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ツンデレ王子と貧乏人の俺とワガママ姫の建国物語  作者: 逆張りオタクの天照大御神


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ツンデレ王子と貧乏人の俺とワガママ姫が出会った日



 エドワード・ティーチに襲われ、何とか助かったレイジとライト。


 怪我も治り、改めて学園に通えるようになった当日。


 初日のように通学路でバッタリ出会い、そのまま先日の話を始める。


「そう言えば、君は何度かエドワードと会っていたのだ?」


「あれが二度目だ、また会うとは思いもしなかったけど…」


(出来れば、もう会いたくは無いな…)


 イサムから話を聞かされた以上、これからも関わる事を見越して話された筈だ。


 もし関わらずに済むのなら、隠蔽している情報を簡単には話さない。


 嫌な気持ちもあるが、エドワードの脅威をを知って穏やかに暮らすのは無理がある。


「よく生き残れたものだな」


「あー、一緒に居た奴が強くてさ…」


「どうして話を濁す?」


「いや、濁してる訳じゃ無いんだけど…」


(自国の王子に、隣国の姫と知り合いとか言えねぇよ…!)


「…まぁ良い、悪い人物では無いのだろう?」


「え?ああ、まぁ」


「なら良いが、イサム殿には話したのか」


「ああ、それなら大丈夫だ。イサムさんが助けに来てくれたからな」


「そうか、それで助かったのか」


「いやもう本当、大変だったよ」


「言わなくても分かる、あの男は想像を絶する強さだ」


「俺もセルフィとイサムさんが居なかったら、死んでたよ…」


「……待て、今何て言った」


「?いや、あの2人が居なかったら死んで―――あっ!?」


「君なぁ…」


「ちがっ!?いや、何も違わないんだけど!」


「その反応からするに、僕の知るセルフィと見て間違いなさそうだな」


「あははっ…」


「全く、嘘ぐらいは吐ける方が良いぞ」


「すまん…」


「それよりも、その事について知っている者は?」


「ライトとイサムさん、あとは本人とエドワードしか知らないと思う」


「良いような、悪いような…」


「悪いのか…?」


「他国で襲われたとなれば本来疑われるのは、その国だ」


「…!」


「つまり、首謀者として僕か現国王と王妃が真っ先に疑われる」


「そ、そっか、ライトとライトの家族が」


「だが、そんな話は出ていないし聞いてもいない」


「じゃあ、何が」


 イサムからエドワードの容姿のみを聞いた時にも、出ていないことから問題にはなっていないと思って良いだろう。


 しかし、問題はそこではない。


「2つの国の王子と王女が狙われたんだぞ、国際的大問題だろ」


「あっ!?確かに!」


 距離が近くて忘れていたが、2人は国のトップだ。


 そんな人間を狙うなど、本来であればニュースで報じるのが普通。


 にも関わらず、知っている者が当人達のみ。


「……いや、隠して当然か」


「まぁ、元魔法局局員で独自の魔法を持つ奴をニュースには出来ないか…」


 事実をありのまま伝えれば、国の信用問題になる。


 信用を取り犠牲を出すか、信用を捨て混乱を招くか。


「相手は偽名を使って魔法局に居た、余計なことをすれば殺られるのは僕達だろう」


 エドワードに関する情報が、ほぼ皆無。


 相手も恐らくは、それを分かった上での行動だろう。


「思惑通りって、事か」


「そうも行かないぞ」


「!イサム殿、どうしてここに」


「どうしても何も、俺からすれば真っ先に狙われる対象だ」


 曰く、護衛の為に付けていたと言う。


 それならそうと言って欲しいが、付けられる覚えはあるので仕方が無しに受け入れる。


 魔法局局長が、超要注意人物から超重要人物を守らない訳にも行かない。


「それで、そうも行かないってのは?」


「考えてみろ、あいつは逃げる時に捨て台詞を吐いて逃げたんだぞ?」


 余裕の見えない表情にはなったが、それでも絶対に勝てる自信に満ち溢れていた。


