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ツンデレ王子と貧乏人の俺とワガママ姫の建国物語  作者: 逆張りオタクの天照大御神


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王子である僕と彼が出会った日

王子の名前を変更 変更前 レン・エイリーン → 変更後 ライト・エイリーン

変更理由 自分で投稿してる小説の登場人物と被っていた為

 

 僕はライト・エイリーン、エイリーン王国第一王子にして希代の天才と呼ばれる男だ。


 そんな僕の朝は早い、朝4時には起きて学校に行く4時間の間にランニングと筋トレと魔法の鍛錬と勉強をする為だ。


 魔導士がいくら魔法を使うと言っても、体力は必要だ。肝心な時に動けないのでは意味が無い。


 体力を付ければ、戦闘持続可能時間を延ばせば多くの人の助けになれる。


 どの国にも対魔導士専門の部隊があるが、これは悪の道へと落ちた魔導士を捕まえる役割の方々のことだ。


 その時に使われるのが、対魔導士用の手錠。


 これを付けている間は、魔法を使うことが出来ない。


 考えたくはないが、内部の人間と対峙してしまった際に魔法が使えず捕らえられてしまえば、王子である僕はともかく、父上ではある国王の、この国の沽券に関わる。


 近年、悪の道に堕ちた魔導士の動きが活発化しつつあると聞く。


 そういう意味も込めて、僕は幼少の頃からの日課にして毎日続けている。


 天才だ、と持て(はや)されてはいるが実情は努力を続けてきただけだ。


 僕は自分を特別な人間とは思っていない、あくまでも環境が良かっただけの人間だ。


 この国の王子は、この国に置いて一番恵まれている。


 ならばこそ、誰よりも努力をしなければならない。


 魔法を扱えるのなら、当然一番でなければいけない。


 父上や執事やメイド達には、「無理をするな」と何度も釘を刺されているが未来の国王である僕が止まることは、この国が止まることも同義だ。


 誰よりも歩かなければならない、誰よりも先に進まなければならない、そうやって僕は生きてきた。


 そして今日は、この国のある唯一の魔法学園でありながら世界一とも呼ばれるエイリーン魔法学園の入学式だ。


「新入生代表挨拶か、少し緊張するな」


 魔法の実技試験、筆記試験に一般教養試験の全てで満点を取った。


 無論、カンニングや事前の問題の受け渡しなどはしていない。


 そんなことをすれば試験の意味が無い。


 あくまでも一生徒として、試験を受けた上での結果だ。


(それでも、文句を言う輩はいるだろうがな…)


 王子と言う立場上、疑われてしまうのは仕方が無い。


 だがここで折れてしまえば、僕の後ろを付いて来てくれている者達を蔑ろにすることになる。


 僕は構わないが、彼らが非難されるのは我慢ならない。


 その為にも常に一番を取り続け、結果を証明する。


 厳しい道のりかもしれないが、好んでこの道を歩む以上は文句など言えない。


(しかし何を話そうか)


 無難なことを話しても、正直つまらない。


 ここはいっそ、僕が考えていることを話すのも良い。


「よし、これで行こう」


 ランニングに筋トレに、魔法の鍛錬と勉強を終えた僕は浴場に向かう。


「おや、ライト坊ちゃま。おはようございます」


「おはよう、バトラー。腰の調子はどうだ?」


 着替えとタオルを持って行くと、そこには執事長のバトラー・メジャドモが居た。


「いやはや、歳には敵いませんな…」


「ならば今日ぐらいは休暇を取れ」


「良いのですか?」


「良いも何もバトラー、お前最近休んだか?」


「三ヶ月前に一度」


「働き過ぎだ馬鹿」


「そうは言いますが、坊ちゃま」


「…?」


「坊ちゃまこそ、毎日鍛錬ばかりで(ろく)に休んでおられないですよね?」


「僕のことは良い、今はお前の話を―――」


「休んでおられませんよね?」


「……分かった、僕も今日は街をフラつく」


 顔を近付け、圧を掛けられて思わず屈してしまった。


「それならば、喜んで休暇を頂きましょうか」


(全く、自分の歳を考えろと言うのに)


 バトラーも良い歳だ、そろそろ70近いと言うのに未だに仕えてくれている。


「そう言えば坊ちゃま、旦那様と奥様の護衛をしていた者を覚えておいでですか?」


「確か、今は難病で寝たきりだったな?」


「その者の息子が、魔法学園に入学するそうですぞ」


「…ほう、それは何とも張り合いが有りそうな」


「ほっほっ、そうなると良いですな」


「中等部では張り合いのある者が居なかった、高等部なら少しは楽しめるのかもしれん」


 浮き足を立たせ浴場を出て、学園に向かう準備をする。


 本来であれば執事長であるバトラーに送迎を頼むのだが。


 王子として、国民の顔を見ておきたい。


 普段から鍛錬やら学業やらで、街の見回りが出来ていない。


 と言うのもあり、今日は早めに出て歩くことに。


 家を出て少し歩くと、腹の中に住む虫が五月蠅(うるさ)く鳴く。


「むっ、何か食べるか」


 食べ過ぎはいけないが、軽い物は入れておきたい。


 まだ朝が早いので、開いている店は少ない。


 執事やメイドに頼んで何か一食、作って貰うのでも良いが。


 どうせなら、外食をあまりしないので買い食いをしたい気分だ。


(そう言えば、この辺にあるコロッケ屋が美味しいと言う評判を見かけたな)


