人見知りモード!・解除!(4)
――そして学校に到着した俺たち。
既に絵玖は俺たちよりも早く学校に登校していた。
先週までなら、佑香が絵玖に挨拶をし、それに絵玖が挨拶を返すというのが基本的にスタンスだった。しかし、今日の絵玖は違う。
「真行寺さん、おはようございます」
絵玖のほうから進んで、佑香に挨拶をした。
予め昨日のことを伝えている分、佑香は表面的には平静を装っているが、やっぱり間近にその様子を見ると、多少の動揺はしてしまうようだ。
「お、おはよう絵玖ちゃん。今日も早いね」
「はい。遅刻するのはいけないことなので、余裕を持ってくるようにしてるんです」
「そう、それは良い心がけだわ」
「はい」
「絵玖、おはよう」
「あ、秀吾くん、おはようございます。昨日は本当にありがとうございました」
「いいってことよ。何かあったらいつでも声かけていいぞ? もちろん些細なことでもな。24時間受け付けしてるからよ」
「真夜中でもいいんですか?」
「まあ、内容にもよるがな。午前三時とかに『ただかけてみただけ~』とかだったらさすがにちょっと不機嫌にはなるが、『眠れないんだ~』とかだったら眠くなるように数学の方程式とかを饒舌に語ってやるよ」
「あはは、それは確かに眠くなりそうです。じゃあ、内容によっては夜中でもOKってことですね?」
「うん、絵玖になら24時間対応を許可しよう」
「ありがとうございます」
「……本当に、仲が良くなってるわね、あなたたち」
「言っただろ? 本当だってさ。これで完璧に納得したか?」
「ええ、したわ。おめでとう」
小声で佑香が賛辞を述べた。
「あ、あの~佑香さん」
「ん? どうしたの? 絵玖ちゃん」
「えっと……ちょっと、お話したいことがあるんですけど、少しお時間いただいてもいいですか?」
お、どうやら絵玖は、俺と昨日話したことを実行しようとしているようだ。
有言実行するところは、芸能界に身を置いていた経験の賜物のようだ。
「そんなに長くはならないので、ダメでしょうか?」
「ええ、もちろんいいわよ」
「ありがとうございます」
「――俺、ちょっとトイレ行ってくるわ」
変に緊張させたら悪いと思い、俺はちょっと席を外すことにした。
俺の去り際、絵玖が俺の方に目線を送ってきてたので、俺は親指をグッと立て、大丈夫だと背中を押してやった。
……俺が帰って来る頃には、二人は正式に友達になっていた。
もちろん、その後にやってきた亮とも、絵玖はきっちり友達になった。
絵玖の学校生活が少し楽しいものになったのだとしたら、俺は嬉しく思う。
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