 そんな男が、よくある捨て台詞を吐いたのならば。


 思い通りにならなかった、目的を達する事が出来なかった。


 そう捉えて良いだろう。


「た、確かに…!」


 あれだけの魔導士相手に逃げれた、それは十二分に誇れる事だ。


「けど、護衛をするって良いのか?」


「良い、ってのは?」


「そりゃイサムさんからしたら、俺達は守らないといけないんだろうけど」


「僕はともかく、レイジの事も守るとなれば不自然では無いか?」


「俺はレイジの父親とは知り合いだ、それに王子とも知らない仲じゃない」


 一見すると関係性が無いにも見えるのかもしれないが。


 同級生と居るのも、極々普通の事。


 レイジからしても同級生と、父親の友人。


 イサムからしても王子と、友人の息子。


 この様に、きちんとした繋がりがある。


 聞かれれば答えられる、普通の関係性だ。


(そう言えば、この人は父さんと友達なんだよな…?)


 ただレイジからすれば、魔法局局長と魔力を持たない父親が知り合いなのが不思議で仕方が無い。


 そんな話、今までに聞いた事も無い。


「な、なぁイサムさん」


「何だ?」


「あんたは何で、父さんと知り合いなんだ?昔馴染みって、言ってたよな?」


 思い切って聞いてみる事に、特別不自然でも答えられないような質問な訳が無い筈だ。


「あー、そうだよな気になるよな…」


 しかし、見せた表情は困惑していた。


「喧嘩でもしてたのか?」


「レイジ、そう思うなら胸の内に留めておけ」


「あっ」


「いや、そういうんじゃ無いんだ」


 どうやら仲が悪いとかでは無い。


 思い返してみれば、電話を掛けた時にイサムは嬉しそうにしていた。


 久しぶりの友人からの連絡、嬉しくない筈が無い。


 だが、そうなると一層と不思議だ。


 昔馴染みと言うのだから、学生時代に出会ったとか。


 近所で、よく遊んでいたとかとでも言えば良い。


 にも関わらず、イサムは明らかに困惑した様子を見せた。


 いや()()()()()()()、と言うべきだろうか。


「それで、どうなのだイサム殿」


「王子まで、そんなに気になるか…?」


「隠されれば誰でも気になるだろ」


「…確かに」


「別に言いたくないなら、良いけど」


 レイジも特別、気になった訳ではない。


 誰にでもある、誰でも少しだけ気になる、ほんの些細な事。


 答えがあろうとも無かろうとも、「へぇー、そうなんだ」と、返す程度の疑問。


「……昔よく遊んだ仲なんだ、それだけだよ」


 どこか懐かしそうにしながらも、悲しみか後悔か暗い表情をしていた。


 国民の為に仕事をする魔法局局長も。


 生活の為に身を粉にして働く父親も、忙しい事に変わりは無い。


 遊びたいのに遊ぶ時間が無い、もしくは互いの時間が噛み合わない事は大人にはよくある話。


 子供に話す事が少し、気まずかったのかもしれない。


「レイジの父とイサム殿の話はともかく、セルフィ王女の事はどうするつもりだ」


「ああ、それなんだが多分もう来る」


「来る?」


「何が?」


「セルフィ王女が」


「……?」


「今日から、お前ら3人は同じ学園の生徒だ」


「なっ!?」


「はあああぁっ!?」


「ど、どういう事だ!?」


「他国に居たら護衛もクソも無いだろ?」


「だからと言って、一般人ならともかく王女が他国の学園に通うか!?」


「じゃないと、俺ら魔法局の目にいれられないだろ」


「そ、そりゃそうだが!」


「って、もう来るって言ったよな?」


「ああ、この辺で落ち合う予定なんだ」


「お久しぶりですわ、イサム様、ライト王子」


「ま、マジか…」


 そこに居た金髪縦ロールの美しい髪に、美しい眼、美しい顔立ちは正しく。


「そして、レイジも久しぶりですね」


「せ、セルフィ、なのか…?」


「ええ、そうですわ」


 ニコリと笑う顔も、こちらの心臓を優しく抱いて離そうとしない。


 正真正銘、1年前に出会ったレイジが一目惚れをした女の子だった。



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