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魔法少女ノワール・ケイト  作者: 未来乃メタル(みらいの・めたる)
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第47話 魔法少女よ、永遠に(その4)


「みんな、ケイトに力を集めるのよ!」


 遠方テレキネシスからのエミの呼び掛けに、黒の魔法少女の四人がケイトの元に集まった。


「いい、いくわよ」


 サキの号令で四人は手を合わせてケイトの背中越しに魔力を送ろうとした、その時だ。


「私たちも協力するわ」


 白の魔法少女の五人がやってきて、シズカが申し出た。


「気持ちはありがたいけど、あなたたちの魔力はバックアップとして残しておいて。いますべての魔力を集めてしまったら、万が一の時、太刀打ちできないから」


「なんか偉そうだな」


 サキの断りかたが気に入らなかったのか、白チームの一人、マリが不満な声を漏らした。


「マリ、落ち着きなさい。ここは彼女の言う通りにしましょう。私たちは待機させてもらうわ、サキさん」


 シズカがマリを諫めた。


「じゃあ、仕切り直して、いくか!」


 ミサトが号令を掛け直して、黒チームの四人がケイトの背中に手を翳す。

 自分の体の周りに大きなエネルギーが渦を巻くように集まってくるのを、ケイトは感じる。


「ふん、黒猫ちゃんと、白猫ちゃんがじゃれ合って、可愛いねえ。準備ができたら、早くお出で」


 上空に浮かび続けながら、マリーは欠伸を噛み殺すポーズで少女たちを挑発した。


「いきますよ!」


 エネルギー充填100%。否、ケイトが持っている初期値から測れば、魔石によってさらにマキシマイズ(格上げ)された四人分の魔力は、裕に1000%を超えていた。

 レーザービームよりも強力な光の束が、ケイトのてのひらからほとばしる。


「え?」


 マリーにも予想外の高密度のエネルギーが、自分の元へと一直線に伸びてきた。

 ほとんどノーガードの状態で直撃を受けたマリーは、瞬間的に意識が飛ぶほどの圧力を全身に浴びて白目を剥いた。


「かはっ!」


 一つ咳き込むようなうめき声を発して、糸の切れた凧のように、マリーの体が落ちていく。


「やった!」


(あ、いかんな、そのセリフ)


 アズサの上げた声に、ミサトが嫌な顔をした。


「やったか、禁止って、昔から言うだろ」


 しかし、ミサトの心配をよそに、マリーの体は、墜落してビルの影に吸い込まれるようにして消えた。


「え? 本当に、やったのか?」


 マリーの姿がなかなか現れる様子がないので、少女たちは勝ちを確信しかけた、が。


「よくもやってくれたな……」


 ビルの隙間からマリーがゆっくり浮いて現れた。


「やっぱりか」


 ミサトが残念そうに、だが、どこか楽しんでいるような口調で呟いた。

 攻撃を放った当のケイトは、一貫して真剣な表情を崩していなかった。

 心はマリーかもしれないが、体はやっぱりアオイちゃんのものだ。あまりダメージが強いと、元のアオイちゃんに戻れなくなってしまう。

 だから、マリーがほとんど無傷の姿で現れたので、少しだけほっとしていたのだ。ただ、高エネルギーの衝撃波を受けたため、髪の毛はパンチパーマをかけたように、毛先までチリチリになっている。いわゆる雷様ヘアというやつだ。


「今の攻撃は利いたよ。でも、もう一度同じ魔力を放つことはできないよね」


 マリーは完全に怒っている。


「今後はこっちから行くよ」


 マリーがこれまでにないほどの魔力を込めているのがその場にいた全員に伝わってくる。


「うわ、なんかヤバイぞ」


 ミサトが危険を感じてサキの方を振り向いた。


「ケイト!」


 サキが思わずケイトの袖を掴んだ。

 それに応えるかのように、ケイトはマリーの攻撃に備えて魔力でバリアを張った。


「お前ら、皆くたばれ!」


 マリーが杖を振るって魔力を放ち、ケイトの張った盾と激しくぶつかった。

 さらに、マリーはゴーレムに攻撃を命じた。


「いまだ、やれ!」


 マリーの攻撃で緩んだ盾の上に、さらにゴーレムの攻撃が加わる。

 落雷が直撃したかのように、黒チームの五人が吹き飛ばされた。


「次はお前らだ、白猫ちゃんたち……」


 黒チームを一蹴したマリーは、さらに近くに待機していた白チームに目標を定めた。


「来るなら、来なさい」


 シズカは強がって見せたものの、今の闘いをみれば実力差は明らかだ。自分たちには勝ち目がないことはわかっていた。


「まだよ、勝負は、付いていないから」


 サキが立ち上がりながら言った。

 地面に体を打ち付けたものの、ケイトのバリアのお陰で、五人ともそれほどのダメージは受けていない。


「あんまりやられっ放しじゃ、こっちだって、面白くないからな」


 サキに続いて、ミサトも立ち上がった。


「そうだ、皆で、あいつをやっちゃおう」


 アズサがゴーレムを指差した。


「それがいいわね。ゴーレムは私たちが相手をするから、ケイトは、マリーをお願い」

 

「うん! わかった、サキちゃん、任せて」


 ケイトの目にはこれまでにないほどの強い意志が現れていた。


「黒ねこちゃんたち、まだ懲りないのか。なら、来てみろ」


 ケイトがマリーと一対一で向き合った。

 一方、サキ、ミサト、ユキ、アズサの四人がゴーレムと向かい合う。


「それぞれ、別々に攻撃をしかけましょう。私は右腕を狙うから、ミサトは左腕、ユキは右足、アズサは左足を狙うのよ」


「了解、了解」


 サキが他の三人に指令を送った。


「せーの!」


 ミサトの掛け声で、三人が一斉にゴーレムに攻撃を加えた。


「怯まないで、どんどん続けましょう」


 四人は攻撃の手を緩めなかった。それぞれがゴーレムの四肢に一点集中で攻撃を浴びせる。

 最初はシャワーを浴びせている程度にしか見えなかったが、ある一点が過ぎると異変が起きた。


〈バキっ〉


 枯れ枝が折れるような鈍い音がしてゴーレムの右腕がひしゃげた。続いて、左腕、遅れて、右足、そして左足、そしてついに四肢が引き千切られたように捥げ落ちた。ゴーレムは、今や美術室にある石膏像のような姿になった。


「やったぜ! 今度は、本当に、な」


 ミサトが勝ち誇ったように、ウインクしてみせた。


 ケイトとマリーが対峙しているほんのわずかの時間の出来事だ。


「な、なんだと?」


 胴体と頭だけを残したゴーレムが何かのオブジェのような姿で宙に浮いている。

 その変わり果てた姿に、さすがのマリーも慌てるほかなかった。



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