冒険者編7 ~ 不穏な影とお披露目 ~
話の展開が少しスローペース過ぎるでしょうか?
少しだけテンポは速くしようか迷っています。
ですので急に話しの展開が早くなるかもしませんがご了承ください
そこら辺も様子見ながらやってみます
街に人族がやってきた
それは街の人のあいだで瞬く間に広まっていった
それは一般の人から商人、そして貴族にまで知れ渡っていた
それは裏の世界にも広まり、暁の容姿の情報も鮮明に流された
裏の世界の人間は暁の容姿から高く売れる人族が来たと喜び、暁を攫い奴隷にする隙を窺っている者もいた
そういった者達に監視されているとも思わず先程まで暢気に買い物をしていたのだ
奴隷にするわけでは無いが上手く使い美味しい思いをしようという輩も居るしまつ……
場所は変わって薄暗い部屋の一室で偉そうに椅子にふんぞり返った男いた
「例の人族の様子はどうだ?」
「ハイ、例の男は冒険者登録を済ませ薬草採取などの簡単な依頼をこなした後、兵士長エウゲンに連れられ寂れた鍛冶屋で防具を買ったようです。 防具自体はそこまでの値段はしないようですが初心者が使うには上等なものだと判断できます。 ソコソコお金を所持していたものかと思われます」
偉そうな男の前で跪き報告をする黒ずくめの男
「ですが気になるのは兵士長であるエウゲンが一緒に行動している事です。 アレは腕はそこそこありますし、何より民からの人望もある男……。 下手に手を出すのは得策では無いかと思われます。 また、コレは不確定な情報ですが変わり者のあの女も件の人族に肩入れしているという噂が流れています」
その言葉を聞き偉そうにしていた男は露骨に顔を歪ませ手にしていたワイングラスを置く
「アヤツまでか……分った。 今は下手に動かず観察していろ、絶対に手を出すんじゃないぞ! 兵士長だけでなくあの女まで出てこられてはもみ消すのが厄介だからな」
「かしこまりました。 では部下達にも手を出さぬよう伝えておきます」
そう言うと頭を下げると音もなくその場から消えた
「ふむ……これまた厄介な者が……厄介者でも上手く使えれば金になる。 さて、どうするかな……ククク」
薄暗い部屋の中に男の笑い声だけが響き渡る
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所変わって装備屋を出てマリアンが営む宿屋へと向かう暁とエウゲン
新しい装備の動きにくさにも大分慣れ、少し体を動かしながら前を歩くエウゲンに着いていく
「ん? あぁ、装備つけてなかったんだもんな。 動きにくいだろうが早く違和感を無くした方が良い。 依頼も討伐系じゃなくて採取系にして違和感無く動けるまでは戦闘は極力避けた方がいいだろうな」
周りの迷惑にならないように配慮しつつ体を捻ったり、腕を回したりしながら歩いていた暁に気づきそうアドバイスする
「そうですね……初めて着けるので……多少慣れたんですけど違和感が凄いですね」
「ガッハッハ! そりゃそうだろうな。 俺達騎士でも小さい頃か入団してから鎧になれることから始めるからな。 鎧の重さ、手入れ、鎧を着けての体力づくりとキチンと下積みをするんだ。 自分の命を守るものだからな……体の一部のように違和感をなくして手入れを怠らない事、コレが大事だ
真剣な表情でそう話すエウゲンにキチンと頷いて答える
「ゆっくり慣らしていくと良い。 絶対に焦るんじゃないぞ? 焦りは判断を鈍らせ危険を呼ぶだけだからな」
「そうですね。ゆっくりやっていきます」
「それでいい。 ほら、早く嬢ちゃんにお披露目しに行くぞ。 このペースじゃ時間的にも遅くなっちまう」
そう言って歩くペースを上げたエウゲンの後を着いていく
行きと違い時間が遅くなったせいか人通りも多く、警戒した視線も増えていたがそれ以上に珍しいものを見るような視線も増えていた
