名前
電車の中。
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ガタン。
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ゴトン。
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規則的な音が響く。
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車内の冷房は効いている。
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でも。
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香葉の身体はまだ少し熱っぽい。
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亮はペットボトルを持ったまま、
香葉の首元を見ていた。
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「そのペンダント。」
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「ん?」
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「お気に入りなの?」
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香葉は首元の葉っぱのモチーフに触れる。
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小さく笑った。
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「お父さんから貰った誕生日プレゼント」
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「へぇ。」
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亮は少し身を乗り出す。
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「葉っぱ」
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「うん。」
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「今日の服に合う!」
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香葉は少し照れ臭そうに笑った。
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「ありがとう^_^」
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亮はペンダントを見つめる。
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そして。
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「名前に葉が入ってるから葉っぱモチーフ?」
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香葉は少し驚いた。
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「よく気付いたね。」
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「何となく。」
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香葉は窓の外を見る。
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流れる景色。
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夏の空。
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そして少しだけ懐かしそうに笑った。
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「風薫る深緑の季節に生まれたから。」
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「へぇ。」
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「昔から親からは葉っぱモチーフの物貰うこと多かったかも。」
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亮は頷く。
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「なるほど。」
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数秒。
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そして。
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「誕生日いつ?」
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「五月。」
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「五月かぁ。」
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亮は少し考える。
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「じゃあもう過ぎてるじゃん。」
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「そうだよ。」
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「何日?」
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香葉は日にちを答える。
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亮は小さく頷いた。
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「メモしとく。」
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「何で。」
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「忘れそうだから。」
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「簡単な日にちだよ。」
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「確かに。」
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二人とも少し笑う。
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その時。
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香葉はちらりと亮を見る。
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そして。
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少しだけ期待する。
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今日のパンツ。
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気付くかなぁ……
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自作。
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レース。
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何日もかけて作った。
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ファッション好きの古幡なら、
真っ先に気付くと思っていた。
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でも。
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さっきから見ているのは。
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ペンダント。
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名前。
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誕生日。
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私ばっかり、、、
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香葉は少し可笑しくなる。
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そして。
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その数秒後。
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亮が突然言った。
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「そういえば。」
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「ん?」
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「そのパンツ。」
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香葉
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、、、
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亮
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「新しくない?」
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香葉は思わず吹き出した。
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「遅い、、、笑笑」
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「気付いてた。」
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「絶対今気付いた、、、笑」
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「バレた。」
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ようやく。
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亮の視線がパンツへ向いた。
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でも。
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香葉は何となく思う。
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今日。
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古幡が一番見ていたのは、
服じゃなくて私だった気がする




