族なのか?


 最初は戸惑っていた貴仁だが、徐々に落ち着いてきた。姿が龍なだけで、とても優しそうだ。この家族とも仲良くなれそうだな。


「そう・・・。ところでここ、どこ?」

「えっ、ここ? 魔界」


 魔界と聞いて、貴仁は驚いた。まさか、魔界にやって来たとは。自分はとんでもない世界にやって来たな。早く元の世界に戻らないと。


「えっ!?」

「魔界だよ。僕らのような魔獣がいる世界」


 貴仁は紀夫の方を向いた。紀夫は赤い龍の姿だ。とてもかっこいい。強そうで、どこか優しい表情だ。


「ふーん・・・」

「どうしたの?」

「何でもないよ」


 すでに起きて、嶺亜は朝食を食べている。嶺亜は緑の龍の姿だ。だが、貴仁は驚いていない。ここでは普通の光景だろうと思っていた。


「まぁ、食べなさい」

「いただきまーす」


 貴仁は椅子に座り、ご飯を食べ始めた。とてもおいしい。本当の両親よりもおいしいな。この両親なら、ずっといてもいいなと思った。でも、本当の両親ではない。両親のもとに帰らなければならない。


「おいしい?」

「うん」


 それを聞いて、瑠奈は喜んだ。自分の作った料理がおいしいと言われて、嬉しかったようだ。もっと頑張る気持ちになれる。


「よかった。本当の親と比べて、どう?」


 その声に、明は反応した。果たして、貴仁はどっちの親がいいんだろうか? 貴仁の本当の両親は見るからにダメな両親だ。指導しないと、また家から追い出すだろうな。そして、貴仁はいい子に育たないだろうな。


「こっちのほうがおいしいな」

「それはよかった」


 それを聞いて、明はほっとした。貴仁はその視線が気になった。明はずっとここにいてほしいんだろうか? 自分は元の世界に戻らなければならないのに。


 紀夫と瑠奈はそのやり取りをじっと見ていた。とても気になるようだ。果たして、貴仁は元の世界に戻りたい、また本当の両親と暮らしたいと思っているんだろうか? また追い出されるというのに。


「えっ、何か?」


 貴仁は2人の表情が気になった。また実家に戻ろうと思っているのが気になるんだろうか? ずっとここにいてほしいと思っているんだろうか?


「いや、何にも」


 貴仁はほっとして、朝食を再び食べ始めた。その様子を、紀夫と瑠奈は見ていた。




 その頃、島田家でも朝を迎えた。昨日は貴仁を追い出した。1晩外で過ごして、反省しているんだろうか? 今度こそ反省しているんだろうか?


 名津子は玄関を開けた。いつもの朝だ。果たして、貴仁は外にいるんだろうか? 名津子は辺りを見渡した。


「貴仁ー、もう戻りなさい」


 だが、名津子は異変に気付いた。貴仁がいないのだ。いつもなら、外でじっとしているはずなのに。どうしたんだろう。こんな事はなかった。まさか、家出をしたんだろうか? もしそうなら、捜索願を出さないと。


「あれっ!?」


 名津子はもっと真剣に辺りを見渡した。だが、それでも貴仁はいない。いったいどこに行ったんだろうか? 名津子は知らなかった。貴仁が魔界にいて、そっちの家族の世話になっているという事を。


「どこ行ったのかな?」


 その声を聞いて、優太郎は目を覚ました。いつもとは違う声だからだ。貴仁の身に何があったんだろうか?


「どうしたんだ?」

「ここにいるはずの貴仁がいないの」


 優太郎は呆然となった。貴仁はどこに行ったんだろうか? まさか、近所の子供の家に世話になっているんだろうか?


「えっ!? いないって?」

「うん。ここにいるはずなのに」


 名津子は指をさした。追い出されたら、翌朝はいつもここにいたのに。今回はいない。


「どっか行ったのかな? 探そうよ」

「うん」


 名津子は朝食を食べずに、近所を回った。優太郎は仕事を休んでまで、貴仁を探そうと思った。一体貴仁はどこに行ったんだろうか?


