あの子って、実は意外と……(6)
「――じゃあ、また明日~」
「おう、じゃあな」
「ん」
「亮は? 帰るか?」
「いんや、今日はこの後論文の講習が入ってるんだ。先生とマンツーマンだぜ」
「おお、そりゃあ大変だな」
「何だかんだ、本番に近づいてきてるからな。添削してもらわにゃ」
「頑張れ、頑張れ~? 俺はお前の分まで、放課後の一時を満喫してるからよ」
「……励ますか嫌み言うかどっちかにしようぜ」
「どっちも素直に出た言葉だから、切り捨てることはできないぜ」
「何かっこよさげに言ってんだよ」
「とにかく、頑張れや。読むだけだったら俺にも手伝えるからよ」
「おう、その時は頼むわ。――じゃあな~」
……うん、今日は一人か。まあたまには悪くない。
家に帰ってもやることはないし、せっかくだから寄り道して帰るか。家までの道のりを迂回すると、俺が小さい頃から営業してる駄菓子屋がある。
そこにある昔ながらのアイスキャンディーがなかなか美味しいんだ。特に夏の暑い日は格別。考えたら食いたくなってきたな。早速向かうとしよう。
俺はカバンに荷物を詰め込み、学校を後にした。
……………………。
――時刻は4時ちょっと過ぎ。
太陽はまだまだ燦々と日差しを降り注ぎ、月にバトンタッチする気はさらさらないようだ。
西日が顔に一直線に飛び込んでくるせいで、しっかりと目を開けていられない。
どうでもいいことだが、実は太陽は燃えているのではなく核融合によって燃えているように見えてるらしい。
水素爆発が何度も起こることによって発光しているんだとか。自分の身近に見えるものって、意外と知らないでいることが多いよな。そういうのが分かると、結構楽しいもんだ。
「家に帰ったら、もう一回調べてみるか。……ん?」
道路の真ん中に、誰かが立っているのが遠巻きに見える。何だ?
畑の肥料をばらまいちゃって掃除でもしてるのか? 俺がその人に近づくにつれ、その姿は徐々にはっきりと見えてくる。
「……って、あれ須貝じゃね?」
間違いない。田舎では若干アンバランスと言えるモードっぽい後ろ髪、あれは須貝だ。
俺よりも随分早く学校から帰ったと思ったが……こんなところで何をやってるんだろうか?
時々この村に遊びに来てたといってもまだまだ分からないことが多いから、一人で自然を満喫でもしてたりするのかな?
――さて、この場合俺はどうしたらいいんだろうか?
これが佑香や亮だったらこんなところで何してんだ? って気軽に話しかけることもできるんだが、相手が須貝となるとそうもいかない。
でも、他人のフリをして通り過ぎるのもそれはそれで気が退ける。
となれば、邪魔をしないように「よう、お疲れ」と軽いあいさつをして目的地を目指すのが得策だ。
とりあえず、須貝の方に向かって接近だ。
……………………。




