第一章 3. 繁殖候補の通知
朝食を終え、仕事へと向かうため、ロビーの端末に手をかざした時だった。
隼人の個人携帯端末(スマートウォッチ型)が、通常とは異なる、高音の電子音を奏でた。
画面を見ると、そこには黄金色の菊花紋章とともに、太字で通知が表示されていた。
【通知:繁殖プログラム選定のお知らせ】
三浦隼人様。
あなたの最新の健康診断、身体能力検査、知能検査、および遺伝子プロファイルの評価に基づき、今期の繁殖プログラムの「上位四十パーセント参加者」に選出されました。
つきましては、本日より繁殖準備期間へと移行し、労働割り当ては一時免除されます。
明日13時に、中央ブリーディングセンターへ出頭してください。
隼人の心臓が、ドクンと大きく跳ね上がった。
周囲の男性たちの視線が一斉に隼人に集まる。
羨望、敬意、誠実な祝福の眼差しだった。
「おお……! 隼人、また選ばれたのか! これで五回目だな!」
小林が、自分のことのように顔をほころばせ、隼人の肩を叩いた。
「ありがとうございます、小林さん。自分でも驚いています」
隼人は胸が熱くなるのを感じた。
この国では、男性は二十歳になると、それまでの遺伝子検査や知能検査、身体能力検査、行動履歴に基づき、厳格に振り分けられる。
著しく成績が悪かったり、反抗的な態度を見せた者は「隔離施設」へと送られ二度と戻ってこない。
彼らがどうなったのかを気にする者はいなかった。
社会の調和を乱す不適合者など、いない方がいいとも思っていた。
そして残りの男性は、さらに厳しい基準をクリアした「上位四十パーセント」だけが、神聖なる繁殖プログラムに参加する権利を得る。
この上位四十パーセントに選ばれ続けることは、男性にとって最大のステータスであり、無上の名誉だった。
隼人はこれまで、二十三歳、二十五歳、二十七歳、二十九歳の時に選ばれ、すでに四人の子供の父親となっていた。
子供たちの母親は、もちろんすべて別の女性だ。
自分の遺伝子を受け継いだ子供が、この女神国家のどこかで、国の宝として育てられている。
そう思うだけで、日々の肉体労働の疲れなど一瞬で吹き飛んだ。
「隼人なら当然だよ。お前はいつも体を鍛えているし、知能テストの成績も抜群だ。今回の女神様も、きっとお前を選んでくれるさ」
小林の言葉に、隼人は居住区の空を見上げた。
青く、どこまでも澄んだ空。
これから自分は、この世界の真の支配者であり、慈悲深き管理者である「女神(女性)」と対面するのだ。
男性にとって、女性は文字通りの「女神」だった。
彼女たちは美しく、知的で、この高度に発達した世界一の超大国を動かすブレインだ。
男性は隔離された居住区で平穏に暮らし、女性たちは外の広大な世界で、国政、最先端科学、芸術、貿易を担っている。
そして、女性は必ず二十代の内に二人、子供を産む義務がある。
人工授精や体外受精を選ぶ女性も多いが、この国では約六割の女性が「自然妊娠(性交渉による懐妊)」を選ぶ。
どの方法であろうと妊娠を試みる時は、男性の遺伝子データベースから、相性の良い上位四十パーセントの男性が、十名の候補として女性に提示される。
女性は、その中から自分に合う男性を選び、直接面会し、会話をし、そして妊娠を試みるのだ。
選ばれるかどうかは、女性の心一つ。
★ここまで読んでいただき、ありがとうございました★
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