↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
犯罪奴隷になったので生きていくために闇組織の首領になる事にした  作者: 城之内


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/15

第4話 監視役

 


 自称王女だと供述している頭の痛い少女。フリッカの過去には然程興味がない。


 それより話が通じるセオドアの異能(ギフト)について聞いておきたい。


「ちょっと静かにして下さい。フリッカ様、王女様なら下々の意見を聞くものです。そういう立場が弱い者達を庇護する王達がのちの世で称えられるのですよ」


 何気なく適当に喋ったが、フリッカは目を丸くして硬直した。


「……亡きお父様も同じような事言っていたわ……」


 じーんと感じ入っているフリッカ。よく分からないが、これで静かになった。

 

「さてセオドアくん。質問していいかい?」

 

「う、うん。ただセオドア、で、いい、よ」


「本当かい? じゃあセオドア。君の異能(ギフト)はどんな力なのかな? 勿論教えたくなければ大丈夫だよ」


「……あ、えっと。クラフトっていう異能(ギフト)だった……」


「ふむふむ、クラフト。物作りが得意という事か。等級は?」


「六等級って、鑑定士の人は言って、た」


「ほう、三等級より上は凄く珍しいと聞いたけど。素晴らしいじゃないか」


「いや、そんな、事は……ただ器用なだけ、で……地味な力……だよ」

 

 セオドアは自嘲するように口をへの字に曲げた。


 その力でどんな事ができるのかは、彼も把握している途中らしい。


「私だって六等級の炎の魔法が使えるわ! 見なさい、下民!」

 

 また話に乱入してきたフリッカが、人差し指を立てて天井に向けた。

 すると、指先に炎が灯る。


「炎魔法……なるほど」


「光栄に思いなさい、下民。私の力を目にできた事を」


「コウエーです、フリッカ。あ、間違ったフリッカ様。でさ、セオドア。まず君の意思を確認したいんだけど、このまま奴隷として一生を過ごすのは嫌だよね?」


「……う、うん。嫌、だけど、もう……」


 諦めたように力なく笑う彼の肩を組み、僕は励ました。


「大丈夫。一緒にここから出よう。僕達は異能(ギフト)を持っている。鉄格子は雷が流れる仕掛けのようだけど、異能(ギフト)が封じられているわけじゃない」


「……そ、その、鉄格子だけじゃなくて。首輪と手錠にも、同じ仕掛けがあるん、だ。些細な衝撃にも、反応する仕組み、だから」


 僕は自らの両手に嵌められた枷を見下ろす。

 なるほど、他人に従う事を極端に嫌いそうなフリッカが大人しくしているわけだ。

 

「それでも、力を活かせば活路は必ず開ける」


 まずは僕の力を試したい。大変希少らしい八等級以上の異能(ギフト)を活かせば、牢からの脱出など容易いはず。


 ……容易いよね?


 まあとにかく発動してみないと何も始まらない。


「君はどうやってクラフトの力を発動しているのかな。発動している自覚はある?」


「……えっと、ない、かも」


「そっか」


「私にも聞きなさい! 勿論、跪いてからよッ」


 聞くまでもない。フリッカは明らかに自分の意思で炎を指に灯した。


 つまりゲームで例えると、異能(ギフト)には常時発動しているパッシブスキルと、能動的に発動するアクティブスキルの二種類があると考えられる。


 セオドアが前者で、フリッカは後者。


 僕のテイムは恐らく魔法と同じアクティブスキルだ。パッシブスキルのように常時発動しているなら、僕の周りには生き物が寄ってくるはずだから。


 なのでフリッカを参考にした方が良いだろう。


 見たところ彼女は難しい理論や工程をクリアして魔法を発動しているようには見えない。つまり魔法を使うのは簡単で、念じたり心の中で想像して行使するのではないか。


 だとしたら魔法と同様、僕のテイムも念じたりして使えるはずだ。

 しかしテイムする生き物がいない事には力は試せない。


「僕の異能(ギフト)はテイムというものなんだ。生き物を仲間にする力だと思われる。どうにか試してみたい。鼠とかはいるかな?」


「あ、い、いる、よ」


「え、ほんと?」


「よ、夜になると、カサカサ音、するんだ。だから来てると、思う」


「なるほど。それは助かる」


 地下牢だから鼠くらいいてもおかしくない。

 隅に食べかすでも置いて放置しておけば確実だろう。


 そんな事を考えていると、地下牢に出入りするための扉が重々しく音を立て始めた。


「――食事の時間ですよ。奴隷の皆さん」


 トレイに皿を五枚乗せた長髪の優男がやってきた。

 口調は丁寧で顔つきも商人のようだが、身体は引き締まっている。


 腰に巻いたベルトには鞭が差してあった。


 ショタ好きのラズと同じで、彼も用心棒として雇われているのかもしれない。


「おや、今日はいつも殴りかかってくる少年が気絶していて助かりますね」


 革ベルトには鍵束が吊り下げられている。ただそれを使って牢の中には入ってこないようだ。

 

 鉄格子の下の部分に僅かな隙間が空いており、優男はそこからトレイを差し入れて僕達に寄越した。


 皿にはシチューが盛られ、パンが浸かった状態だった。量は少ないが人数分ある。


 僕が礼を言おうと口を開く寸前、彼がニヤけた表情で、


「……親殺しの新入り奴隷さん。貴方の分の食事にはサービスしておきました」  


「……」


 彼が指差したシチューの中には黒光りする虫が入れられていた。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。