冒険者編2 ~ 街とギルド ~
街へそしてギルドへ
説明が多く、解りにくい点もあるかもしれません
野営していた場所を出発して4時間ほど歩き続けていた
速度を上げるべきか悩んでいると、荷台から申し訳なさそうに声が聞こえてきた
「あの、やっぱり私は歩いた方が良いのではないでしょうか? 主に引かせてラクをする奴隷などやはりダメだと思うのですが・・・」
「いや、元々はアンジュが朝になっても目を覚まさなかった時にコレに乗せて運ぼうと思ってたんだ。
背負って移動しても良かったんだけど、お互い何も知らない状態で目が覚めたら知らない人に背負われてるってのは流石に驚くだろうし、背負ってる状態で攻撃されても困るからね」
怪我の状態からすぐに目覚めるとは思わず、念の為に移動方法を考えてリヤカーを作ったのだ
しかしすぐに目覚めてくれたおかげで必要は無いかと思ったのだが、治療したとはいえ昨日の今日で長距離を歩かせるのは流石に酷だろうという事で予定通りリヤカーに乗せての移動となったのだ
「この話しは置いといて、聞きたいことがあったんだ。 アンジュ達が居た場所から街までかかった時間と、この先の街の事はどれぐらい知ってる?」
「街ですか? そうですね早朝に出発して昼過ぎにはあの場所の近くに居たと思います。そろそろお昼の時間ですから、この速度なら夜には着けるかもしれませんね」
「夜か・・・できれば夕方には着きたいな泊まる場所とか空いてるか分らないからさ、魔物の素材とか売る場所もあるかな?」
奴隷商の馬車にあった硬貨を拾ってきたが宿代がいくらか分らない為、魔物の素材を売って所持金を増やしておきたい
「冒険者ギルドとかの事でしょうか? ありますよ、小さい村などは無いことが多いのですが今向かわれている街は大きいですし、魔森が近いので冒険者にとっては稼ぎやすい街なんだそうです」
「そか、じゃあちょっとスピード上げるからしっかり摑まって、舌を噛まないようにね」
「は、はい」
アンジェの返事を聞くとジョギング程度の速度まで上げる
「(なんだか人力車みたいだな・・・)」
異世界に来て人力車の真似事をするとは思わなかったが、身体能力の上がった今であれば苦もなく引きことが出来る
「(色々不安はあるけど、この世界なら楽しく生きていけるかもしれないな。
俺が地球で暮らしてた時の苦痛と、この世界でハーフとして生まれて奴隷になっている子達とでは苦痛の度合いが全然違うだろうしな。
俺はまだ逃げる方法があったし、女神様達のおかげでこうしていられるけど、アンジュやマルガ達の救いは死ぬしかなかったんだろうな・・・。
マルガ達は生きていてよかったと言ってくれたけど、まだ苦しんでる人達は多く居るんだ・・・すべてを助けれるなんて思ってないけど、アンジュみたいに助けられる人が居るなら助けてあげたい
少しでも多く助ける為にもお金で奴隷になっている子を買うってのが一番簡単で手を付けやすいだろうし、その為にもお金を稼ぐ手段に冒険者になるのが一番かな)」
街についてからの事を考えながら更に速度を上げるのだった
●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
道中魔物に襲われる事も無く、日が沈みかけた頃には街に着く事ができた
「ふぅ、何とか夕方には着けたね。これから街に入るけど流石にリヤカーは邪魔になるから降りてもらっていいかな?」
降りてもらおうと振り向いてみるとアンジュは気持ちよさそうに眠っていた
「ふむ、結構揺れたと思うんだけど・・・よっぽど疲れてたのかな?
