人見知りモード!・解除!(6)
「――ちょっと待ってみようか」
どうせ直帰してもやることないしな。
まあ、まだクリアしきれてないゲームをクリアするって手もあるけど、急いで家に帰ってやるほどのことでもない。
だったら、ちょっと絵玖が戻ってくるまで待って、一緒に帰った方が有意義な時間を過ごせてる気がしないか? 女の子と一緒に帰るなんて……何とも青春じゃないか。
「ナイスな考えじゃないか? 俺にしては」
……………………。
「――ふう」
「おう、絵玖。お疲れさん」
「あれ? 秀吾くん。まだ学校に残ってたんですか?」
「帰ってもやることがないから、絵玖のことを待ってみた」
「ええ? じゃあ、20分くらいここで一人で……」
「うん、孤独との戦いを繰り広げていたよ。でも、結構面白いもの見つけたからそんなに苦でもなかったけどな」
俺は絵玖の前に一冊の教科書を差し出した。ちなみにこれは絵玖の世界史の教科書だ。
「いや~、思わず笑っちまったぜ、これには」
「あ、ああ!? そ、それはあたしの……」
パラパラとページをめくると……世界の歴史で出てくる名高い人物の顔に、たくさんの落書きがされていた。
しかもこれが、子供が好んで描きそうなグルグル髭やメガネとかだから尚更面白い。
「う、うう……あんまり見ないでください……」
「いるんだな、この歳になってこういう落書きする子って」
「だ、だって、世界史って覚えることがいっぱいありすぎて分からなくなっちゃうから……」
「授業が早く終わるように、落書きに没頭していたと」
「あうう……ごめんなさい……」
「別に謝ることじゃないって、俺は別に怒ってるわけじゃないよ。むしろ面白いものを見せてもらって感謝してる」
「……………………」
顔を赤くして顔を反らす絵玖は、さすがアイドルだけあって可愛らしい。
というか、これ結構貴重な体験だよな?
元とはいえテレビにも出ていた有名人を、一般人の俺がからかってる……そうそうできることじゃないぞ。
これって亮が前に言ってたステータスアップに、つながってるのかね?
「まあとにかく、先生に悪戯書きバレように気をつけてな。まあ、成木先生なら逆に褒めるかもしれんけど」
「は、はい。消したいんですけど、油性で書いてしまったので……」
「油性だったのか……色々とすごいな、チャレンジャーだな絵玖は」
「元、アイドルですから、あはは……」
「はっはっは。そういうの、あんまり嫌いじゃないぞ」
「あ、ありがとうございます……」
「ところで絵玖よ、お前、この後何か予定はあるか?」
「え? この後ですか? いえ、特にはないですよ。普通にお家に帰るだけです」
「そうかそうか」
俺と絵玖は昨日友達となったわけだし、予定が特にないのなら、遊びに誘っても何ら問題はないよな、うん。
こんなの自問自答することでもないんだろうけど、一応な。




