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女神トラベル ~異世界へいってらっしゃい~  作者: 桜色
第二章 『冒険者編』
20/28

冒険者編1 ~ 森の外へ ~

新章?突入です!

皆に見送られながらの出発から3日、暁とシルクはまだ森の中を走り続けていた


「もうそろそろ森の外に出てもいい頃だと思うんだけど・・・どう思う?」


「ワォン!!」


今回はキチンと戦闘をこなしていこうと決め、木の上ではなく地面を走っている

この3日でビッグ・ボア3体、マンティス4体、ゴブリン10体を倒している

戦闘をこなし、レベルも上がり身体能力も更に向上していた


「ステータス」


【名前 御三月暁 

 性別 男 

 年齢 18 

 Lv.1       →  Lv.18 (17 UP)

 HP 500/500 → HP 1180/1180 (680 UP)

 MP 500/500 → MP 1180/1180 (680 UP)

 STR 60    → STR 250 (190 UP)

 DEX 60    → DEX 250 (190 UP)

 AGI 60    → AGI 230 (170 UP)

 INT 60    → INT 230 (170 UP)

 LUK 60    → LUK 230 (170 UP)


●加護一覧

  ・桜神の加護・・・LUK補正 木属性適正UP ???

  ・知恵神の加護・・・INT・DEX補正 クラフト魔法適正UP 知識補正 ???

  ・大地神の加護(ターナ)・・・STR補正 土属性適正UP ???

  ・天空神の加護・・・AGI補正 風・雷属性適正UP ???

  ・イレーナの加護・・・全ST補正 全属性適正UP ???