起こすのも可哀想だし背負って移動するとして、リヤカーはボックスに仕舞って・・・っと」
アンジュを背負いリヤカーを収納すると街へ向かい歩き始める
「入るのにお金とか身分証明書とかも要るのかな?」
手持ちのお金で足りるか不安になりボックスから硬貨を入れた袋を取り出す
「えっと、金貨3枚に銀貨10枚と銅貨15枚・・・金貨が3枚あるし・・・だ、大丈夫だよな」
硬貨袋をボックスに仕舞うと街へ急ぐ
背負われて気持ちよさそうに眠っているアンジュはまだ目覚めそうに無かった
「それにしても・・・すごい大きな街だな・・・」
街は高い壁に囲まれ、街の入り口には兵士が立っていた
かなり大きな街のようで、地球にあったネズミの王国が入ってもまだ余裕がありそうな大きさだった
いつまでも眺めているわけにもいかず、街の入り口に立っていた鎧を纏っている兵士に声をかけてみることにした
「すいません、街に入りたいんですけど」
「むっ? 人族か・・・身分証は持っているか?」
兵士の反応からやはり人族は嫌われているのだろう
「持ってません」
「ふむ・・・じゃあ少し調べさせてもらうからついて来てきてくれ、それとそちらのローブ? の女性も調べないといけないから起こしておいてくれ」
アンジュの服が破れていた為、出発する時に毛布を改造して中央を切りポンチョの様に着ているため、兵士からしてみれば変な服を着た女性と思ったのだろう
言われた通りアンジュ起こそうとすると既に起きていたのか自分から降りてしまった
「起きてたのかアンジュ」
「い、いや・・・最初は本当に寝てたんですが、街に付く少し前に目が覚めまして
その・・・暁様のお背中が凄く暖かくて安心したといいますか・・・そのいい匂いがして・・・少しでも長く・・・」
最後の方はゴニョゴニョと聞き取れなかったが問題ないようだ
「起きたならそれで良いよ、街に入るために少し検査するみたいだし行こうか」
すぐ傍にあった部屋の入り口で先程の兵士が立っていた
「それじゃあ中に入ってくれ」
中に入ると椅子と机、それにバスケットボール大の水晶玉が置かれているだけの簡素な部屋だった
「この水晶は犯罪歴を調べるものだ、犯罪歴の度合いによっては街へ入れるわけにもいかないからな。 酷い場合はその場で取り押さえる事になる
街へ入るためにはコレに触って犯罪歴が無い事を証明してもらう必要があるのだ
それじゃあ1人ずつ触ってもらえるかな」
なるほどっと感心しつつ躊躇無く水晶に手を置いてみると白く輝いた
「ほう・・・問題は無いようだな。 次そちらの女性お願いしてもいいかな?」
「は、はい」
恐る恐る手を伸ばし水晶に乗せると、やはり白く輝いた
「ふむ、此方も問題ないようだな。 身分証無しで街へ入るのに一人銀貨1枚を払う規定になっている、未登録の従魔は銀貨2枚だ。 身分証と従魔の首輪を持っていれば支払う必要は無いがな。
冒険者ギルドや商業ギルド、鍛冶ギルドなど様々なギルドが発行しているから、これからも街から出たりする場合は自分に合ったギルドで発行してもらうといいだろう
身分証を持っていた場合は簡易の小型水晶で身分証や従魔の首輪を読み、その身分証や従魔の首輪が本物であるか、また登録した本人なのかを確認する事になるが・・・そこは身分証を発行してもらった時に説明を受けるだろう」
「なるほど・・・分りました、それでは今回はこれで終りですか?」
ボックスから取り出すのは不味いと思いズボンのポケットに手を入れボックスに入れていた硬貨袋から銀貨を4枚取り出し机の上に置く
「あぁ、確かに受け取った。 検査は終りだが少し待っててくれ、仮の身分証を発行する。 大方、この街には冒険者にでもなりに来たのだろう?
