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それはよくある異世界転生  作者: 乙屋敷


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338/339

338 天を穿つ

世界禁煙デーなので初投稿です

 卵から産まれたデカい雛……ガルーダとか言ったか?どこかで聞いたような。


「ガルーダ、神話に出てくる4つの魔王の一匹だよ」

「ん?となるとあのフンババのお友達か?」

「我をあの猿と同格に扱うではないわ!我の方が天空、すなわちこの世全てを支配する王であるぞ!」

「あんたが誰でもあーしには関係ないよ」


 ろいあるが前に出る6枚の羽根を羽ばたかせて空に翔ぶ。


「ボレアスに託されたんだ……また俺の様な奴が出てきたら後始末を頼むって」

「我より上に翔ぶとは、不敬であるぞ!」


 メキメキと音を立てて体型が変化するガルーダ。鳥の成長をタイムラプスで見せられている気分だ。

 成長しきった身体は蹴ったら全てを粉砕するかのような太い足、体格の半分以上を占める翼をもつ猛禽類のような姿をしていた。

 ガルーダは翼を大きく羽ばたかせると空へと飛んだ。魔素(マナ)を多く含んだ風が巻き起こる。


「この感じ、クー助と同じ魔素(マナ)で飛んでる感じだな」

「それよりも、空を飛ばれちゃったら私たち何もできなくない?」

「そうだな、クー助もいないし、あの距離の攻撃が出来るのはソフィーだけか」


 俺は今、啄木鳥の呪いの侵食を防ぐために魔術回路(パス)を一部取り除いている。その影響で魔術の出力も落ちているし魔術を使い続けると魔術回路(パス)が固定化されて元の回路(パス)に戻せなくなる。


「我より空飛ぶその姿、万死に値する!」

「おじさん今どき高ハラ(高度ハラスメント)なんて流行んないよ」


 ガルーダはその巨体を使った体当たりを繰り出す。ろいあるは躱しながら両手の剣でガルーダを切りつけようとするがあまりの速度で斬りつける頃には遠くに飛んでいる。


「仕方ない使うか魔術」

「ですがそれでは……」


 まあ魔術が弱くなるのは仕方ないがもう一度鍛えればいいだけだ。それよりもクー助のタイムリミットがそろそろ不味い。このタイミングを逃したら次はないだろう。


「それなら使おう、君の寵愛(ギフト)を」


 ソフィーが『親愛の絆(チートスキル)』を提案する。まあ使うなら今だろう。


「よし……?」

「そうしたんだい?」

「いや、ふん!……『再結合(リコピレイション)』が使えない?」

「なんだって?」


 何が原因だ?いやおそらく魔術回路(パス)を切り取った事が原因だ。それ以外に思いつかない。


「原因究明が後にしよう、今は使えないと言うことだけ分かっていれば良い」

「そうなると個々で魔術を打つしかないね」

「俺は……『落雷(サンダーボルト)』か」

「ボクは『暴風災禍(サイクロン)』だけど、どちらもそこまで射程がないね」


落雷(サンダーボルト)』は上から撃つ魔術だし、『暴風災禍(サイクロン)』も上級魔術なので魔力(オド)を大量消費する。『親愛の絆(チートスキル)』が使えない今だとどちらも使用するのは厳しい。


共同魔術(ジョイントマジック)ならどうだ?『雷矢(ライトニングアロー)』なら届くぞ」

「そうだね、君が射手を頼む。ボクが魔術の制御をしよう」

「できるのか?」

「一度見ているからね。それに今の君じゃあ威力出せないだろう?」

「たしかに」

「では私の魔力(オド)もお使い下さい」

「あ、アタシのも使いなさいよ」

「二人とも、良いのかい?」

「現状私は役立たずでございますので」

魔力(オド)が沢山あればそれだけ威力って上がるんでしょう?」


 そうだがその分制御が難しくなる。


「いけるか?」

「任せておきたまえ」

「だそうだ」


 現状俺達の上空で1人と1羽が空中格闘戦(ドックファイト)を繰り広げている。


「この状態なら転がったほうが狙いやすいか」

「ではこちらにどうぞ」


 アリスが敷物を敷いて正座して太ももをぽんぽんと叩く。硬い地面に寝っ転がるのはきついからな。後頭部にアリスの柔らかい太ももが心地よい。


「じゃなくて」

「どうかなされましたか?」

「高さが足りなかったかもしれない、ボクが変わろう」

「待ってください、私のほうがよく運動していますし高さは確保できています」

「ふふ、分かってないね。言ってはなんだが普段運動しないうえに椅子に座っているボクのほうが肉付きがいい、つまり寝心地がいいんだよ」

「そうでも無くて」

「あんた達そうやって言い争ってる場合じゃないでしょ!」

「しかし射手のストレスはそのまま命中率に影響する。ここは妥協するべきではないね」

「そうです、ご主人様に不快な環境に置くなど従者として見過ごせません」

「今はあのアホ鳥を倒すこと優先でしょうが!」

「ですが……」

「だけどね……」

「そもそもですね」

「言い訳無用!」

「「「はい」」」


 思わず返事してしまったけどなんで俺まで怒られているんだ?


「それならアタシが膝枕します!」

「はい……はい?」

「それは横暴というものじゃないのかい?」

「いくらクレアちゃん様でも譲ることはできません」

「あんた達が揉めるのが悪い!」


 これ俺にも拒否権ないんか?


「準備はいいかい?」

「準備完了です」

「さっさとやりなさいよ」


 揉めに揉めた結果ソフィーが腰、クレアが背中、アリスが頭を支える体勢になった。なにこれ?


「……あの」

「だまって撃ちなさい」

「はい」

「じゃあ魔術展開ていくよ」


 ソフィーの言葉と同時に空中に魔術陣(マジックサーキット)が展開されていく。


魔力(オド)外皮(スキン)による固定完了、バレル成形、回転開始、クレアより魔力(オド)充填(チャージ)開始、10……20……」


 ソフィーの魔術展開に合わせて俺も魔術を行使していく。


照準器(スコープ)展開、バレル同期開始……」


 眼の前に小さな魔術陣(マジックサーキット)が展開し、遥か上空にいる自称空の魔王を見つける。


充填(チャージ)完了、発射タイミングをユートに移譲」


 レティクルをガルーダに合わせる。タイミングはタックルに移行してろいあるにぶつかる瞬間……。


発射(ファイヤ)


 膨大な魔力(オド)で作られた雷光が地から天へと昇っていき、ガルーダを貫いた。


イラストレーターの誕生日ライブ……?

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