339 颶風の鳥
世界献血者デーなので初投稿です
クレアの巨大な魔力に引っ張られて俺の中の魔力も持っていかれる。その影響でえぐり取った部分の違和感が少し無くなった。この違和感が完全に無くなった時、魔術回路が元に戻らなくなるだろう。
「当たった?!」
「外した!」
クレアの問いに答える。貫いたと思った雷光は雛鳥野郎が身体を捻ることで回避した。特に隠蔽もせずに撃ったからか直前で気付かれたっぽい。
「地を這う鼠が我に楯突くか!」
「それより前見たほうがいいぜ」
無理やり回避したからか速度が落ちてるぜ?
「つかまえ……た!」
ろいあるが手に持った剣を振り下ろす。剣はガルーダに当たると金属音のような甲高い音が響いた。
「ふはははっ!我の風域を破ることなど不可能だ!」
「あ~、あんたも結界使う感じ?じゃあ、あーしの勝ちだね」
止められたはずの剣が切り進んでいく。
「あの剣は、翡翠か!」
「我の風域を切り裂くだと!」
「この剣はあんたみたいな奴を切るためにあーしの親友が命使って作ったんだ」
「う、おおおおおおおおおおおお!!!」
翡翠がガルーダの翼を切り裂く。翼の半分以上を斬られ墜落していく。
「我をなめるな鼠共!」
ガルーダが斬られた翼で羽ばたくと再び空を飛び始めた。
「斬られたのにまだ飛んでる?!」
「よく見ろ、斬られた翼から何か出てる」
おそらく魔力を使って斬られた翼を形つくっているのだろう。
「だけど速度は大分落ちてる。次は撃ち落とす」
「我を落とそうなど不敬極まる!だがそのな娘は我より高く翔ぶどころか我の翼を切り落とした!一度死んだ程度で許されると思うなよ!」
ガルーダが翼を広げると森がざわめき出す。
「風が吹いてきた?」
「ガルーダの風魔術だろうね」
風がどんどん強くなってくる。台風が来た田舎みたいだ。
「出来立ての身体では負担がかかると思ったが、大空の魔王と呼ばれた我の真骨頂、とくとその眼に焼き付けよ!」
渦巻く風の力で周囲の雲も巻き込んだのだろう、雨も降ってきた。
「本当に嵐になってきやがった……!」
「見て、ガルーダが嵐の中に!」
いつの間にか周囲を分厚い雲が壁を作っている。まさしく台風の目ってことか。そしてガルーダは雲の中に突っ込んでいった。
「普通この暴風の中に突っ込んでいくのは自殺行為だが、生み出した張本人ともなれば自身を加速させる絶好のビックウェーブってことか」
「ふははははっ!我が魔王の頂を冠する前の名を知っているか?!教えてやろう『颶風のガルーダ』だ!この世の風は全て我の下僕よ!」
嵐によって加速したガルーダが雲間から飛び出してはろいあるに攻撃を仕掛ける。
「あんなスピードのヤツ、攻撃なんてできないわよ!」
「狙われてるろいあるも防戦一方だな」
どうする、この嵐を吹き飛ばす何か手段はないのか?
「ラムの出番だね!」
「ん?うお!」
道具箱が突如として開きラムが出てくる。
「ラムの出番って、この嵐をどうやって止めるんだ?」
「ラムの手からでるヤツでバーンってこの嵐を吹き飛ばすの!」
「手から……デメテルのことか」
デメテル、ラムの義体であるギガントマキアに搭載されているエネルギー砲の事だ。
「いや、駄目だ。デメテルの原理は相手の体内にエネルギーを送りつけて自爆させる技だ」
「つまりどういう事?」
「ラムの義体に貯蔵されているエネルギーじゃあこの巨大な嵐を自爆させられないってことだよ」
俺の考えをソフィーが代弁してくれる
「この嵐だ、『再結合』したとしても足りるかどうか……」
「じゃああの鳥さんはどうやってこの嵐を作ったの?」
「そりゃあ魔術だろう」
俺達はガルーダがこの嵐を作ったのを眼の前で見ていたのだから。
「でもあの鳥さん、クレアママより魔素を持ってないよ?」
「なんだって?」
クレア以下の魔力でこの嵐を成形したっていうのか?いやクレアの魔力は規格外だが。
「自然災害級の嵐を作るには魔力が足りないってことか?」
「だとすれば、何かからくりがあるはずだね」
「ねえパパ!あれってなに?」
「ん?どれだ」
「あの上にある魔術陣?ってやつ!」
「上に魔術陣?」
上空にはろいあるとガルーダ、それに分厚い雲で覆われた空があるだけだ。
「いや、そうか!嵐の中心である目には雲は存在しない!」
「どういう事でしょうか?」
「嵐はその規模が大きいほどその中心は遠心力で雲は外に流れるんだ。その結果目には雲は無く青空が見えるはずなんだ」
「それじゃああの雲はなぜあるのでしょうか」
「決まってる!隠しているんだ」
何を?決まっている!ラムが見つけた魔術陣だ!
「おそらく空に隠した魔術陣がこの嵐の発生源だ!ラムお手柄だぞ!」
「やった~!パパに褒められた!」
「問題はどうやって魔術陣を破壊するかだね」
「……あ」
「先程の雷魔術が良いかと思います」
ろいあるはガルーダで手一杯、俺達がこの状況を打破すしかないだろう。
「じゃあさっきのフォーメーションで!」
「今度はボクが頭を支えるから」
「いえワタシが」
「それはもういいから」
宝箱全然落ちない




