採血管
はい、大丈夫ですよ」
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看護師が最後の採血管を外す。
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慣れた手つき。
テープを貼る。
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「しばらく押さえてくださいね。」
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「はい。」
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香葉は腕を見る。
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そして
採血管。
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一本。
二本。
三本。
四本。
五本。
六本。
、、、、、、
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「……。」
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思わず数えてしまう。
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「何本抜かれたんだろう。」
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看護師
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笑
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「数えない方が幸せですよ。」
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「八本!」
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「数えてるじゃないですか。」
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香葉は苦笑する。
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去年も採血した。
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でも。
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こんなに多かったっけ。
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そんなことを考えながら椅子から立ち上がる。
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その瞬間。
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ふわっ。
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「……。」
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視界が揺れた。
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床が遠い。
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身体が軽い。
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嫌な感覚。
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看護師の表情が変わる。
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「浜中さん。」
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香葉は慌てて椅子へ手をつく。
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「大丈夫です、、、」
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反射だった。
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看護師
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-_-
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「その言葉。」
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「今日何回目です?」
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香葉
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、、、
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担任と同じこと言った。
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看護師苦笑する。
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「少し座っていきましょう。」
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「でも。」
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「座る。」
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優しい。
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でも有無を言わせない口調。
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香葉は観念して椅子へ座り直した。
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看護師は採血結果のラベルを確認しながら言う。
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「顔色良くないですよ。」
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「……。」
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「ご飯食べてます?」
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「食べてます。」
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「朝は?」
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「今日は少し。」
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看護師は小さくため息をつく。
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「無理しちゃ駄目ですよ。」
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香葉は何も言えない。
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最近。
色んな人に同じことを言われている。
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母。
担任。
古畑。
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そして今。
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看護師。
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「……。」
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もしかして。
本当に無理していたのかな。
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そんなことを考えながら、
香葉は少しだけ天井を見上げた。
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明日から本格的な検査。
まだ始まったばかりだった。