NEW・戦の女神の加護・・・STR・DEX補正 武芸の極み ??? 】


「17もあがってる・・・全部200以上になって・・・この増えた加護は前に戦の女神様がくれたヤツか、確かに体の動きがラクになった気がするな」


この3日の戦闘で前よりもスムーズに狙ったところに攻撃できた


「街についてお金の事とかもあるし一応素材を取ってきたけど・・・宿一泊分ぐらいにはなるかな? ここで考えていても仕方ないし、とりあえず一気に森を抜けよう」


「ウォン!!」


さっきよりもスピードを上げ森を抜ける為走りだす



「今日中に森を抜けれると良いんだがな・・・そろそろベッドかせめて屋根のある場所で眠りたい」



鬱蒼としていた木々の間を縫うように進み続けると木々が減ってきた


「かなり開けてきたな・・・そろそろ外かもしれないな!!」


「ワン!!」


もうすぐ森の外に出れる、そう思うと疲れきっていた身体に力が湧きあがる


木の数が減り走りやすくなっている事もあってか更にスピードを上げ森の外を目指す


更に木が減り、ついに木々ばかりだった場所がひらけ、眼前には見渡す限り平原が広がっていた


「やったー!!ついに外だ!やっと外に出れたぞシルク!!」


コレまでと違いまだ森以外見たことの無い異世界でやっと森の外に出られ、これからはじまる冒険に期待が膨らみ、ワクワクが止まらない


「確かこのまま真っ直ぐ進めば亜人達が多く住む街に着くんだよな

このまま街に急ごう!今日はちゃんと屋根のある場所で寝れそうだ」


今まで邪魔になっていた木が無い事もありさっきよりも早い速度で走り出す

楽しそうな暁の様子にシルクも嬉しそうに軽く尻尾を振り追走する




●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●




森を抜け休むことなく平原を走り続けていると遠くから微かだが悲鳴のようなものが聞こえてきた


「なんだ!?悲鳴?」


あと少しで街に着く、それだけで気持ちが浮かれ注意力が散漫になっていた所に聞こえてきた悲鳴に急いで辺りを見回す


平原だがところどころ木や大きな岩、緩やかではあるが起伏した地形で悲鳴の元がどこにいるのか分らない


「ウォォン!!」


何か見つけたのか吼えると走り出したシルクの後を追う


「頼む・・・間に合ってくれっ!」


暫くシルクの後を追い走り続けると馬車と数人の人影のようなものが見えてきた


よく見ると馬車の周りには頭から角を生やしたゴブリンを大きくしたような化け物達が囲み、地面には鎧を着た女性達が血塗れで倒れていた

なかには腕や足を失っている者達もいて、とても生きているようには見えなかった


「あぁ・・・誰か・・・」


血塗れになり地面に倒れている者達の中にかろうじて息がある女性がいた


「まだ息がある助けるぞ! 敵は5体だシルクは1体頼む! その後生存者を探してくれ」


まだ生きている人がいると分り速度を落とさず敵へと突っ込んでいく


かなりの速さで走っていたその速度のまま敵へと肉薄し蟷螂刀で横なぎに切り裂き上半身と下半身を切り分ける

勢いをそのまま利用し回転して更に1体の敵を切り裂き無力化する


急に現れた暁に驚き一瞬だが動きが止まった敵にシルクが飛びつき押し倒すと喉元に噛み付きそのまま引きちぎる


「おらぁぁああ!!」


まだ残っている回転の威力をそのまま使いさらに敵を切り裂くと最後の1体へ接近し首を切り落とす


「ふぅ・・・生存者は! シルク、生存者はどこだ?」


動いている敵がいないのを確認し、生存者の傍にいるであろうシルクの姿を探すと馬車のすぐ傍に座っているのを見つけた


近づいて女性の様子を見るとまだ辛うじて生きているようだ


「ウォン」


「あぁ、よくやった。治療できるか分らないがとりあえずやってみようか」


倒れていた女性の様子を確認すると絶句してしまう

女性は左腕を失い、乳房を片方鎧ごと抉り取られていた

首には首輪が着いている事から恐らく奴隷なのだろう


「(これは・・・俺の魔法で治せるのか? それに首輪って事は奴隷・・・助けた方が良いのだろうか・・・このまま死なせてやる方が良いんじゃないか?)」


思考の海に潜り治療をしようとしない暁に痺れを切らしたのかシルクが猫パンチならぬ犬? 狼パンチを繰り出した


「ぶへぇっ!」


「グルルゥ! ガウッ!」


まるでしっかりしろと言わんばかりに吼えると背中に頭を押し付けグイグイと押しはじめた


「あぁ・・・すまないシルク。やれるだけやってみるよ」


シルクの頭を撫でると女性へと向き直る


「頼む・・・癒し球(ヒール・ボール)!」


今唯一使える回復魔法である癒し球(ヒール・ボール)だが、初級魔法である為どこまで効果があるか分からなかった


「頼む・・・治ってくれ・・・」


癒し球を連続してかけ続けるが一向に腕や胸が再生する様子は無い

だが、わずかに顔色が戻っているので延命は出来ているようだ


「延命は出来てる! だけどこのままじゃ・・・どうしたらいいんだ・・・」


今までであれば此処で知識が流れ込んできたのに今回は何故か全く浮かばない


「(何か良い方法は!)」


属性球の消費MPは5、さっき倒した魔物でレベルも上がっているだろうがさっき確認したMPが1180連続で使っているためどんどん減っている感覚はあるがこのままではMPが尽き女性が死んでしまう