この街に来る輩は大体がそうだからな、冒険者ギルドに行ってコレを渡して登録しておくといい
犯罪歴が無い証拠だから手続きもすぐ終わるだろう」
そう言うと紙に何かを書きぶつぶつと何かを唱えながら親指を紙に押し付けた
「これでよし、ほらコレだ。 冒険者ギルドは東門を入ってすぐの目立つ建物だからすぐ分るだろう
私はこの東門担当だから困った事があったら訪ねて来るといい」
「あ、ありがとうございます」
戸惑いつつ紙を受け取る
「一応言っておくが人族を良く思っていない亜人族もこの街には沢山いる、 問題を起こさないようにな」
「はい、ご忠告ありがとうございます」
暁が素直にお礼を言うと意外そうな顔をしつつ出口へと向かう
その後に続き外に出るとそのまま門を通してくれた
門を抜け暫く歩いているとアンジュが嬉しそうに口を開いた
「私も手続きは初めてでしたけど・・・簡単でしたね」
「そうだね、すぐに冒険者になれるようにコレもくれたし良い人でよかったね」
自分が人族である為、多少は嫌な顔をされてしまったがキチンとした対応をしてくれたさっきの兵士を思い出す
「それにしても広い街だなぁ・・・畑まであるし・・・」
なにを育てているのかは分らないが畑と、ちらほらと建てられている住居らしき建物もある
「そうですね。外にある畑もありますがやはり危険ですからね、こういった大きな街では壁の内側に作るそうです」
アンジュの解説を聞きつつ散策していると露店が立ち並ぶ通りに着いた
「それじゃあまずは冒険者ギルドに行って登録を済ませてからギルドでお勧めの宿でも教えてもらおうか」
「そうですね。 それが良いかと思います」
露店が立ち並ぶ通りを真っ直ぐ進むと少し栄えた大通りに出た
その大通りと今通ってきた道が合わさった正面に一際大きな建物が建っていた
周囲の建物は2階建て程の高さしかないのだが、その建物は4階ぐらいはありそうな大きさで、その建物には鎧を着込んだ人達やローブを着た人達が出入りしていた
「目立つって言ってたけど・・・あのデッカイ建物かな?」
「恐らくアレでしょうね、行ってみましょうか」
「了解」
件の目立つ建物に近づいてみると付近に居た人々にジロジロと見られ、睨んでくる者もいた
話しで聞いていた通り亜人達が多く、街歩いている者や露店をやっている売子も亜人ばかりで人族はざっと見ただけでも暁ぐらいしか確認できなかった
「やっぱり人族は嫌われてるんだね・・・仕方ないとは思うけどさ」
少し落ち込み気味に呟くと慌てたようにアンジュのフォローが入る
「暁様は他の人族と違ってお優しく、しっかりしてらっしゃいますから! 暁様のお人柄を知れば皆さん他の人族とは違うと分ってくださいますよ!」
「ありがとう、少しずつ分ってもらえるように頑張るよ」
これからの事に少し不安を覚えつつ建物の中に入っていくと、中には受付と思われるカウンターや紙の様な物が貼り付けられた大きなボードが幾つか壁に打ちつけられ、休憩スペースなのか椅子や机なども置かれていた
空いているカウンターに向かうと受付嬢と思わしき女性が作業をしていた
「すみません、冒険者登録をしたいんですけどここで合ってますか?」
「じ、人族・・・あっごめんなさい、大丈夫です此処で登録できますよ
登録料は銀貨1枚になります」
一瞬嫌な顔を浮かべたが直ぐに仕事モードに切り替わり答えてくれた
どうやらこの建物が冒険者ギルドで合っていたようだ
「はい、俺とこの子とこっちの従魔も登録をお願いします。 それと門でこれを貰いました」
先程と同じ方法で銀貨を取り出す門で貰った紙と一緒にカウンターに置く
「確かに銀貨2枚確認いたしました。 それではまず冒険者ギルドの説明させていただきます」
説明は以下の通りだった
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冒険者ギルドでは依頼人が出した依頼を達成する、または魔物を討伐する事で報酬を受け取る事ができる。
依頼の種類は採取や討伐、護衛依頼など様々な種類がある。
討伐依頼では討伐したモノの種類、討伐した日付がギルドカードに記載され、ギルドカードを提出して日付と種類を確認し報酬が支払われる。
また、依頼を失敗した場合は決められた罰金を支払いギルドから罰を受ける事もある
対応できない高ランクの魔物などが出た場合はギルド側へ速やかに報告する事
またこの場合は失敗には含まれないとの事。