「この時間になると人通りも多い、この街に慣れてないだろうから逸れて迷うなよ」
「大丈夫ですよ……多分」
「お前が一人になったら確実に絡まれるだろうからな……」
「……そうですね」
周りの荒くね者達の視線から一人になったら絡まれるのはまず間違いないだろう
今はエウゲンが居るため暁を見てエウゲンを見て絡むのを止める人が多い
周りの視線に悩まされながら歩き続けようやく冒険者ギルドまで戻ってきた
「おう、またここで待ってるから迎えに行って来い」
立ち止まりそう言うと近くにあったレンガ造りの花壇の淵に座りこむ
頷いて返事をしマリアンの営む宿に急ぐ
「ただいま~!」
「おや? お帰りなさい」
宿に入り声をかけると奥からマリアンが出てきた
「あら? あら? こりゃまた立派なのを着けてるじゃないか。 似合ってるよ!」
「アハハハ、エウゲンさんに防具屋に連れて行ってもらったんです」
暁の姿を見るなり上から下までジロジロと観察して頷いた
「コレはあのジジイの所のだね。 エウゲンにバルテルのところに連れて行ってもらったんだろ?」
「よく分りましたね。 ヨランデさんとバルテルさんに安く売ってもらいました」
鎧とマントを見やすいように動かしながら説明する
「それにしても……ブラックミスリルの装備を初めて鎧を着る子に渡すかね……そうだ、アンジュちゃん! 降りといで!」
ブラックミスリルの篭手を触りながら嬉しそうに言うと大声で二階に声をかける
「やっぱりブラックミスリルって高いんですかね?」
「そうさねぇ……そのブラックタイガーのマントは普通に買えば5万Gはするだろうね。 それからキラーアントの鎧は3万G、ブラックタイガーのブーツは……2万5千Gってところだろう。 ブラックミスリルに関しては……15~20万Gはするだろうよ。 いったい幾らで売ってもらったんだい?」
次々と値段を言っていくマリアンにだんだんと顔が青ざめていく暁
そんな暁の様子など気づかずに鎧を様々な角度で眺めたり触ったりしている
「あ、あ……か、返してきた方がいいでしょうか……」
「ん? 止めときな、あいつ等は自分が認めたものにしか売らないし、気に入った者には相手のレベルに合わせて自分が出せる物の中で最高なものを出すんだ。 アイツが値段を言ってそれを払ったんならキチンと受け取っときな。 じゃないとアイツ等の好意を無駄にする事になる、それでいったい幾らなんだい?」
暁の顔を見つめて真面目な表情でそう語るマリアンに頷くしかなかった
「ご、5万Gです」
「はぁ!? 全部でかい!?」
コクコクと頷くと大声で笑い出した
「フフフ……アッハッハ!! よっぽど気に入られたんだねぇ……そうかそうか……やっぱり面白い子だよアンタは……」
二階からドタドタと走る音が聞こえ階段を駆け下りてきた
「どうしたんですかマリアンさん! あ! 暁様お帰りなさいませ!」
「ウォン!」
暁の姿を見るなり駆け寄りペコリと頭を下げたアンジュと足元に体をこすり付けて甘えてくるシルク
「あぁ、ただいま。 シルクも護衛ご苦労様」
アンジュの頭を撫で、しゃがんでシルクも撫でてやる
「あれ……暁様装備を買われたんですか? 大変お似合いです!!」
キラキラとした目で暁を見ると周りをクルクル回りはじめた
「今日依頼の後に装備を買いにいったんだ。 ん? アンジュもその服似合ってるじゃないか」
今日新しく買ったであろう薄い水色のワンピースタイプの服に茶色にピンクの刺繍の入った可愛らしい靴を履いていた
「ハイ! マリアンさんに連れて行ってもらったんです! 何着か買ったので後でお見せします!!」
褒められて嬉しいのか顔を少し赤く染めながら笑うアンジュに少しドキッとしてしまった
「むっ。 そういえば暁、エウゲンの馬鹿は来てないのかい?」
マリアンの言葉でエウゲンを待たせていた事を思い出し二人に事情を説明する