できれば元に戻してあげたいという思いから必死に打開策を考えるが何も浮かんでこない


「何時までもこのままにしておくわけにはいかないか」


現状では腕を生やし胸を治す事は出来ない、時間をかけていてはMPも持たず最悪彼女が死んでしまうかもしれない

それを回避するために傷口を塞ぐように効果を強める様に両手で癒し球を重ねてかける


「傷口さえ塞がれば・・・命だけは助けられる!」


癒し球をかけ続けると少しずつではあるが傷が塞がりはじめた

MP消費は激しくなってしまったが感覚的には完全に塞がるまではもちそうだと安堵しつつ彼女へと癒し球をかけ続けた



暫く続けていると傷口は塞がり彼女の容態が安定したので癒し球をかけるのをやめ、馬車に使えそうなものがないか探してみる


馬車の中に入ってみると毛布や木箱が散乱していた


「使えそうな物があるといいんだけど・・・かなり適当に置いてあるな」


そう思いつつ物色してみたが毛布や隷属の首輪、ボロ布ぐらいしか見つからなかった


「毛布は貰って、馬車は解体して使えそうな所を残して後は首輪と一緒に焚き火の材料にするとして・・・まずは魔物の死骸を燃やすか」


モンスターの死骸を一箇所に纏めると火球(ファイア・ボール)を数発打ち込む

燃えはじめたのを確認すると奴隷達の亡骸を一箇所に纏めて寝かせ馬車にあったボロ布をかける


蟷螂刀を取り出すと使えそうな部品と使えなさそうな部品を切り分け、使われていた釘も取り出し、硬化(ハードニング)をかけてリサイクルできるようにする


「車輪部分はまだ大丈夫そうだし、リヤカーみたいに使えそうだな

上の部分を斬って、取っ手も付け変えるから切り離して・・・っと、どうしたシルク?」


馬車だったものをリヤカーモドキに改造しているとシルクが近寄って来た


「あぁごめんよシルク、今日は此処で休む事にするよ。この女性を抱えて街まで行くのは流石に大変だからね」


そう言って撫でていると安全を確保していなかった事を思い出した


「忘れてた・・・聖域(サンクチュアリ)

さぁコレで大丈夫だ、それと流石に地面の上に寝かせてるのも可哀想だし馬車にあった毛布を敷いてその上に寝かせてあげよう

焚き火もつけておくから火の番をしていてくれるかい?」


馬車を解体していた時に出た木の破片と落ちていた石で焚き火を組み上げて火球で火をつける


「それじゃあ作業に戻るから火の番と女性を見ててくれ」


撫でながらお願いすると了承するように尻尾を一振りしたのを確認して途中だった作業に戻る事にした




●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●




馬車の改造も終わり動作チェックもかねて軽く引いてみると暁の力でも動かす事が分り一安心した

動作チェックを終わらせた頃には、すっかり日も落ちてあたりは暗くなっていた

相変わらず女性は起きる気配が無く、日が落ちた為に気温が下がってきていた

このままでは流石に寒いだろうという事で暖が取れるよう焚き火のそばへ女性を移すと食事をとることにした


道中で狩ったビッグ・ボア3体の肉がある為、肉だけは豊富にある

ソルの実とカミラの実もボックスに大量に入れていたので、ここ暫くの食事は潰したソルの実とカミラの実をふりかけて下味をつけた肉を焼いただけの簡単なものだ


「旅の途中で普通に焼いた肉が食べれるってのは贅沢なのかもしれないけど・・・少しは野菜も貰って来れば良かったな」


前に採ったアポの実は子供達にあげてしまいもう残ってなく、もう少し多めに採っておけばよかったと少し後悔していた

少し落ち込みつつ肉を焼いていると、お腹がすいていたのか匂いに誘われたのかシルクが近寄り胡坐をかいていた足の上に頭を乗せてきた


「お腹が空いたのか? もうちょっと待ってろよ、もうすぐ焼きあがるから」


そう言って頭を撫でてやると嬉しそうに目を瞑り大人しくなった

そんなシルクの様子に癒されていると肉が焼きあがりボックスから取り出したシルク用の皿に盛り付けていく

ソルの実やカミラの実の量を抑えたシルク用に調理したものだ


自分用の皿を暁が取り出したのを見て、きちんとお座りして待っているが尻尾が激しく振れていた


「ほら、お食べ。今日も良く頑張ったねシルク」


そう言ってシルクの前に肉が山盛りになった皿を置くと嬉しそうに食べ始めた

食べ始めたのを確認すると下拵えを終わらせていた自分の分も焼いていく

念の為に女性の分と一緒に下拵えしておいたのだが・・・


「まだ目を覚まさないのか・・・起きたら食べられるように一緒に焼いておくか」


治療した時に見えた首輪、彼女は森に残してきた娘達と同じ奴隷だったのは間違いないだろう


「マルガ達の話だと奴隷はお腹いっぱい食べれないって聞いてたしな・・・

起きたらお腹いっぱい食べさせてあげよう・・・肉しかないけど」


まだ3日しか経っていないが拠点に残してきた彼女たちを思い出し少し寂しい気持ちになった

そんな暁の様子を察したのか、御代わりをねだりにきたのかシルクが暁の膝に頭を乗せると甘えはじめた


「そうだな、シルクが居るもんな! 御代わりはもうちょっと待っててな」


甘えてくるシルクを撫でながらまったりと自分の夜ご飯が焼きあがるのを楽しみに待っていると女性の寝ている方から「ぐぅ~」っと音が鳴った




●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●




目を覚ますと知らない男が肉を焼いていた

その男の膝には小さいけど綺麗な白い狼がじゃれついていた


「(―ッ、シルバーウルフ!?