虚偽の報告はギルド資格の剥奪と罰を受ける
ギルド会費として月に銀貨2枚支払う義務がある。
またギルドカードはお金を入れておくことができ、地球での口座の様に使用する事ができ、ギルド加入店での支払いやギルドの会費などはギルドカードで支払う事が出来る
会費の支払い通知はギルドカードに通知されるため忘れる事はまず無いだろう
長期的にギルドの依頼を受けない場合の罰則は無いが、長期的に受けていない場合でも月々の会費は払う必要がある。
支払いが3ヶ月滞った場合ギルドカードの機能が停止され身分証としても使用出来なくなり、その場合は滞っていた会費と罰金を支払い、ギルドから指定された奉仕依頼を達成する事で機能を回復させる事ができる。
また、長期的に依頼を受けなかった場合はギルドカードへ生存確認のメッセージが定期的に送信され、送信から3ヶ月返答がなかった場合機能が完全に停止され死亡扱いとされる
ギルドに登録した者が死亡した場合、入金されていたお金は受取人へ譲渡され、受取人が指定されていない場合はギルドの物になるそうだ
ギルドカードは体に吸収され、基本的には登録した本人しか取り出せない
正当な理由が無くギルドカードが奪われた場合、所有者が望めば所有者へ返る
しかし例外として、登録したものが死んだ場合他者にも取り出すことができるが使用する事は出来ない
死亡した者のギルドカードをギルドへ提出する事で死亡証明になるが、殆どが魔物に襲われたりなど緊急の場合が多い為、わざわざ回収し提出される事はまず無い。
登録された従魔が街で問題を起こした場合、その従魔の主が責任を取る
冒険者同士の争いは禁止されているが、問題があった場合は双方の同意の元で模擬戦が行なわれる場合もある
また街中や街の外で襲われた場合は反撃しても問題はない
審判の神により犯罪歴がギルドカードに明記される為、犯罪を犯した場合ギルドカードですぐに分るとのこと
犯罪の重さによっては奉仕活動などで消す事もでき、犯罪の度合いが重いほど消す為に科せられる罰が重くなる
また消す為には教会に行き信託を受ける事で指示を受ける事ができるが、心から反省していないと信託を受ける事ができない
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「分りました、説明ありがとうございます」
「いえ、コレも私の仕事ですので。 それでは先程説明した内容に納得したうえで冒険者登録なさいますか?」
「はい、お願いします!」
カウンターに載せていた銀貨を仕舞うと大きな板のついた機械のようなものを取り出した
「では此方の板の上に手をのせください。 チクッとしますが少し血を採取するだけですのでご安心ください。
血液と血液の中に含まれる魔力で所有者のを登録します。
名前や年齢なども自動的に登録されるようで、これによって偽名での登録や偽装カードを作成できなくしております。
また、血液と魔力によって登録され本人の魔力反応しなくなるので他者が使用する事はできません。
この機械は審判の神様と契約の神様から授けられたもので、強い加護がかけられている為、悪用しようとすれば神罰がくだるそうですので偽物を作る事はまず無理でしょう。」
言われたとおり手をのせると少し痛みはあったがすぐに治まった
「ではそちらの女性もお願いします」
同じ様に一瞬顔を歪めたがすぐに痛みは引いたようだ
「はい、ではカードが出来るまで少し時間がかかりますのでその間に従魔登録をしてしまいましょう、と言ってもする事はカードに従魔の血を登録し、従魔の首輪と呼ばれる首輪を従魔に着けていただくだけです
この首輪は従魔であるという目印であり、冒険者が従魔を間違って襲ったりしないようにする為のものです
この首輪を着けた従魔を正当な理由無く攻撃しようとした場合警告としてギルドカードからアラームが発せられ、カードを体内に収納されていても聞こえるそうですよ
この首輪を着けている従魔が正当な理由無く襲われた場合反撃しても罰せられる事はありませんのでご安心ください
また、警告を無視し登録されている他の方の従魔を正当な理由無く襲った場合、犯罪歴がつく事になりますのでご注意ください
従魔登録、従魔の首輪で銀貨3枚必要となります」
銀貨3枚をカウンターの上にのせ首輪を受け取る
首輪を嫌がるかと思ったが案外大人しく、首輪を着け終わると尻尾を振り喜んでいるようだ