「そうだったのかい。 じゃあアタシも着いて行こうかね」
「それがいいです! 一緒に行きましょうマリアンさん!」
「シルクも一緒に行ける筈だから一緒に行こうな」
「オン!」
また留守番かとしょんぼりしていたシルクだが暁の一言で元気に暁の周りを回りだした
「アタシはこのままでいけるけど……アンジュちゃんもそのままで行けるね」
「じゃあ行きましょうか」
宿の外に出ると扉についていた札を裏返して休業中にした
「コレでよしっと、アンタ等以外に人が居ないからラクでいいさね」
そんなので生活は大丈夫だろうかと思ったが、元高ランク冒険者だけあって溜め込んでいるのだろう
歩き始めたマリアンの後を二人と一匹でのんびりと歩き始めた
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「ゲッ! なんでババ……マリアンを連れて来たんだ暁!」
マリアンの姿を見るなり暁に駆け寄り小声で話しかけてきたエウゲンに拳が炸裂する
「ダレがババアだってエウゲン? 小僧が調子に乗った事言うじゃないか……」
額に青筋を浮かべて戦った時よりも重いプレッシャーを放つマリアンの思わず腰が引けてしまう
殴られたエウゲンは頬を押さえたまま蹲っている
なかなかいいモノを貰ってしまった様だ
「ッグ……っててて……ちったぁ手加減しろよマリアンさん!!」
「あぁん? アンタが舐めた事言うからだろう、自業自得だね」
「(コレだから男が寄ってこないんだよ……腕力エルフが……)」
悪びれずにそういうマリアンを睨みつけたまま、小声で余計な一言をのたまった
額に皺がより、先程よりも強力な圧力だし始めたマリアン
「さ、ささ暁様! どどどど、どうしましょう!?」
「クゥ~ン」
流石に怖かったのかシルクとアンジュがしがみ付いてきた
「大丈夫だよ。 生贄は其処のがなってくれるから」
壁際に追い詰められ絶望的な表情をしたエウゲンに対し、表情だけは見惚れるほど素敵な笑顔をとかつて無いほどのプレッシャーを発しジリジリと距離を詰めていくマリアン(腕力エルフ)
流石に人が集まってきた事もあり止めに入る事にした
「さぁ……覚悟はいいなエウゲンの小僧」
「あ、姐さん、落ち着いて話し合おう? なっ?」
その言葉も虚しく振り下ろされた拳を二人の間に割って入り受け止める
バシッっという音があたりに響き渡る
「なっ、暁……なんでとめんだい」
「た、助かったぜ暁」
止められてビックリしたのか驚愕を顔に浮かべるマリアンと安どの表情を浮かべたエウゲン
「いい加減お腹も空きましたし、人も集まってきて目立ちますからここらで止めましょう。 それにエウゲンさんも騎士団の人なんですし問題起こすのは不味いでしょうしね。 ここはエウゲンさんにご飯を奢ってもらうって事で流しませんか?」
「ふむ……そうだね。 そういう事にしようかね」
「エウゲンさんもそれでいいですね? というか余計なこと言うからですよ!」
そういうと安どの表情を歪ませ落ち込んだエウゲン
「……わぁったよ」
エウゲンに手を貸し立ち上がらせると、ようやく今日の晩御飯を食べる店へと向かうことが出来た
落ち込んだエウゲンを慰めつつ歩き続けること暫く
立ち止まったエウゲンが一軒の店を指差した
「今日の晩飯はあそこで食うぞ! 安いし飯は美味いし量も多い」
指差した先にあるのは他の建物と変わりない、恐らくこの国でも一般的な石と木で出来た2階建てのお店
看板にはお皿が、その上にナイフとフォークがクロスして描かれており、人目で食事する場所だと分った
その絵の下には『食事処 アルーム』と書かれていた
高級感があるわけでもなく、一般的な大衆食堂のようだ
「此処はアンジュの様な奴隷やシルクの様な従魔でも大丈夫なんですか?」