 2人は隣の家にやって来た。その家には、子供がいない。だけど、貴仁とは仲が良くて、知り合いだ。


「すいませーん、うちの貴仁、見ませんでした?」


 だが、出てきた老婆は、何も知らないようだ。貴仁の姿を、昨晩見ていない。


「見なかったなー」

「そうですか・・・」


 その表情を見て、老婆は気づいた。きっと、貴仁の身に何かがあったに違いない。もし行方不明なら、一緒に探そう。


「どうしたんですか?」

「昨夜、外で反省していろと言われて、玄関の前にいたはずの貴仁がいないんです」


 それを聞いて、老婆はあきれた。また追い出したのか。これで何度目だろう。もうやるなとさんざん言っているのに、またやるとは。この夫婦は全く懲りないな。


「えっ、またあんな事やったんですか?」


 老婆は怒っている。何度もこんな事をするから、貴仁がいなくなったに違いない。いつかそんな事になると思っていたが、本当にこんな事になるとは。


「はい・・・」

「いい加減にしなさいよ! ひどいよ」


 老婆は怒鳴った。それを聞いて、2人は反省した。自分はとんでもない事をした。もうやらないから、早く帰ってきてほしい。そして、また一緒に暮らそう。


「でも、それが愛情だと思ってやってるから」


 だが、名津子はそれが愛情だと思っているようだ。それを聞いて、老婆は名津子をビンタした。名津子は驚いた。


「いっつもそんな言い訳してんじゃないの!」

「ご、ごめんなさい・・・」


 名津子は頭を下げた。だが、老婆の表情は変わらない。とても怒っているようだ。追い出した夫婦が許せないようだ。


「もう貴仁くん、帰ってこないかもしれないよ」

「そんな・・・」


 それを聞いて、優太郎は呆然となった。愛情をこめて育てた貴仁が、もう帰ってこないかもしれない。それを考えると、名津子は涙が出てきそうだ。もう会えなくなったら、どうしよう。これからどうして生きていけばいいんだろう。全くわからない。


「そんなの嫌でしょ? だったら、もうやらない事。そして、謝りなさい」

「はい・・・」


 2人は家を後にした。別の家に聞こう。もしかしたら、そこにいるかもしれない。


 と、そこに誠也がやって来た。誠也は公園で行われていたラジオ体操からの帰りだ。


「ねぇねぇ、貴仁、見なかった?」


 誠也は首をかしげた。貴仁のみに何かあったんだろうか? 表情から察するに、とんでもない事になったんだろう。昨夜は落ち込んだ表情で家の前にいた。誠也は島田家の前を見たが、そこに貴仁はいない。


「昨夜はいたんだけど、いないなー」


 名津子は思った。捜索願を出そう。早く出して、見つけ出さないと、命が危ないだろう。


「捜索願、出そうよ」

「うーん・・・」


 2人は焦っていた。貴仁が行方不明になったという事は、あまりにも大事件だ。これは警察に言わないと。だが、優太郎は思っていた。しばらくしたら、また帰ってくるだろう。まだそんなに大騒ぎするほどではないだろう。


「これは大変な事だよ!」

「そうだね、捜索願を出そう!」


 名津子の慌てている表情を見て、これは大変な事だと感じた。貴仁が死んだら、これから僕たちはどう生きていけばいいんだろう。そうならないためにも、早く捜索願を出さないと。


「ああ」


 だが、その様子を1人の男と女が陰で見ていた。紀夫と瑠奈だ。だが、みんなには見えていない。魔法で透明になっているからだ。


「どう?」

「捜索願が出されそうだ」


 瑠奈は感じた。これはとんでもない事になったな。何としても、彼らを落ち着かせるためにも、何とかしないとな。


「そうなんだ・・・」


 紀夫は考えた。そろそろあるものを用意しないと。そして、貴仁の両親を懲らしめないとな。


「そろそろ、あれを用意しないとな」

「あれ?」


 瑠奈は首をかしげた。何を用意するんだろうか? 瑠奈には全くわからない。


「ああ。あれだ」


 紀夫は思っていた。貴仁の複製人間をここに送り込み、2人の日々を観察する。そして、魔界に連れ去るチャンスを伺う。そして、貴仁の両親を連れ去り、魔界で裁こう。それと入れ替わりに、貴仁の両親の複製人間を送り込む。そして、貴仁は貴仁の両親の複製人間と暮らす。そっちの両親の方が、貴仁にとっては幸せだろうと思っていた。


「そうだね」


 瑠奈も理解した。貴仁にとってはそれが幸せだな。貴仁の両親は、親として失格だな。魔界で裁きを受けないと。

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