それに私は・・・確かオーガの集団に襲われて・・・抵抗したけど仲間が殺されて、私も右腕と・・・ッ!)」


右腕の感覚が無く動かせない、胸の辺りにも違和感があるが痛みは無い


「(治療してくれた? でも・・・信用は出来ない)」


これからどうするべきか、どうやって逃げ出すのか考えるが良い考えが浮かばない


「(あの男以外に人は居ないみたいだし・・・逃げ出せるかもしれない

けど・・・5体のオーガを彼等だけで倒したというなら私に勝ち目は無い・・・)」



この世界ではオーガ単体であればCランク冒険者1人だけでも狩ることができる

しかし、オーガの5体ともなるとBランクの中でも上位の冒険者でないと1人で狩る事はできない



「(あぁ・・・どうすればいいの・・・それにしても・・・良い匂い・・・)」


良い匂い・・・こんな良い匂いのするご飯をお腹いっぱい食べられたら


「(馬車に乗せられるまではドロの様な酷い臭いと味のスープに噛み切れない固い石の様なパンばかりだった。馬車に乗ってからは石の様なパンと干し肉だったけど・・・。

一度でいいからこんな良い匂いのする肉を食べてみたい

奴隷商が食べていた肉よりも美味しそうな匂いのする肉を・・・)」


そんな事を考えているとより強く空腹を認識してしまいお腹が食べ物を寄越せと訴えてくる


「(どうしよう・・・このままじゃ・・・ッ!)ぐぅ~・・・」

空腹に耐え切れず、ついにお腹が鳴ったしまった


「(コレで起きてるのがバレたかもしれない)」


お腹の音に気づいたのかこちらの方へと近づいてくる気配がする


「(あぁ・・・これから私はどうなってしまうのだろうか・・・)」



●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●



お腹の鳴る音が聞こえ、もしかしたら起きてるのでは? そう思い女性へと近づく


「あの・・・起きてる? お腹空いてないかい?」


怖がらせないように慎重に声をかけてみると、ビクッと震え恐る恐るだが此方に顔を向けてくれた


「ほら、肉しかないけど食べるかい?」


自分用に焼いていた肉を皿に載せると右腕だけでも食べやすいようにフォークと一緒に女性に渡す


「た、食べても良いんですか!?」


「かまわないよ、まだ沢山あるからお腹いっぱい食べるといい。

話しを聞くのは食べてからにしよう」


そう言うと起きたばかりだというのに凄い勢いで食べ始めた


「飲み物も置いておくからね、そんなに急がなくても誰も取らないよ。ゆっくり食べないと喉に詰まるよ?」


ボックスから木で作ったコップを取り出すと水球(ウォーター・ボール)で水を入れておく


「追加で肉を焼いていくから、ちょっと待っててくれ」


自分の分も一緒に焼きながら空になった皿に肉を追加して食事をしていく


余程お腹が空いていたのか勢いが衰えることなく食べすすめていく女性を見ていると直ぐにお腹がいっぱいになってしまった


一頭分の肉を食べたんじゃないかと思えるぐらいの量を食べ終えようやく女性は一息ついた


「あの、ありがとうございました」


「いや、余程お腹が空いていたみたいだね。良い食べっぷりだったよ」


先程の食べっぷりを思い出しつつ笑っていると恥ずかしそうに顔を毛布に隠してしまった


「とりあえず、まずは自己紹介しようか。俺は御三月暁、見て分ると思うけど人族だ。こっちはシルク、俺の従魔でパートナーだよ。俺達は旅をしている途中なんだ」


「私はアンジュ、牛の獣人です。お気づきだと思いますが奴隷です。魔森へ送り込まれる所でしたがオーガの群れに襲われてしまい壊滅したようですね」


そう言って奴隷達の亡骸を見て寂しそうに笑った


「俺が着いた時には生存者は居ないと思ったんだけどね、かろうじて君が生きていて良かったよ」


「助けていただいたのはとてもありがたいです・・・でもこの体ではきっと・・・」


自分の左腕と胸を触ると落ち込んだように頭を垂れてしまった


「ふむ・・・それでその・・・君はこれからどうしたい?」


「どうしたい・・・とは?」


「俺はその首輪を外す事ができるんだ。だから君を奴隷から解放する事ができるんだが・・・」


「いえ、奴隷から解放されても私はハーフですので生きていく事が難しいでしょう・・・。

それでその・・・お願いがあるのですが、私を暁様の奴隷にしていただく事は出来ないでしょうか? 私の前の主人は奴隷商の男で、その男が死んでしまったので今は主人のいない奴隷ですが、主人が居なくなっても首輪が外れるわけではありません。主人が死んだとき奴隷を解放するという契約であれば外れますがそんな契約をしている方は滅多に居ません」