一般的な大衆食堂である為、受け入れられないんじゃないかと思い聞いてみる
「大丈夫だ。 奴隷をつれて冒険者をしている人は多い。商人だって奴隷連れは多いからな。 それに従魔も珍しいが居ないわけじゃない。 そういった奴等は冒険が上手くいったり、儲けられた時は多少なりとも労ったりもするもんだ。 自分の命を預けるわけだからな……勿論そんな奴ばかりじゃないのが事実だし、彼等奴隷が酷い扱いを受けているのは事実だ。 でも褒美として金をやったりはしないから美味い飯を食わせるんだ。 だからこの店は奴隷をつれた冒険者や商人向けの店ってわけだ。 それに従魔も似たようなもんだからな……」
「そうなんですか……じゃあアンジュは今日マリアンさんのお手伝いを頑張ったからご褒美だな」
隣のアンジュに向けて微笑むと顔を赤くした後、少し落ち込んだように暗い表情になった
「私は……暁様のお役には立ててませんし……洋服や靴まで買っていただいてます。 もう既に褒美はもらってますよ」
しまったっと思いながらしょんぼりとしてしまったアンジュの頭をなでて慰め
エウゲンに店に入るように促す
「そう落ち込みなさんなアンジュちゃん。 アタシは手伝ってもらって助かったし、部屋が綺麗だと暁も嬉しいだろうさ」
「そうだよアンジュ。 まだ体だってキチンと治ってないんだから、できる事をしてくれればいい」
「……はい」
顔をあげて、はにかむアンジュの背中を押して店に入る
「(まだ治ってない……か。 暁には欠損さえも治す手段があるって事なのかい……。 コレはますます着いて行かなきゃいけないね!)」
暁の背中を眺めながら小声でそういったマリアンの言葉を聞こえていたのはシルクだけだった
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店内に入ると多くの人が酒を飲み食事をしていた
首輪を着けた者もチラホラと見受けられたが、彼等は椅子には座らず床で食事をしていた
「エウゲンさん。 ここは個室なんて無いですかね? 俺は流石にアンジュを床に座らせて食事なんかさせたくないです」
小声でエウゲンに聞くと少し値段がするが個室はあるという
「安心しろ暁。 俺がそんな事させるわけないだろう。 人族のお前だけでも目立つってのに俺とマリアンが居るんだ。 最初から個室にする予定だよ」
そう言い切ったエウゲンに礼を言いアンジュにも伝える
「私は奴隷ですので……床でも構わないのですが……皆さん、ありがとうございます」
申し訳なさそうにしつつも嬉しそうに笑ったアンジュの手を引きエウゲンの後を追う
「二階の個室を借りたから行くぞ。 思いっきり食うぞぉ!!」
店員に案内され二階の一室に入る
其処は床に背の低いテーブルとクッションの様な物が置かれていた
「ここなら皆座って食べるからな。 奴隷連れてる輩は嫌がるが暁なら気にしないだろ。 さぁ、早く注文しちまおうぜ」
皆で座りメニューが書かれた木の板を覗き込む
地球の居酒屋と違い魚系の料理は無かった
やはり海が近くない場所では魚は手に入りにくいのだろうか
「まずは肉だな。 それから人数分のエールでいいか」
「サラダも頼んでくれよ、肉ばかりじゃアタシはきついからね」
「そうだったな、エルフは野菜のが好きだってのはよく聞くしな」
「従魔用のも頼むよ。 シルクもお腹減ってるだろうしね」
「あ、あの私までお酒をいただいてもいいのでしょうか……」
皆でワイワイと料理を注文し沢山食べ、酒を飲み騒ぎたおした
最初は遠慮して料理に手をつけようとしなかったアンジュだったが後半は遠慮せず沢山食べていた
そんなアンジュや、お腹いっぱいになったのか隅で丸くなったシルクを見て連れてきてよかったと笑みがこぼれた
6月26日0時更新予定
もうちょっと話しがダラっとしそうですがお付き合いください
もうしわけないです。




