人見知りモード!・解除!(5)
――キーンコーンカーンコーン。
「――あ、もう終わり? これからが面白いところだったのに~。それじゃあ、明日までにこの問題の答えをそれぞれ考えておいてね? この問題はテストに出すから、やってこないと自分の首を絞めることになるかもよ~? それじゃあ、今日もお疲れ様でした~」
相変わらず間延びした声を残し、先生は教室を後にした。
「ふう、終わった」
今日の部分、テストに出すのか。
まあ確かに、この問題はテストに出しやすい内容だわな。
一見単純そうに見えながらも、言い回しによっては間違った解答をする可能性も孕んでいる。
これは復習しておかねばなるまい。
……言ってなかったけど、成木先生は世界史の先生だ。
意外って思う生徒もいるようだが、実際どの教科の先生だとしても、あの人なら意外に成り得るよな。
「秀吾、今の先生が言ってた問題の答え、何だか分かる?」
「うーん、何となくこれじゃないか? って思うものはあるが、確信は持てないな。だから今は分からないと言っておこう」
「そっか~、うーん、気になるわね。家に帰ったら調べましょうか」
「ホントに熱心だなお前」
「当然、お金払って授業に出させてもらってるんだから、真面目に受けなきゃ損ですもの」
「ほぉ~、何とも素晴らしいお言葉……これを聞いてどう思いますか? 三山亮くん」
「俺は、金払って受けてやってるんだから、眠くならない授業をするべきではないのか~って思ってました」
「……ミャンマーは一回、死んだほうがいいかもしれないわね」
「おい佑香、神社の娘が死んだほうがいいとはタブーな発言じゃないのか?」
「じゃあ成仏したほうがいいと思うって言ったほうがいいかしら?」
「既に死んでることになってるじゃねぇか」
「その考え方だったら死んでると同義よ。全く……そんなんだからビリ街道まっしぐらなのよ」
「ちぇ、うるせぇな。誰もがみんな佑香みたいなスタンスを保てる人間ばっかりじゃねぇんだよ。だから、苦しんでるんじゃねぇか」
「苦しみを乗り越えれなければ、人間は成長できないわよ。苦しいけどできないって思ってる内は、状況を打破できないでしょうね」
「こいつ……自分から出来るからって言いたい放題……」
「できるんだから言っても罰は当たらないでしょ? だって、できるんだもの」
「うわ、魔性の女がここにいるぞ」
「じゃあ、私は帰るわ。頑張ってね? もがいてる人~」
「ぐっ……」
亮をコテンパンに打ちのめして、佑香は悠々と去っていった。
「くそ、あのメガネっ子め……」
「佑香を前にあの発言をできるお前も相当すごいと思うが、向こうの方が一枚上手だったな」
「言い返したいが、言い返せないって辛いよな?」
「まあ、俺は勉学についての考え方に関して何も言う気はないから、お前の言うことも分かってるつもりだ。人それぞれあるだろうしな」
「……そういうところ、お前は優しいから好きだぞ、俺」
「うーん、イマイチ男に好きと言われても嬉しいと思えないんだよな……」
「いや、頬赤らめて嬉しいって言われたくて言ったわけじゃないから。お前、男に興味ないだろ?」
「全くない。俺は寝ても覚めても女の子のことを考えているぞ」
「それを聞いて安心した。……ああ、例の代物は近々持ってきてやるから。楽しみに待っておけよ」
「かたじけない、よろしく頼む」
「さて、俺もそろそろ帰るか」
「今日も手伝い頼まれてるのか?」
「ああ、今が夏の収穫の繁忙期だからな。親父だけじゃ人手が足りないんだよ」
「そうか。……言ってくれれば俺も手伝いに行くからな。ヤバくて死にそうな時は言ってくれ」
「ああ、そうさせてもらうわ。んじゃ、また明日~」
――さて、この後どうしようかね? そう言えば、絵玖の姿が見えないな?
……まだ荷物も残ってるから帰ったわけではなさそうだけども。トイレにでも行ったのか?
それとも……