暁は彼女の負った怪我の重大さに気がついていなかった。平和だった地球とは違いこの世界で片腕が無く片方の乳房を失うという事は、まともに仕事に就く事も難しく片方の乳房が無い事で媚館で働くことも難しい。例え媚館で雇ってもらえても稼ぐ事は難しいだろう


「(ハーフの奴隷か・・・保護する事は別に構わないが・・・この後街に行く予定だし奴隷のままの方が色々と都合もいいのかもしれないし・・・)」


ハーフであるという事、街について何も知らない現状では奴隷でなければ色々と面倒なことになりそうだ


「分った、君を俺の奴隷として連れて行こう。欠損してしまった部位を治せる方法を探すから暫くは我慢していてくれ」


暁がそう言うと顔を上げ驚いた表情で固まってしまった


「それで、奴隷契約はどうすればいいんだ?」


固まってしまったアンジュを流しつつ奴隷契約について聞いてみるが反応が無い


「おーい」


目の前で手を叩いてみるとビクッとなり硬直がとけたようだ


「ほ、本当にいいのですか? 片腕で胸も片方無いので夜伽も満足には出来ないと思いますよ?」


「かまわないよ、無理して戦わなくてもいいからね。それに治せる方法も探すからね」


そういうと暁の胸に飛び込み声を上げて泣き始めてしまった

治療の時に見たとはいえアンジェの現在の服は胸元が破れているのだ

今までは毛布で隠していたが飛びついてきた拍子に落ちしっかり見てしまった

片胸ではあるが牛獣人だけあってか大きく、密着している為その感触に戸惑ってしまう


「そ、それで契約はどうすればいいんだ?」


「す、すみません。私の首輪に暁様の血を付けていただけますか?