「お待たせしました、カードが出来ましたのでこのまま従魔登録をすませましょう。 先程と同じように板に触れさせてください」
受付嬢の説明を聞くとカウンターに飛び乗り前足を板にのせた
「はい、もう大丈夫ですよ。 それにしても本当に賢い子ですね、御三月さんが手続きしている間も大人しく待っていましたし、隷属の首輪を着けずに魔獣を従えている人族は初めて見ました。」
「えぇ、本当に良い子ですよ」
カウンターから飛び降りたシルクが褒めて欲しそうに見上げてきたので頭を撫でて作業が終わるのを待つ
「お待たせしました、従魔登録が完了しました。 此方がお二人のギルドカードです」
「ありがとうございます」
「それでは冒険者ランクについての説明をさせて頂きます。 お渡ししたカードを見ていただくと『RANK G』と書かれていると思います。 此方が現在の冒険者ランクです。
冒険者ランクとは強さの目安のようなもので、ランクによって受ける事のできる依頼の幅が変わります。
依頼ごとに~ランク以上とランクが指定されていますので分ると思います。
ランクはGランクから始まりF、E、D、C、B、A とランクが上がっていきます。
A以上もランクは存在しますが、そこまでの説明は長くなるので割愛させて頂きます。
ランクを上げるには決められた数の依頼を達成する事でランクアップすることが出来ますがランクによって条件が異なります。
GからEランクまでは依頼の達成の数で上げる事ができますが、EからDランク、DからCへ上げるには、規定数の依頼を達成しギルド側から出されるランクアップテストに合格する事でランクを上げる事が出来ます。
CからBへ、BからAへランクを上げるためには護衛依頼や採取依頼、討伐依頼を規定数こなしていただき初めてランクアップ試験を受ける事ができます。
これは実力に合わない依頼を受けて冒険者が命を落とす事を少なくする為に設けられたルールですのでご了承ください。
また、依頼を受けず高ランクの魔物と戦う事は可能です。 討伐した場合の報酬も支払われますが、討伐依頼として処理する事は出来ませんので覚えておいて下さい。
ただし、緊急依頼の場合などはこの限りではございません。
以上で説明は終わりですが何か質問はございますか?」
「いえ、大丈夫です」
「それではお金をギルドカードへ収納する方法などの説明をさせて頂きます。
ギルドカードを見ていただくと現在 0G と書かれていると思います。
依頼を達成した場合、ギルドから報酬を直接ギルドカードへと入れることができますが、硬貨をお持ちの場合はギルドまでお持ちいただいて硬貨をギルドカードへと入金することが出来ます。
またギルドカードに入金されますと、銅貨は一枚で100G、銀貨は一枚で1000G、金貨は一枚で10000Gと表示されます。
一般的にはこちらの方式で表示されているお店が多く、カードを持っていない場合は先程の様に硬貨何枚という形で取引されます。
ご入金されていきますか?」
「なるほど、こちらの方が分りやすくて良いですね。入金をお願いします」
ポケットの中でボックスから硬貨袋を取り出し入金手続きをしてもらう
「入金手続きが終わりましたのでカードをご確認ください」
言われたとおり確認すると 32500 Gと記載されていた
元が金貨3枚、銀貨10枚、銅貨15枚。 街への入る時に銀貨4枚と冒険者登録で銀貨2枚、従魔登録で銀貨3枚引かれたので残り金貨3枚、銀貨1枚、銅貨15枚なので問題ないだろう。
「問題ありません」
「手続き、説明は以上で終わりました。 分らないことなどがありましたらお聞きくださればお答えいたしますのでいつでもおこしください。
今日は依頼をお受けになられますか?」
「いえ、街に着いたばかりなので休もうと思います。 お勧めの宿なんてありますか?」
一日歩き続け、街に着いてからは長い説明を受けて肉体的にも精神的にも疲れてしまい一刻も早く休みたかった
「この建物の横にある路地を進むと『泊まり木』と言う宿がございます。
清潔でお値段もお手頃、ご飯も美味しいのでお勧めです。 元高ランク冒険者の方が経営されていますので安全面もばっちりです。
本来であれば人族の方にはお勧めしないのですが・・・御三月さんであれば大丈夫な気がします。
今まで会ったどの人族よりも礼儀正しく落ち着いてらっしゃるのできっと宿の主人にも気に入られるでしょう」
信用されて嬉しかったが、この受付嬢は会ったばかりの人族を此処まで信用しても大丈夫なのだろうか・・・
