冒険者編8 ~ 知られた事実 ~
まだ短めです、遅れてしまい申し訳ないです
アルームでの食事を終え感情を済ませるとエウゲンは先に帰ってしまった
「美味しかったな。 今度は稼いでから来よう」
「ハイ! お料理も美味しくれ……おしゃけも初めて飲みましたけど、とっても美味しかったれす!」
酒が回ったのか少し言葉が怪しくなっているアンジュだが足取りはまだ大丈夫そうだ
「人の金で思う存分飲むってのはいいもんだね。 さて、私らも帰ろうか」
マリアンの言葉で宿に向かい歩き始める
「それにしても……この視線はウザったらしいね」
夜だというのにまだ人通りも多く、その多くの人がジロジロと物珍しそうに此方を見てくる
中には悪意の含まれた視線や、嫌悪の視線もあった
「仕方ないのかもしれないがね……こんなんじゃ暁が可愛そうじゃないか」
悔しそうに顔を歪めるマリアンに気にしてないと伝える
「まぁまだ着て日が経ってないからな。 でも鎧買いに行く時に露店の人は話しかけてくれたし、ゆっくり馴染んでいけばいいかなと思ってるよ」
「そうれす! 暁様のよさは直ぐに皆分ってくれるれすよ」
「そうかい……でも気をつけるんだよ? よからぬ事を企むのもいるからね……」
「わかったよ、大丈夫さ」
大丈夫だと言ったが流石に注目されるのは嫌なので急いで宿に帰ることにした
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宿に着くとマリアンから小声で話しがあると言われた
酒が回っていたアンジュを寝かしつけシルクに傍に居てもらうように頼み、マリアンの所へ行くと、椅子に座りお茶を飲みながら寛いでいた
「来たかい。すまないね、疲れてるだろうに」
「いや、大丈夫だ。 それで……話しってなんだ?」
マリアンの近くの椅子に座る
なにか悩んでいるのか迷っているような感じでモジモジしていた
「まぁなんだ……その、あんたの秘密ってのをアンジュちゃんから聞き出してね……」
突然とんでもない事を言うマリアンに驚き固まっていると続きを話し始めた
「あ、でもアンジュちゃんは悪くないんだ。 アタシが盗み聞きして、その後言える範囲で良いから教えてくれって頼んだんだよ。 その時に契約してね、アンタに対して敵対行動を出来ないようにね」
「……少し待ってくれ」
周囲に他人がいないか気配を探り安全である事を確認する
「それで? アンジュじゃ言えなかった事を聞きたいのか?」
「そうさ、暁……アンタの秘密ってのを教えて欲しい。 コレがアタシのステータスカードさ。 契約神の楔ってのがあるだろ? コレがアタシがアンタを裏切れないようにする鎖さ」
「鎖? どういう事だ?」
「契約神の楔ってのは加護を持つものが行なう事のできる制約で破れば制約時に誓った事が強制的に執行される。 私の場合なら死ぬ事になるな。 暁とその仲間に危害を加えるような事をすれば死ぬ。危害といってもさっき暁が私の拳を止めた時の様な場合は例外として、私が暁を殺そうとして攻撃したり害をなそうと動けば死ぬ事になるね。 後は訓練で組み手したりとかもね。暁を害そうとすれば私にも暁にも警告がくるさね」
「ふむ? なんでそんな制約をしたんだ?」
「アンタの仲間になりたかったからさ。 私は縁の加護ってのを持てる、これは人の繋がりを示してくれる加護でね。 アンタに強く反応してるのさ……それと私がアンタに興味があるって事も……ね」
恥ずかしそうに顔を背けお茶を飲んで誤魔化そうとしているが暁にはキチンと聞こえた
「ま、まぁなんだ。 裏切らないという保障を神様がしてくれるなら教えても構わない。 だが外部に洩らす事も禁止する、もし話したいなら相手の事を俺に教えて俺に一度会わせてくれ。 コレに同意できるなら教えよう」
マリアンを完全に信用したわけじゃないが、裏切れない様に出来るのであれば教えても構わないと思っているのは確かだが、それを神が保障してくれるのであれば尚更だろう
「勿論誓おう。 私はアンタに対して絶対に敵対しない。 だけど実力が歪なアンタが簡単に死なないように訓練させてもらうからね」
「それはありがたい、強くなれるに越した事はないからな。 それで聞きたい事はてのは何なのか具体的に頼む」
そういうと身を乗り出して詰め寄ってきた
「魔森にある拠点ってのについて聞きたいね。 魔森の中に拠点があるなら暁は森を抜けて来たって事だろう? あそこはアタシでも抜けるなんて事は出来ない。 それにアンジュちゃんの様なハーフの子を保護してるんだって? それをやってるのがアンタなのか別の誰かをボスとしてやっているのか教えてもらいたいね」