現在主人がいないのでこれで大丈夫なはずです」


親指を蟷螂刀で少し切ると言われたとおり首輪につけると首輪が一瞬だけ光った


「コレで大丈夫です。これからよろしくお願いします暁様」


「あぁ、これからよろしくなアンジュ。今は安全だから朝までゆっくり休もう

見張りもいらないし、もし誰かが近づいてきたらシルクが気づくからね」


「わ、分りました。お言葉に甘えて休ませてもらいます」


毛布を広げ寝床の準備を始めた暁に戸惑ってしまったが休んで良いと言われ素直に休む事にしたようだ


さっきまで自分が寝ていた場所に横になると満腹になった為か、それとも疲れからかすぐに眠りにおちてしまった




●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●




目が覚めるとシルクが毛布に潜り込んでいた

フカフカな体毛の感触を楽しんでいるとシルクが起きてしまった


「おはようシルク。起こしちゃったか? ごめんな」


フカフカの感触を楽しんでいたせいで起こしてしまったと思い謝ると顔を舐めてきた


朝からシルクとじゃれているとアンジュも起きたようだ


「おはようございます暁様、シルバーウルフの・・・シルクちゃんは凄く懐いていらっしゃるんですね」


「あぁ、とても賢くてね本当に良いパートナーだよ。皆起きたし朝ご飯にしようか、といってもまた肉しかないけどね」



寝床から起きて自分が使っていた毛布をボックスに仕舞っているとアンジュがまた固まってしまった


「さ、暁様ボックスを持ってらっしゃるのですか!?」


「あぁ、言ってなかったね色々と驚く事があるかもしれないけど他の人には言わないでね。面倒事になるのは困るからさ」


「勿論です! 私は暁様の不利になる様な事はいたしません!」


力強く答えたアンジュにちょっと驚きつつも、ありがとうとだけ答えておく


「それじゃあ朝ご飯作ってるからのんびりしているといい。

この辺なら魔物に襲われる事もないから散歩でもしてきたら?」


「そ、そうです! 夜に焚き火をして匂いの強い肉まで焼いていたのに魔物に教われ無かった事が気になったのですが・・・コレも暁様のおかげなのですか?」


「そうだよ? 結界みたいなものを張ってたからね。俺も詳しくは説明できないけど、そんなのがあると思ってくれてればいいよ」


「わ、分りました。では少し歩いてきますね、シルクちゃんも一緒に行きますか?」


作業を始めてしまった暁の傍で伏せて暇そうに暁を眺めていたシルクを気にかけてくれたようだ


「ウォン!」


「おー、じゃあ一緒に行っておいで」


1人と一匹を見送りつつ朝食の準備に取り掛かる

食材が肉しかない現状ではまた焼くしかないのだが・・・

そろそろ他のが食べたいと思いつつも味は悪くないので我慢する事にした




全員分の肉が焼きあがった頃にアンジュ達は散歩から帰ってきた

それぞれの皿に取り分けると食べ始める


「今日こそは街に着きたいからコレを食べたら出発しよう」


「はい、そういえば暁様は旅をしていらっしゃったのですよね? 一体何処から来られたのですか?」


「ん? あぁ、アンジュは俺の奴隷だし言ってもいいかな。

俺達は魔森の中から来たんだよ。魔森の中で色々あってね亜人のハーフの奴隷達を保護したんだ。 拠点を作って自活出来る様に設備も整えたけど、元々冒険したいと思ってたから定期的に拠点に戻るって約束で旅にでたんだ。

それで4日ぐらい前に旅立って森を出たところで悲鳴を聞いたって訳さ」


「そ、それでは魔森の中に安全な場所があって、私の様なハーフの奴隷だった者達が暮らしているってことですか?」


「そうだ、一応俺の保護下にある事になってるね。 今は他の信用できる仲間達に任せているけど、皆良い子で楽しそうにしていたよ。 周りが魔森という危険な場所だけど、危害を加えてくる人族がたどり着く事はまず無理だろうし、魔物はさっき言った結界で拠点周りには入ってこないようにしてるからね」


「そんな場所が・・・それに昨日、暁様は首輪を外す事が出来ると・・・」


「あぁ、彼女達の首輪は外してあるし自由にして良いと伝えたよ。 森の外で暮らすには難しいと聞いてね、保護することにしたんだ。 旅の途中同じ様な奴隷の子を助けようと思っていたし、アンジュを保護したのは気まぐれなんかじゃないから大丈夫。 今すぐ戻って連れて行ってあげてもいいけど・・・どうする? アンジュと一緒だと10日ぐらいあれば着くとは思うよ」


そんな理想郷のような場所があるなんて信じられなかった

確かに軍隊でもこの森を抜ける事は出来ない、此処は人族にとっても亜人族にとっても多大な犠牲を払っても開拓する事ができなかった忌々しい場所なのだ


侵攻する為に道を作ろう木を切り倒せば大量の魔物があふれ出し壊滅させられてしまう


なにより厄介な事、それは魔森の魔物は魔森の外の魔物と強さの桁が違うのだ。

外でのゴブリン単体は冒険者になったばかりの新人にとっていい練習になる程度の強さで油断さえしなければ死ぬ事は無い程度の認識なのだが、魔森のゴブリンは単体で中級冒険者が苦戦する程の強さなのだ



「あ、いえ今度暁様がお戻りになる時でかまいません。 何かお役に立てることがあるかもしれませんし、旅をされるのであればなにかと大変かもしれません。 ですのでご一緒させてください」


「分ったよ、俺は世情に疎いから助かるよ」


「ハイ! お任せください!」


そんなやり取りをしつつ朝食を食べ終えると片付けを済ませ出発の準備に取り掛かる


「そういえばアンジュ、彼等はどうする? このままでいいのか?」


アンジュの仲間だった奴隷達の死骸をこのまま放置して行っていいのか気になった


「出来れば燃やしてあげたいところですがよろしいでしょうか?」


「燃やすだけでいいのか?」

「はい、せめて食べられたりすることが無い様に燃やすだけでもお願いします」


火球を4発ほど打ち込み燃え上がったのを確認するとアンジュにリヤカーに乗るように言う

最初は乗るのを渋っていたが、本調子じゃない子に無理はさせられないと説得し何とか乗せることができた


「それじゃあ出発するよ!」

「ハイ!」

「ワォン!」


予定を変更して1月28日に更新します。

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