 周囲を見渡し、噂のコロッケ屋を探す。


「おっライト王子、今日は1人か?」


 声を掛けてきたのは、帽子とエプロンをした男だ。


 エプロンには、コロッケを頬張る元気な男の子の絵が描かれている。


「はい、皆さんの顔を見ようと」


「ははっ!相変わらず、真面目な王子様だな」


「これも王子の務めですので、それより」


「?」


「美味しいコロッケ屋が、この辺にあると聞いたのですが」


「…!そりゃ、うちのことか!」


「ええ、少し腹ごしらえをしたくて」


「ちょいと待ってな、今カミさんに頼んで作って貰うからよ」


 そう言うと男は、店の中に入って行った。


 少し時間が掛かるだろうが、散歩をする余裕は無いと踏んで壁に凭れ掛かる。


(父上と母上の護衛をしていた者の息子か)


 その者とは直接、面識は無いが仲の良い友人であったことは聞いている。


 あの父上と母上と仲が良く、護衛をしていたとなると相当の実力者だ。


 そんな者でも病には勝てなかったらしく、今は病院で寝たきり状態。


(…しかし難病か、病名は知らないが家族は大変だろうに)


 魔導士になれば引く手数多、魔法局の人間となれば入る金はかなり多い。


 それを狙っての魔法学園への入学なのか、それとも別の目的なのか。


 何はともあれ、張り合いのある相手だと嬉しい。


「……!」


「待たせたな、ライト王子。揚げたてだ」


 考え事をしていると、男が美味しそうな匂いのしたコロッケを持って来ていた。


「ありがとうございます、では」


 かぶりつくと衣がサクリ、と音を立てる。


 ジャガイモのホクホクな食感と甘味、焼けた肉の食感と旨味が、そのまま食べてくれと言わんばかりの美味さをしている。


 多少熱く、口を大きめに開けながら一口ずつ食べ進める。


(うん、美味い!外で食べる解放感もあってか、味が体に沁み込むように伝わってくる!)


 あっという間にコロッケを食べ終わってしまう。


「良い食いっぷりだったな」


「大変に美味でした」


「おう、また来てな」


「はい、ではこれ」


「…ん?うちのコロッケは、こんなにしないぞ?」


「それは開店前に無理を言った礼です」


「いやいや、貰えないって」


「なら先日、奥さんに内緒で友達と飲みに行くと言いながら、お店に行ったことを言いますが」


「何で知ってんだよ!?」


「国民のことは当然、知っていますよ」


「いや、にしても限度があるだろ…」


「それで、大人しく受け取って下さいますか?」


「……分かったよ、大人しく受け取るよ」


「良かった、ではまた今度」


「ああ、また寄ってくれライト王子」


 腹ごしらえを済ませ、学園へと歩みを進める。


 すると―――。


「えーと、地図だと…」


「君、どうしたんだ?」


「ちょっと道に迷っちまって…」


「その制服は、魔法学園の生徒か」


「そう言うあんたは、ライト王子か!」


「如何にも、僕はライト・エイリーンだ。君も新入生か?」


「ああ、父さんが手続きを勝手にしてたさ」


「ほう、困った父上だな」


「全くだ、俺のことは良いって言ったんだがな…」


「しかし学園に入学するのなら、それなりに頑張らなくてはな」


「無理矢理入れられたみたいな形だけど、本当は嬉しいんだ」


「そうなのか?」


「うちは母さんが病気で寝たきりでさ、王子のあんたに言うことじゃないけど」


「…そうか」


「悪い、暗い顔をさせたかった訳じゃないんだ」


「構わない、国民のことを知ることは僕の務めだ」


「あんた、結構真面目なんだな」


「よく言われる、君の名前は?」


「俺はレイジ・ノルマルだ」


「僕はライト・エイリーン、気軽にライトと呼んでくれ」


「い、良いのか…?」


「他でもない王子の僕が言うんだ、構うものか」


「なら、よろしくなライト」


「よろしく頼む、レイジ」


 これが僕とレイジの初めての出会いだった。


 この時はまだレイジのことを特別視していなかったが、何となく仲良くなれそうな気はしていた。


 何でもないやり取りをしながら、学園に向かう。


 その時だった、悲劇が起きたのは。


「王子が護衛も付けずに、出歩いているとは都合が良いですね」


 人のいないタイミングを見計らわれたのか、それとも単なる偶然か。


「……!」


 異質な魔力、明らかな殺意を持った何者かが僕に話し掛けてきた。


「…あんたは」


 レイジが低い声音を出しながら後退りをしている辺り、この男のことを何か知っている様子。


 しかし、仲間や親戚などの親しい間柄と言う訳では無さそうだ。


「貴方、王子とも関係があったのですか」


「…ちょっと話してただけだ、あんたこそ何をしている」


「前回と同様、奪いに来たのですよ」


「まさか、お前!」


「ライト王子、貴方のその魔力を」


 


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