「ふむ……まず、魔森に拠点があるのは事実だ」
そう告げると嬉しそうな顔をして続きを促してくる
「その拠点は俺の拠点だ。今は俺の仲間が守っているが、俺がトップという事になっている」
「なるほど……それで暁は昔から魔森の中に住んでたのかい?」
「いや、旅をしていたんだが……奴隷が処分されているのを見て助けたんだが、その後行き場がないと言うから森の中に住める場所を作ったんだ。 自給自足の下準備も終わり、旅をしたいという俺の希望を聞いて仲間が拠点を守り俺を旅に送り出してくれた。 だが定期的に帰る約束だし俺も拠点としては気に入ってるからな」
拠点にいる皆の顔を思い浮かべる
きっと今は皆で畑仕事をしたり鍛冶や裁縫をしてのんびりと過ごしているだろう
「そうかい……それでお願いがあるんだが……私も魔森の中の拠点って場所に連れて行ってくれないかい? そんな場所があるなら見てみたいさね。 それに何か力になれるかも知れない。 魔森の中に安全に過ごせるようにしているとはいえ戦える力を指導してやったりも出来るかもしれないからね」
「それはありがたい、俺も鍛えてもらいたいが……此処はいいのか?」
制約をして安全が保障されている以上、魔森に連れて行く事に異論は無いが宿屋はどうするのだろう
「此処は趣味でやってる部分が大きいから、それに貯蓄は十分あるからね。 休業って事にして魔森に行くよ。 客なんて滅多に来ないし私の加護をあてにして問題のありそうな客をギルドに押し付けられてばかりだからね。 今回は私にとっては当たりだったから嬉しいかぎりだけどね」
「そうか……それなら連れて行っても問題ない。 そうだな、装備も整ったし少しお金を貯めてあいつ等にお土産を買ったら一度戻るとしよう」
やっぱりお土産の一つは持って帰らないとダメだろう
農業をメインに任せてる子には何か植物の種を、鍛冶をやってるベリスには鍛冶道具を、裁縫をしてくれてるアラクネのカルネには布や糸を買っていきたいと思ってはいるが……
それに小さい子たちには何か遊べるものを買ってあげよう
「ふふっ……」
「どうしたんだい? 急に笑いだして」
急に笑い始めた暁に不思議そうな顔で尋ねる
「いや、お土産を買って帰ろうと思って考えてたんだが……なんだか親になったような気分になってな。 店をよく知らないから選ぶとき手伝ってくれ」
「ハッハッハ。 そうだね、その時は連れて行ってあげるよ。 何を買うのか決まってるのかい?」
「作物の種を何種類かと鍛冶道具、それに布や糸も買っていってやりたい。 後は子供達に遊び道具を買ってあげようと思ってな」
「それじゃ探しといてあげるよ。 鍛冶道具ならバルテル達に頼めば何とかしてくれるとは思うよ」
「バルテル達か……今度頼んでみるよ」
みんなの事を思い出すと早くお金を貯めて帰りたくなってきてしまった
「懐かしそうな顔をしてるね……早く帰りたくなったかい?」
「あぁ……そんなに長く一緒に居たわけでは無いんだがな。 離れてまだ時間も経ってないが……な」
地球で気を許せる場所はあの神社だけだった
家族を失った後の心の支えはあの神社だけだった
この世界に送り出されて、みんなを助けターナが駆けつけてくれた
いつも見守ってくれていたらしいターナ達と話し触れる事が出来た
マルガ達奴隷に生きていて楽しいと思わせてあげたい……そう思って拠点を作ったが旅に出たいという気持ちを抑える事もできず我が儘をいって出てきた
こんなにも早く彼女達に遭いたいと思うようになるとは思わなかった
この世界での家族と呼べるのは間違いなくターナ達やマルガ達、そしてセリ親子にシルクだろう
新しい仲間も加わり、はやくアンジュの体も治してあげたい
マリアンを連れて行き彼女達がより楽しく生きるための、強くなる術を教えてあげて欲しい
そう考えると無性に彼女達の顔が見たくなった
きっと元気いっぱいに迎えてくれるだろう
「直ぐに帰るつもりだから……待っててくれ」
彼女達の顔を思い出しながら、そう呟いた暁の顔は優しさに満ちていた
マリアンは、そんな暁の顔に思わず見とれてしまい少しときめいてしまうのだった
次話 2015.6.30 0時 投稿予定
まだ先に入れる予定でしたが予定を変更して投稿します。
まだ18歳の暁もホームシックというか寂しがったりしても可笑しくないですよね。
私も卒業後に地元を出て仕事を始めた時、慣れるまでは友人と電話して過ごしたものです。
私なりの感覚なので可笑しいと思われるかもしれませんが、見逃してくだされ。




