須貝絵玖という女の子(3)
………………………………。
「――よし、じゃあそろそろ行くか」
それから20分後、俺は満を持して立ち上がり、川辺に向かった。そして絵玖に出発のサインを出す。
「…………♪」
絵玖は俺に気付くと、こっちに向かって小走りでやってきた。
「行くんですか?」
「ああ、モチベーションも高まった。まずは亮のところに行こう。いるポイントを探り済みだと思うからな。えっと、亮は――」
……いた。50m程先の、流れの緩やかな場所だ。
「足、滑らせないように気を付けてな」
「はい、分かりました」
俺たちは亮のところに向かう。
…………。
「亮」
「おお、秀吾、それに絵玖ちゃん。二人も食料採取か?」
「うん、今晩のおかずにしようと思う。 どうだ? 結構採れてるか?」
「まあまあってところだな。こんな感じ」
バケツの中にはエビとサワガニ合わせて10匹くらいが入っていた。
「わぁ~、すごい」
「やっぱり全体的に太ってて良い感じだな」
「そうだな。まだここしか見てないから、他のポイントならもっといるかもしれない」
「じゃあ、俺たちはそっちに行ってみるよ。どの辺だ? そのポイント」
「ああ、あっちの橋の下超えた辺りの水草生えてるところ。多分隠れてるはずだ」
「オッケ、了解した。バケツ、一つ貸してもらっていいか」
「いいぞ。置いてあるの勝手にとってけ」
「分かった」
「絵玖ちゃん初めてだよな? 頑張ってな」
「はい、亮くんも頑張ってください」
「おう、ありがとよ」
「じゃ、行くか」
…………。
「始める前に、基本的な採取の仕方を教えよう。よく聞くように」
「はい、よろしくお願いします」
「カニに関しては挟まれないように注意するくらいだから問題ないが、エビに関してはちょっとテクニックが必要だ。口で言うより、実際にやってみたほうが早いと思うから、ちょっと見ててくれ」
「分かりました」
俺はゆっくり水草の方に近付き、笊を水草の下に設置する。そして……
「おりゃ」
水草をバンバンと蹴った。そして、程よきところで笊をチェックする。収穫は――
「お、入ってる入ってる。絵玖、ほら採れたぞ」
「え? どれどれ?」
「ほら、ここにいるだろ?」
「……あ、ホントだ。一匹入ってますね」
「エビは後ろに跳ねて逃げる習性があってな。水草を蹴ったことで、驚いたエビが跳ねて笊に飛び込んできたんだよ。網でも同じだ、エビが後ろ向きに跳んでくるところに網を設置しておいて、その間に水草を蹴る。一発目で採れたから、ここには結構いるのかもしれない。次は、絵玖がやってみな」
「はい、分かりました」
絵玖が元気良く返事をし、俺のアドバイス通りに実践する。
「えっと……網を設置して、それから……水草を……えいっ」
蹴って数秒待ち、網の中を確認する。




