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七の①


     七


 帰り路、どうしてか東堂は瞬間移動の能力を使ってくれず、俺たちは新幹線で戻った。切符は東堂が用意してくれていたらしい。

 俺たちはその道中に色んな話をした。

 天界には東堂の主である白いイナヅマの神と、それと仲の悪い黒いイナヅマの神とがいるということ。そして、ナマステという男が黒いイナヅマの神に力を授けられるまでの経緯。それから、最後に俺たちを東堂がバラバラに飛ばした時に想定された幾つかのパターン。

 東堂は俺たちの前に姿を見せなかった一ヶ月の間に天界と人間界を行き来して、最も迅速で確実に、そして最良の結果を得られるような作戦を吟味していたらしい。それが今度の結果に繋がった、というわけだ。

 本当は天使が天界の力を地上で使うのはご法度らしいが、それも制限付きで白いイナヅマの神とやらの許しを得てきていたらしい。

 そしてまた、今回辿った結果が、実は最も不確実性の高いルートであったことも。確かに、ガイは危なっかしかったが、終わりよければ全て良しといったところだろうか。

 ……ちなみに、その間、俺たちが会話している光景は、きっと周囲から見て少々異様だったに違いない。何しろ、東堂の姿は他の人には見えないのだから。新幹線で俺たちを訝しむ目があったのを、ちゃんと確認もしている。まあその時は、そういう好奇の目で見られるのが、まんざらでもなかった。

 あっという間に公園に辿り着いた。俺たちの話は絶えず、着いてからもしばらく話し込んだ。ガイは花壇の前に座り込んで、俺たちはそれを立って囲みながら。

 途中で、その日塾があるのを思い出し、俺は家に帰ることにした。……名残惜しくなんかあるもんか。むしろ、東堂ともう二度と会わなくて済むと思うと、せいせいする。これからはこんな変な事件に巻き込まれることがないように祈るだけだ。そもそも、塾よりも何よりも、腹が減って仕方ないのだ。

 俺は、気分がよかった。明日から夏休みだ。終業式は休んでしまったけれど、夏休みがやってくることに変わりはない。

 夏だけど、日もとっぷり暮れて、なんとなく、東堂に初めて会った夜に似ている気がした。

 俺は振り返った。そこにはまだ確かに、ガイと東堂の二人が、公園の灯りに照らされている。

 それを確認すると満足して前を向き、空を見上げた。相変わらず、都会の空は空虚だ。まあ、それにも今日は憂鬱になることなく、良しとしようじゃないか。

 ヒーロー業も、たまには悪くない。

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