「人族の私をそこまで信用してもらって嬉しいのですが・・・その・・・私が演技しただけの悪者だったらどうされるおつもりだったんですか?」
「受付嬢の勘といいますか、人族の方が連れている奴隷にしてはそちらの女性はなんと言いますか・・・目に活力がありますので
奴隷になった者は大体が絶望に染まった目をしています、人族の奴隷となったのであれば尚更です
そしてそちらの従魔が隷属の首輪も無く、御三月さんにとても懐いている事から信用できると感じましたので
これで違った場合は私の目が曇っていたという事です」
笑顔でハッキリと答えられてしまい反応に困ってしまう
「はい、暁様はとても素晴らしいお方ですので。 誠心誠意お仕えしたいと思っています」
受付嬢の言葉に嬉しそうに答えるアンジュに照れくささと恥ずかしさが込み上げてくる
「わ、分った。もう恥ずかしいからいくぞ!」
「またのお越しをお待ちしております」
手を振りながら見送る受付嬢を背に急いでギルドから出ると、教えてもらった宿に向かう
建物の脇にあった路地を進むとすぐに宿と思われる建物の入り口に着いた
中に入ってみると想像していたよりも綺麗でキチンとした作りだった
入ってすぐ受付と思われるカウンターがあり左には階段が、右には壁際に配置されたカウンター席とテーブルが5つ置かれていた
「すみませーん」
人がいないか奥に向かい声をかけてみると、まだ若い亜人族と思われる女性が出てきた
「はいよ、なんだい人族が此処に来るとは珍しい」
暁の姿を確認すると驚いた様子だ
「冒険者ギルドで此処をお勧めされたので・・・やはり人族はダメでしょうか?」
自業自得ではあるが、人族が嫌われているこの世界で人族お断りの宿があっても仕方ないだろう
「いや、あの子が認めて此処を勧めたのなら問題は無いさ。 それに今の対応でアンタが他の人族とは違うってのは分ったからね
後ろの奴隷にも、その従魔にも好かれている様じゃないか!
アタシもアンタに興味がわいたよ」
ニカッと笑うと鍵を取り出した
「泊まるんだろう? 此処は泊まる人を選ぶが価格は良心的だから安心しな。
サービス価格で、一泊2食付で1人3000 G 、従魔は1000 G 一泊合計7000 Gでどうだい?」
現在の全財産は32500 G、4泊はできそうだ
慌ててギルドを出て来た為、素材が売れなかったが4泊出来ればその間に素材を売り依頼を受ければ宿代ぐらいは稼げるだろう
「その金額で、まずは4泊お願いします。 支払いはギルドカードで良いんですよね?」
「あぁ、この機械の上にカードを置いてくれ。 ここのボードに書いてある金額を確認してくれ、4泊で28000 G 間違いないかな?」
指定された板の上に地球で見たレジの様に28000 G と表示されていた
「はい、間違いないです」
「それじゃあ手続きしちまうからね」
金額が書かれていたボードが清算済みと表示されていた
ギルドカードを取り確認してみると残高が4500 G となっていた
「部屋は2階の203、角部屋だよ。んで、これが部屋の鍵だ。
防音も多少効くし、今は人も少ないから五月蝿くしても大丈夫だけど・・・お楽しみもほどほどにしときなよ?
食事は朝は4時から10時まで、夜は18時から0時までだからしっかり覚えておきな。 時間はギルドカードに書いてあるから分かるだろう?
お湯が欲しければ言ってくれ。 トイレは各階に共同のがあるからね、勿論男女別だから安心しな。
それじゃあゆっくりしていきな」
鍵を投げて寄越すと奥に戻っていく宿の主人を見送り二階へと上がる
部屋に着くと小さな机とその上に置かれたランプ、それにベッドが2つあるだけの簡素な部屋だったが、キチンと清掃されており、とても綺麗な部屋だった
「今日は疲れたから俺はもう休むよ。 ご飯が食べたければ下に行って女将さんに出してもらうといい。 部屋から出る時はちゃんと鍵をかけるんだよ。
それじゃあおやすみ。」
それだけ言うと2つあったベッドの片方に倒れこみ眠りに落ちる
暁が倒れこんだベッドにシルクも飛び乗ると足元で丸くなってしまった
「はい、お疲れ様でした! おやすみなさいませ暁様、シルクちゃん」
道中リヤカーに乗り眠っていたせいで、疲れているわけでもなく眠くも無いアンジュは貰ったギルドカードを眺めこれからの生活がどんなものになるのかワクワクが止まらずなかなか寝付くことができなかった
次話、2月16日 0時




