検査
朝。
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検査室。
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香葉はベッドに横になっていた。
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昨夜はあまり眠れなかった。
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検査。
結果。
色々考えてしまったからだ。
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「じゃあ始めますね。」
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検査技師が優しく声を掛ける。
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「お願いします。」
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慣れた検査。
毎年受けている。
首に塗られたエコーゼリーに少し体が反応する。
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毎回の検査。
最初は特に気にしていなかった。
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検査技師はモニターを見ながら超音波プローブを動かす。
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画面を操作する。
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そして、、、
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、、、いつもより長い、、、同じ場所を何度も見ているような、、、
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香葉は気付かないふりをする。
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でも。
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気になる、、、。
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技師はもう一度確認する。
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画面を見る。
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再び操作する。
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すると。
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別の技師が近付いてきた。
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「どうした?」
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「ちょっと……。」
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検査技師が席を立ち少し離れた場所で話し始める。
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聞き取れない。
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戻って来て、
二人でモニターを見る。
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数秒。
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沈黙。
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「……。」
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「もう一回。」
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「はい。」
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香葉の胸が少しざわつく。
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何だろう。
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いつもと違う。
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そんな気がする。
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検査は続く。
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さらに数分後。
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今度は年配の技師が呼ばれた。
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「失礼します。」
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三人。
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モニターの前。
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誰も騒いでいない。
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でも。
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空気が違う。
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「……。」
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香葉は天井を見る。
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聞きたくない。
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でも気になる。
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心臓の音が少し速くなる。
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年配の技師は画面を見た後、
静かに頷いた。
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「記録しておいて。」
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「はい。」
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それだけ。
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それだけなのに。
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香葉は無意識にシーツを握っていた。
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検査が終わる。
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「お疲れ様でした。」
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技師達はいつも通りだった。
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笑顔もある。
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優しい。
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でも。
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香葉には分かる。
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何かがおかしい。
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病室へ戻る途中。
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廊下の窓から見える青空が、
少しだけ遠く感じた。




